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倒れた佳那に意識があるか先生は呼びかけるが、佳那は目を覚まさない。心臓は動いているようだ。救急車で病院へと運ばれる。途中、意識が戻り先生と会話をした。
頭を強く打ったため、念の為脳の検査をする。異状は無いようだ。
「風邪、栄養不足、寝不足」
医師からはそう言われた。左腕には苦手な針が刺される。点滴をしている間、溜め息をつき白い天井を眺めた。
先生「佐竹さん、お家の人がもうすぐ来るわ」
佳那「えっ…」
付き添いで来た保険医に言われて、思わず声が漏れた。迷惑をかけてしまった。夢で見たことがフラッシュバックする。
先生「佐竹さん、大丈夫?もし、なにかあったら私に相談してね」
佳那の不安な様子に気づいたのか、保険医はそう言う。
佳那「ありがとうございます…」
病室のスライドドアが開いた。そこに立っているのは雅弘である。ちゃんと雅弘の顔が見れない。
雅弘「佳那くんっ!」
雅弘が佳那の方へと来た。
─────どうしよう。どうしよう。
取り敢えず、謝って…
佳那「ごめ…」
雅弘「心配した…倒れたって聞いたから…」
佳那「ごめんなさい」
─────仕事あったのに…僕のせいだ。
先生「佐竹さん、お大事に。先生は学校へ戻るね」
雅弘「ありがとうございました」
雅弘は深々と頭を下げた。佳那も頭を下げる。点滴が終われば家へと帰る。帰り道も、佳那の表情は暗かった。
上がる熱に、目の奥が熱い。悲しくて、怖くて、いろんな感情が涙となり溢れ出る。
前を歩く雅弘に見られないよう、顔を下に向けた。
────────────────
栗山 雅弘(くりやま まさひろ) 24歳。男。佳那を引き取った。佳那の姉の自殺の原因が雅弘らのいじめによるものだった。
佐武 佳那(さたけ かな) 親はいなく、唯一育ててくれた姉を中学2年で失う。お姉ちゃん大好き。
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