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2つの影
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マンションのポスト付近に2つの影が見えた。電灯によって見えたのは佳那と雅弘には見覚えのない男である。
心臓が胸を壊すほど動き、雅弘は痛む胸を手で押さえた。
佳那「僕、男だから大丈夫なのに…」
「心配だし、なんかあったら嫌だから。」
佳那「ありがとう、涼平」
涼平と呼ばれた男は佳那の頭を撫でる。佳那は照れながら「子供じゃないもん」と男を見上げた。
今できている2人の甘い空間が雅弘にとっては息苦しい。
壊したい。そう思った時にはすでに体が動いていた。
雅弘「佳那くん、おかえりなさい。」
佳那の視線は男から雅弘へと移る。先程の表情から固い表情へと変わる。それに気づいたのは涼平である。
涼平「俺、佳那と同じクラスの竹内 涼平です!!いつも佳那と仲良くさせてもらってます!今日も一緒に勉強してご飯を食べました!!」
佳那「涼平……」
涼平「また、明日」
佳那「うん、またね」
手を振る涼平に佳那も振り返す。涼平の笑顔に佳那も釣られて笑う。
涼平は佳那に行為を向けていると、確信はしていないが、なんとなくそんな気がした。
佳那の笑顔に、涼平を信用しているのは分かった。だが、雅弘にとってそれは面白くはないのだ。これは嫉妬である。
なんて自分は狡い男なんだ。
雅弘「佳那くん、明日も彼の所へ行くのかい?」
佳那「はい」
雅弘「いつも彼の家でお世話になってるし、明日は彼を家に呼べますか?」
佳那「えっ……でも、中川さんは?」
雅弘「彼女はもう家には来ない」
佳那「どうしてですか?」
雅弘「彼女は忙しくてね」
佳那「そう………ですか。涼平に聞いてみます」
(佳那が俺の見えないところで他の男と仲良くしているが嫌だ。自分勝手だ。そんなことは分かっている。分かっているが止まらないのだ。)
雅弘「佳那くんの料理が食べたいな」
佳那「ふぇ……?」
雅弘「あっ……。無理しなくていいよ!!俺が作るから!!」
佳那「作ります!!僕、雅弘さんのために頑張ります!!」
佳那は安心した。まだ、雅弘に求められていると。
中川が家に来なくて酷く安心した。雅弘を取られると思った。だから、ずっと彼女が邪魔だと思っていた。そんな自分が最低だと思った。
雅弘「今度、出掛けようか」
佳那「はい!!」
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栗山 雅弘(くりやま まさひろ) 24歳。男。佳那を引き取った。佳那の姉の自殺の原因が雅弘らのいじめによるものだった。
佐武 佳那(さたけ かな) 親はいなく、唯一育ててくれた姉を中学2年で失う。お姉ちゃん大好き。
竹内 涼平(たけうち りょうへい) 佳那の同級生
中川 愛華(なかがわ あいか)雅弘の上司の娘 友人
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