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side カナデ
「はっやな感じ」
カズマが後ろから抱き付いてくる
αは他のαの匂いを嫌う
それが例え兄弟のαだとしてもだ
「カズマやめて。レイに嫌われる」
「そんなにあいつが大事かよ」
「うん。ごめん」
レイにこれ以上嫌われたら俺に行く場所はない
もう俺の体はレイなしでは生きていけないのだから
カズマは最後にぎゅっと強く抱きしめ俺から離れていく
「ねぇカナデ、今日のカナデいい匂いがするから気をつけて」
俺から離れたカズマは自分の教室がある棟へと帰っていった
…いい匂い
番になったΩは番のαにしかフェロモンを発しないはず
それなのに俺のフェロモンの匂いがする?
いやいやそんな訳がない
確かに俺の首にはレイがつけた噛み痕があるしレイのフェロモン注射だってちゃんと効く
レイの番なのは確かだ
けど、あの時レイにかまれた時、俺は完全にヒートを起していなかった?
もしかして、俺とレイは中途半端に繋がれている?
カズマが出ていってしばらくしてレイが帰って来た
俺を見るなり顔を歪める
また、レイに嫌われた
レイに会いたい
抱きしめてほしい
好きだとカナデだけだと言ってほしい
そんな高望みをする自分に嫌気がさす
こんな自分をレイに知られたくない
レイはいつものように俺に接してくれた
いつもの日常をすごす
退屈な授業を受け放課後を迎えた
「じゃまた明日レイ」
「気をつけて帰って、カナデ」
「うん、ありがと」
俺はレイと教室で別れた
俺が離れるとΩや女子たちがレイの周りに集まる
あの中にレイの好きな子はいるのだろうか
いつもはさして気にしないのにやっぱり今日の俺はおかしい
発情期は終わっているはずなのに
玄関まで来るとカズマが俺の下足棚の近くに立っている
「どうしたの?カズマ。珍しいねこんな所にいるなんて」
誰を待ってるのだろうかもしかしてうちのクラスにカズマの好きな子でもいるのだろうか
軽く声をかけ靴を履き替える
そのまま帰ろうとしていたらカズマに腕を掴まれた
その顔は不機嫌そのものだ
「カナデを待ってたの。一緒に帰ろう」
「いいけど今日送迎は?」
「断った」
「大企業の御曹司がそれでいいの?」
「いいのー。ね、甘いもの食って帰ろう。俺がおごるから」
「いいよ。父さんには内緒ね」
「やった。じゃぁデートだね」
「はいはい」
学院でのカズマの噂はあまりいいものではない
Ωの子を弄んだだとか教師を理不尽に追い詰め退職させただとか
真相は俺にはわからない
けど、少なくても俺の前では可愛い弟だった
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