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友達2
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学校帰りにコンビニに寄る。佳那はファミ◯のスイーツを買うと、竹内の家へと行く。
竹内は家の鍵でドアを開けると、ただいまと言う。佳那は竹内に続きおじゃましますと言うと、竹内の母親が笑顔でおかえりと答える。
温かい家庭に佳那の心はほっこりとする。
竹内の母親に買ったスイーツを渡すと、竹内と手を洗いに洗面所へと行き、竹内の部屋のある二階へと階段を上る。
竹内「今日は何を勉強する?」
佳那「僕は苦手な漢字をやる」
竹内「んじゃ、俺は数学やるわ」
ペンを走る音だけが部屋に響き、途中でドアをノックする音に返事をする。
お菓子とお茶を持ってきた竹内の母親は、「頑張ってね」とだけ言うとすぐに部屋を出た。
少し休憩しようかと竹内はお菓子を佳那に渡す。佳那は頷くと、甘いチョコを口に運んだ。幸せそうに笑う佳那に釣られて竹内も笑う。
ブーブー
佳那のスマホの着信音が響き、佳那はスマホの画面をスライドさせた。
佳那「はい」
相手が誰かなんて分かる。佳那の表情は曇っていく。さっきまで笑顔だった佳那に辛い顔をさせるあいつが許せない。竹内は手に力を入れた。
電話が終わると佳那が口を開いた。
佳那「雅弘さん、女の人の家に行くんだって。僕も来ないかって…………」
竹内「佳那は行くのか?」
佳那「僕は………エビフライがあるから」
夕飯のエビフライを楽しみにしていると言ったが、本当は雅弘と中川が親しくしているのを見たくないのだ。無理して作った笑顔は広角が上がりきっていない。今にも泣きそうな佳那に竹内は問う。
竹内「なぁ、もし大学行けたら一緒に住まないか」
佳那「えっ……」
竹内「ほら、一緒に住めば家賃とか半分だし」
佳那「でも………」
竹内「もう、佳那が苦しんでいる姿を見たくない」
佳那「僕、そんなに顔に出てた?」
竹内には隠せない。目がどんどん熱を帯びていく。震える唇が止まらなくて、今まで溜めていた我慢のコップが溢れて、佳那の瞳から涙が流れた。苦しくて苦しくて、佳那は声を殺しながら泣く。
竹内は弱々しく泣く佳那を抱きしめた。強く強く。離さないように。竹内の胸で泣く佳那の涙がシャツに染み込み色を変えていく。
────人前で泣いたのは久しぶりである。
温もりに少しずつだが苦しみが解けていく。
僕よりも大きな手が、頭を撫でてくれる。
佳那は竹内の背中に手を回した。
竹内「なぁ、俺じゃダメか?」
佳那「なにが……?」
竹内「佳那があの人を好きなの知ってる。そんなに辛くなるまで一緒にいて、こんなに酷い隈を作ってさ………。好きな人が振り向いてくれない辛さは俺も分かる。こんなに好きなのに。こんなに尽くしているのに。でも、その人は振り向いてくれない。」
佳那「りょうへいも……好きな人いるんだ………」
竹内「これでも分からないんだ…佳那は鈍感だね。俺さ、ずっと前から佳那が好きなんだ」
──────────────────
栗山 雅弘(くりやま まさひろ) 24歳。男。佳那を引き取った。佳那の姉の自殺の原因が雅弘らのいじめによるものだった。
佐武 佳那(さたけ かな) 親はいなく、唯一育ててくれた姉を中学2年で失う。お姉ちゃん大好き。
竹内 涼平(たけうち りょうへい) 佳那の同級生
中川 愛華(なかがわ あいか)雅弘の上司の娘 友人
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