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第1章*モヤモヤの日記
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*
【20××年、5月1日】
ぼっくりと心が折れた気分。
どうすればいいのか分からない。
恋愛なんて単語が、僕とお兄ちゃんの間に一文字もない。
香織さんと明日はデートに行くんだって。
本当はいかないで欲しかったけど、ダメだった。
いつまでこれが続くのかな?
この日記帳の最後のページまでには、終わるんだろうけど。
でも、いいこともあったよ。
僕の好きなジュースを覚えていてくれた。
それだけでも嬉しいって、自分でも思うけどやっぱり単純かも。
これが兄弟だからって考えると……、……いや、忌々しいからやめとく。
今日の日記はここまで。
おやすみなさい。
*
ため息をつきながら自分の部屋で、書き終えた日記をじっくりと見つめる。
どの日記のページもお兄ちゃんのことばっかりで、酔ってしまいそう。
ここまで好きになるなんて……思わなかった。
ただ、苦しいくらいに書き留めた日記の意味なんてないんだけど。
……それでも、お兄ちゃんが好きだったっていう証拠が欲しかったのかも。
どんなに手を伸ばしても人には別れが来ることを、
もしかしたら2度と会うことのできない恐怖が、支配してやまない。
香織さんと結婚しても、僕の前に現れてくれる……?なんて。
都合のいい魔法みたい。
お兄ちゃん、僕は。
(一緒に遊びたいし……)
ほんの少しの楽しみだってときめきに変わることを。
(一緒にご飯だって食べたい……)
時間の速さがより速く感じることを。
(昔みたいにお風呂だって……)
もう後戻りできないくらい学んでしまった。
身体と心で、覚えてしまったんだよ。
どうしようもない恋心なんて言わないで。
兄弟だからダメだなんて悔しいよ。
男同士でも、いけないことでも、僕にとって正常だから。
だからお願い、ちょっとでもいい……夢を見ていたい。
それがダメなら僕は。
『悠斗はすぐに色々と溜め込むんだからなー。
たまにはお兄ちゃんに相談しなさい。
……約束、うん、約束しよう。
【何かあったらお兄ちゃんの所に来ること】』
何十年も前に交わした約束が頭を過る。
あの時は恋心なんて感じなくて、お兄ちゃんも忘れるだろうと、
適当に交わしてしまった気がする。
まだ覚えているだろうか。
でも僕も薄ら覚えてるくらいだから、とっくに頭には無いのかもしれない。
それでも思い出してしまったものは仕方がない。
どこかで繋ぎ止めなければきっとどこかで、壊れてしまう。
それが単に……嫌だった。
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