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それから
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──────…
部屋から出てきた佳那達の顔を見て2人は帰っていった。初対面のはずだが、親しそう?
2人はマンションへ帰り、佳那は部屋の汚さに驚いていた。雅弘が仕事をしすぎて倒れたのは知っていたが、部屋の掃除ができないほど忙しく働いていたとは。
「その…ごめんなさい」
反省の色を見せる雅弘に佳那は明日掃除をしようと答えた。雅弘の体調が良くないのでベッドに寝かせて、夕飯の準備を始める。
冷蔵庫を開けると…中は水しか入ってなかった。
「……ここまでとは。」
自分が雅弘に依存しているのは自覚していたが、まさか雅弘も自分に依存しているとは。
急いでスーパーへと行き食材を買う。家に戻れば、雅弘が泣きそうな顔で佳那に抱きついた。泣き始める雅弘を落ち着くよう背中を撫でる。
どうやら、佳那が家を出ていったのだと勘違いしているらしい。
「もういなくなりません。ちょっとスーパーへ行っていただけです。」
「…ごめん。食べ物なかったよね。」
「はい。びっくりしました。」
雅弘はベッドには戻らず、テーブルについて佳那がキッチンに立っている姿を眺める。料理をする姿を久しぶりに見て涙が零れる。今日は泣いてばかりだ。こんなに泣いていると目が腫れそう。
「できましたよ。いっぱい食べて元気になってください。」
佳那の料理に胸が温かくなる。美味しいと連呼しながら雅弘は箸を進める。
雅弘のそんな姿を見ながら佳那は笑顔になる。ほっとしたような感覚。この人がいないとやっぱりご飯は美味しくない。
「ふふっご飯ついてますよ?」
「ここ?」
「こっちです」
雅弘のかわりに佳那が取ると、雅弘は佳那の指についたものを舐める。ちゅぷんと音をたてて、ヌルッとした感触が指に伝わる。
「なっ…!」
「ごっごめん…つい」
これまで我慢していた箍(たが)が外れたようだ。真っ赤な顔は佳那にでも分かる。
沈黙が長い。妙に空気が熱く感じた。
場の空気を切り替えるべく佳那はデザードを出す。
「プリンです。甘さ控えめにしました。」
「────っ!美味しい!!」
デザートは好評だった。
夕飯を終えると、ソファでゆっくりする。雅弘は佳那の隣に座り、佳那の腕に自身の腕を絡ませる。
「佳那くんはこっちに戻ってくる?」
「うーん…ここから大学まで遠いし、アパートの方が近いんですよね。」
「……大学から近い所へ引っ越せば、一緒に住んでくれる?」
「はい。でも仕事で忙しくないですか?」
「有休を取るよ」
「では、有休が取れた時に僕も行くので、呼んで下さい。」
まだ先の話ではあるが引越し先はどうするかなど、まるで新婚のような会話だ。頭がピンクでいっぱいの佳那の妄想は止まらない。
「おかえりなさい。あなた♡」と自分が言う未来が見える。佳那は嬉しそうに未来を語るのであった。
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