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家族
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佳那side
黒と白だけを身に纏(まと)い、写真の前で手を合わせる。写真の中で笑う姉。弟、佳那(かな)の前ではいつも笑顔だった。本当は笑っていなかったのかもしれない。
『あの子、施設へ行くのかしら…』
近所の人や友人らはひそひそと話す。
母親、父親は佳那が小学5年生の時に家を出ていった。佳那を預かる親戚もいない。
そう、家族がなくなった。
中学2年生の佳那はただただ前髪で顔を隠した。
悲しみ、絶望。
意味の分からないお経を聞いて手を合わせた。
大好きな姉が帰ってくるように何度も願う。
死んだ者は生き返らないのに。
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