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同じ気持ち
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sideが混ざって分かりづらいので佳那のsideは『』で大きく囲います。
『雅弘の愛してるに佳那は舞い上がる。自分を好いていたことに、嬉しくて嬉しくて涙がまた出てしまう。』
薄暗くてよく見えないが、佳那の鼻をすする音、涙を拭く動作に雅弘は否定できなくなっていた。
今、否定してどうなる。気不味くなりたくない。
付き合うか?いや、付き合ったとしても…
佳那はまだ高校生。
佳那が大人になって、もし自分より好きな人ができて、結婚して良い生活をできたら、真実を伝えて俺は死のう。
佳那「雅弘さん……付き合うのは大人になってからで……今は、一緒にいられればそれでいいんです。」
今はその言葉だけでほっとした。佳那を独占でき、それでも一定の距離が保てると。その距離感が自分を守れると。そう思う自分が汚い大人になったと改めて実感した。
佳那「雅弘さんと同じ気持ちだったんですね」
そう、佳那と同じ気持ちだったはずなのに素直に喜ぶことができない。
あんなことをしなければ、自分がもっと心の広い人間だったならば。きっと佳那と出会ってそして、普通に恋人として付き合うことができただろう。
後悔後悔後悔だらけの人生だ。
ぐぅ……
佳那の腹の虫が鳴く。
佳那「えへへ…お腹が空きすぎて……」
『泣いたり逃げたりする前に雅弘にちゃんと告白をすればよかった。格好悪い告白となったが、無事に恋は実ったと思う。まだ、付き合うとか年齢では駄目だし、雅弘に迷惑をかけてしまうから、大人になったらまた雅弘に告白をしよう。
大人になったら…』
雅弘「佳那くん。タオル使う?」
佳那「ありがとうございます」
『タオルが涙を吸いこんでいく。どん底に突き落とされた気分だったが、今は天国にいるようなそんな幸せな感じがする。』
雅弘「たこ焼き冷めちゃってるよね?もう一個買って冷めたの俺が食べるよ?」
佳那「たっだいじょうぶです!!」
『だってこれも記念だから、冷めたたこ焼きはきっと忘れられない思い出と一緒になる。』
佳那「雅弘さん……手……繋いでいいですか?」
雅弘「いいよ」
『雅弘と手を繋ぐそれだけで心臓が爆発しそうである。初恋。そして初の恋人繋ぎ。恋人という関係ではないけど。でも、それでも、今の自分には満足であった。』
小さな手を握る手が、温かく感じる。こんなに小さかったのか。ぎゅっぎゅっと握る佳那は、嬉しそうで、佳那と生活をしている中で一番の笑顔である。
幸せなら、君が幸せなら。少しは罪が償えるだろうか。
揺れ動く欲は消化できずに、結局自分は正しい選択をすることができなかった。
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