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めんどくさい俺たち〜むつ〜
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俺は今とても苛立ってる。
うざい!目障り!めんどくさい!!
いつもの屋上、いつものメンバー。
と、一匹。
雷太「柴田さん!今日はリクエスト通り菓子パン作ってきました!!」
週中水曜日。
あれから毎回顔を出すようになった雷太。今日から今までと様子がまるっきり変わった。
雷太「あの、小日向先輩もどうぞ」
修二「うん、貰うね」
嬉しそうにパンの入った入れ物を差し出し、修二がそこからひとつとって食べる。
雷太の修二を見つめる目は、キラキラ輝いていた。
これには原因がある。
昨日の放課後、雷太が3年の馬鹿どもに空き部屋に連れ込まれたのを修二が助けたからだ。
俺もいたのに、修二は俺を押しのけて雷太の元に駆け寄って、雷太を抱えて保健室のアヤちゃんのとこに連れてった。
その時から雷太は、俺に向けてたキラキラした瞳を修二にも向けるようになった。
マジどうにかしてほしい。
本当はもう来んなと言ってやりたいが、俺が邪険に扱った時の落ち込みよう、つよしが怯えながら縮こまるのを思い出して可哀想になっちまって、結局追い払えない。
そしてこいつの料理は無駄にうまい。
しかし、修二と仲良さげなのは許せない。
雷太「柴田さん、食べませんか?」
むつ「食べるよ!食べりゃーいいんだろ?」
俺がそばにいれば、とりあえず雷太は俺のそばにいるから、そうしとくしかイライラを抑えるすべがない。
参った…、このパン、マジうまい。
吉良「完全に餌付けだね」
華南「それも、昔吉良さんが使った手っすね」
吉良「睦美ぃ〜♪新しいプレゼントだよぉ〜」
華南「また誤魔化した…」
ーピロリン♪
メール音にポケットから携帯を取り出す。
差出人はつよし。
《メールありがとうございます。今週はいつでも空いてますよ。むつさんに合わせます。後、絵画のコッホに興味ありますか?僕の故郷の画家です。もし興味あったら教えてください、先生に絵画展の招待券頂きました。》
こないだ、思いついたことがあって、迷ったけど、つよしに聞いた方が早いと思ってメールしていた。
むつ「コッホの絵画展?」
修二「え!?何?」
あまりに俺に似合わない提案に声が出てたみたいで、修二が反応した。
むつ「あ…、つよしが絵画展の招待券あるから行かないかって…」
修二「マジ?!」
修二が興味ありますって顔して身を乗り出す。
むつ「…絵なんか見て何が楽しいんだ?」
修二「…あは、だよねぇ〜」
俺の一言で修二はあっさり引き下がった。
なんで?なんでだ?俺は思ったことを言っただけで行くなって言ったわけじゃ無いのに。
思ってることあるなら言やいいじゃないか。
むつ「なんだよ、行きたいんじゃないのか?」
修二「ん?」
むつ「行きたいの?行きたくないの?」
修二「…い…きたい」
何故そこで困った顔するんだ?行きたいなら行きたいって言やいいじゃん、焦れったいな!
むつ「分かった、行くってメールする」
修二「むつ無理しなくても…」
むつ「は?お前見たいんだろ?なら俺も見たいし」
俺は携帯で返事を打ちながら答えたから、修二の顔を見てなかった。
むつ「華南は?行く?」
華南「行く行く」
吉良「俺、パース」
だから、誘ってませんって。
メールを打ってると隣で羨む声がシクシク聞こえてきて、雷太が指を咥えている。
垂れる耳と尻尾の幻覚付きで。
雷太「いいなぁー、僕も行きたいけど部活が…」
むつ「だから、誘ってないって!」
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