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諦めること
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* * *
杉原が涼平を押して病室を出る。
今、佳那から離れたらまずい。佳那がアイツに取られるかもしれない。
佳那の元へ戻ろうとする涼平を杉原が止める。
「君が今行ったら駄目だ。あれは2人の問題だ。」
「そんなの分かってる!だけど、俺は諦められない。佳那がやっと…俺を見てくれたのにっ……」
杉原は涼平が佳那の事を想っていることに気づく。いくら想っていても、邪魔をするのは良くない。杉原だって雅弘のことを諦められないでいる。
「雅弘のこと佳那くんから聞いていだろ?」
「聞いた。もっと細かく知ったのはあんたとアイツの話でだけど。
あんなクズより俺の方が佳那を幸せにできる。」
「確かに、雅弘は最低なことをした。
でも、佳那くんが笑顔でいるのは君の前なのかな?雅弘といる佳那くんは幸せそうだったよ。」
「────っ!分かっている。けど、、、諦められないんだ…もしかしたら俺を好きになってくれるかもしれない。」
「そうだね。諦めるのは難しい。
君は、2人が寄りを戻すのが怖いから邪魔をするのだろう?だったら最初から佳那くんを足止めすれば良かったのに、君はしなかった。それは、佳那くんと雅弘が話し合って欲しいと思っていたからじゃないのかい?
雅弘と同様に佳那くんもかなり精神的に追い詰められていたのではないのかい?君は佳那くんの気持ちが少しでも軽くなるようにと願っていたのでは?」
「……そうだよ。佳那が心から笑顔になって欲しいと思って」
「君は優しいから、相手の幸せを願ったんだろ?俺も同じだよ。雅弘が幸せになって欲しい。」
「あんたも…」
そこからは何も言わなかった。涼平は自分と似ている目の前の男を見上げる。
「片想いって辛いよなぁ。2人が上手くいけば諦めるけど、もしチャンスがあるならって…
状況見て諦めざるを得なかったら2人で打ち上げでも行く?」
お人好しか。さっきまで荒れていたはずなのに、フッと笑いが込み上げる。
傷心者同士、傷を舐め合うってか…
「ふっ、、仕方ないから付き合ってやるよ。」
───────────────
『登場人物 』
栗山 雅弘(くりやま まさひろ) 24歳。男。佳那を引き取った。佳那の姉の自殺の原因が雅弘らのいじめによるものだった。
佐武 佳那(さたけ かな) 親はいなく、唯一育ててくれた姉を中学2年で失う。お姉ちゃん大好き。
杉原 修也(すぎはら しゅうや) 雅弘の同期
竹内 涼平(たけうち りょうへい) 佳那の同級生
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