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集中したいはずの係長の動画、滅多に見る事が出来ないはしゃいだ姿、耳に届くはずこ可愛い鳴き声。
何も入ってこない、耳に届くのは少し離れた女子高生の不満げな話声だけだった。
しばらくすれば電車は目的の駅に到着し僕は片方のイヤホンを谷中君に返した。
「ありがとう、可愛かったね」
どもることなく出た言葉は嘘だらけだった。
笑顔で「そうなんだよ」と言ってくれた谷中君は僕の腕を持って引っ張ってくれた。
電車から降りて10分ほど歩けば僕らが通う高校がある。まだ登校している生徒はまばらだったが僕達は迷う事なく自分の靴箱へ行き教室を目指した。
もちろん僕らが一番に教室へ入り僕は自分の席へと腰を下ろした。谷中君は自分の席へと向かいカバンを置き直ぐに僕の前の座席の椅子を引き腰を下ろした。
頬づえをつき、片手では携帯をいじる。僕は目の前に座る谷中君を凝視し口を開いた。
「あの・・・・谷中君」
「ん?何?」
僕に声をかけられたからかどうかは分からないが笑顔を絶やさな谷中君。
「えっと・・・・無理に僕に合わせなくていいよ?僕といると、た、楽しくないでしょ?」
自分で言った言葉は見事に自分自身へと突き刺さり痛みを覚えた。だけど目の前の谷中君はキョトンとして頭の上にハテナを浮かべているように見えた。
「え、全然楽しいよ!言ったじゃん、俺は郁が可愛くてしょうがないの。ずっと一緒にいたいくらいだよ」
「あ・・・・・・そ、う」
この人はなんて恥ずかしい事を平気で言うのだろうかと驚き恥ずかしさが一気に襲ってきた。
僕は机に突っ伏し寝たふりを決め込んだ。谷中君は僕が眠たいのだと思い何も言わずにそのままにし黙っていてくれた。
恥ずかしさで顔が燃えるくらい熱くなり僕の目には涙が溜まり、今にもこぼれ落ちてしまいそうだった。
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