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拒絶と焦り (雅弘side)
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* * *
いつも雅弘の家で食事をもらって悪いと言った中川は家に来ないかと雅弘を誘う。佳那も一緒にと彼女は楽しそうに言うものだから、雅弘はその誘いに応じた。
佳那も来るかと思ったが、また友人の家へ行くとメールで返信が着た。いつからだろうか、佳那とまともに顔を合わせていない。
自分から目を逸したのだから。
これでいいのだと。
自分は間違っていないと。
佳那を襲ってしまったあの夜。自分の中に存在する欲望知った。
佳那に知られるのが怖いのかもしれない。嫌われたくなかったのかもしれない。
そんなことを考えていると、中川の家へと着いた。
中川「お酒、飲みますか?」
キッチンに立った中川が雅弘に問う。雅弘はお茶を頼むと中川は麦茶を出した。
冷蔵庫から野菜を出し、中川が料理をする。その後ろ姿が佳那と重なった。
佳那は楽しそうに鼻歌を歌いながらいつも作ってくれた。弁当も、雅弘の体を考えた具材で作られていた。雅弘は佳那の料理が好きだった。
好きな味。何ヶ月も食べていない。
中川「雅弘さん?これ、まだメインができないので…食べててください」
出されたサラダにドレッシングをかける。手を合わせて口にサラダを運ぶ。酸っぱい味に、佳那は市販のドレッシングが苦手で自分で作っていたと思い出した。
佳那のゴマドレは甘くて酸味が無い。
もう、佳那のことしか考えていなかった。
料理ができたと中川が向いに座る。料理を食べながら仕事の話しをする。
空になった皿と、話しも空になる。中川に礼を言うと、皿洗いを手伝う。
中川「今日、見たい映画がテレビで放送されるんです!!一緒に見ませんか?」
皿を洗い終わると、ソファに座り映画を中川と見る。彼女が雅弘と距離を詰める。雅弘は少し彼女と距離を空けようとすると、中川は雅弘の手を握った。驚くよりも先に中川が動いた。
中川の息が鼻にかかる。雅弘はキスをされる寸前に自身の唇を手で塞ぎ、中川の肩を押し離れた。
雅弘「あなたとの関係は友人ではないのですか?」
中川「雅弘さん、私…好きなんです。料理も掃除もするし、佳那くんのためにも。私の恋人になってくれませんか?それに……夜の関係も」
中川は雅弘に寄りしゃがみ込むと雅弘のズボンの上から一物に触れた。
中川「どうして………」
どんなに雅弘のモノに刺激を与えても反応しないのだ。
正直、中川に触れられ寒気しかしない。雅弘は佳那にしか勃起しないのだ。
雅弘「離れて下さい。こんな俺の事想ってくれて……申し訳ない。俺は誰とも付き合うつもりはありません。」
雅弘は中川の顔を見れない。
中川「佳那くんが大切なんですか?」
雅弘「大切です」
荷物を持つと、頭を下げ「今後、顔を合わせることはないです」と言うと中川の家を出た。
夜道を歩きながら、先程言ったことを思い出した。
確かに、佳那に温かい家庭を味あわせてやることもいいかもしれない。中川のことを好きになることはないだろう。だがもし、中川を好きになり家族となったとして
───そこに俺が笑って幸せになってはいけない。
佳那を愛してしまった罪人。
結ばれることのない罪人。
罪人が罪を忘れてはいけない。
──────────────────
栗山 雅弘(くりやま まさひろ) 24歳。男。佳那を引き取った。佳那の姉の自殺の原因が雅弘らのいじめによるものだった。
佐武 佳那(さたけ かな) 親はいなく、唯一育ててくれた姉を中学2年で失う。お姉ちゃん大好き。
中川 愛華(なかがわ あいか)雅弘の上司の娘 友人
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