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意識して
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翌日、学校帰り。夕暮れの中、佳那と涼平は何気ない話しをする。
マンションのポストを確認すると階段を上がる。バックから鍵を探すと玄関のドアを開けた。
涼平は「おじゃまします!!」と靴を脱いだ。
誰もいない部屋は暗くて、明かりを付けると部屋の匂いが充満していた。
窓を開けて、外の空気を入れると、涼平とキッチンで手を洗う。
涼平「佳那の家、はじめて来たー!!」
佳那「えへへ、ちょっと散らかってるけど」
冷蔵庫からお茶を出し、テーブルにお菓子を広げる。勉強道具を出して、涼平は佳那の隣に座り勉強する。
佳那「涼平〜、ここ分かんない…」
涼平「どこ?」
涼平との距離が近くなる。肩が触れる距離。少しだけドキドキしてしまう。涼平の真剣に問題を見ている横顔を佳那は見つめてしまう。
涼平「………てことだから。佳那?聞いてる?」
佳那「えっ…えっと………ごめん、もう一回」
涼平は「ちゃんと聞いてろよ?」と、優しく説明してくれる。集中していると時間が早く過ぎているように感じる。スマホのアラームが鳴り、夕飯を作る時間となった。
冷蔵庫の中をあさり、今日の夕飯を考える。
佳那「ご飯はもうセットしてあるから、焼き魚とお味噌汁と御浸しとかにする」
涼平「俺、料理できない…」
佳那「じゃあ、教えるから一緒にしよ?」
涼平「下手だったらごめん」
佳那「誰だって最初は上手くできないよ」
キッチンに立つと野菜を洗う。涼平は包丁を持つと、野菜を切って…
佳那「ちょっと待って、左手をこうして…」
佳那は涼平に包丁の使い方を教える。涼平は「俺、自分の指切りそう…」と言いながら覚束無い手で野菜を切っていく。佳那は涼平を気にしながら他の料理を作っていく。
涼平「佳那?それはなに?」
佳那「夕飯のデザートだよ〜。楽しみにしててね」
涼平は佳那の料理する姿を見て、佳那が自分の奥さんになった気分だ。鼻歌を歌いながら、グツグツと何かを煮ている。
甘い匂いに誘われて涼平は佳奈の後ろに立った。
涼平「美味しそう」
佳那「味見する?」
涼平「うん」
スプーンにソースを取った佳那は涼平の口へと運ぶ。涼平は戸惑った。佳那は今、自分にあーんをしてくれているのだ。無意識な本人はそれに気づいていない。夢のようなことに、涼平は甘いソースを食べる。
涼平「うまっ!!」
佳那「良かったぁ〜」
トロトロのソースとカットしたりんごを合わせると、市販で売っているパイでそれを包む。
オーブンで焼いている間に、他の料理を作る。
雅弘「ただいまー!!」
佳那の手の動きが止まる。
────あぁ、いかないでくれ。
そんな涼平の願いは届かない。
佳那は雅弘の所へと走って行ってしまう。
──────────────
栗山 雅弘(くりやま まさひろ) 24歳。男。佳那を引き取った。佳那の姉の自殺の原因が雅弘らのいじめによるものだった。
佐武 佳那(さたけ かな) 親はいなく、唯一育ててくれた姉を中学2年で失う。お姉ちゃん大好き。
竹内 涼平(たけうち りょうへい) 佳那の同級生
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