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めんどくさい俺たち〜むつ〜
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俺たちは暇だったから、今日でも明日でもいいと返事した。
つよしは、いい返事が貰えると思ってなかったのか、メールでも分かるほど嬉しそうに返事が来て、早速今日の放課後行くことにした。
別に堅苦しいものではなく、学生向けの砕けた絵画展らしく、それなら別に制服でもいいかと、終業直後の時間で待ち合わせた。
むつ「おい、つよし、その前髪はなんだ」
待ち合わせの商店街に現れたのは、初めて見る制服姿のつよし。
ギリギリ中学生に見えたが、前髪がダラリと垂れ下がり、目を隠していた。
つよし「あ、これは、今学校から直接来て…」
むつ「華南、克哉を呼べ、ちょん切って貰う」
つよし「えー!!待って下さい!!」
むつの命令に華南は携帯を取り出し、つよしは青ざめ慌ててカバンからゴムを探している。
修二「もー、からかうのやめなよー」
むつ「本気だ」
つよし「ヒィー!」
つよしはゴムで前髪を結んでいたが、俺の本気発言に驚いて、ゴムがパチンと手を弾いてどこかに飛んでった。
つよし「あ…」
修二「あーあ。つよし君ごめんねぇ、冗談だよぉ?そんな慌てなくてもむつはつよしのこと大好きだから」
むつ「は?!」
つよし「あ、ありがとうございます」
いやいや!なんでそこでお礼?意味わかんない、俺が好きなのは修二と華南だし!!つよしも赤くなんな!恥ずかしがんじゃねぇ!こっちが恥ずかしいわ!!
商店街の真ん中で、じゃれ合う俺たちだが、周りからしたらつよしが絡まれてるように見えるだろう、誰かに誤解される前に、移動したい。
すると、つよしの後ろから近づいてきた人物が、いきなりつよしの頭を鷲掴みにする。
克哉「あ、かわいい子見っけ!」
つよし「ぎゃあっ!!」
商店街の目立つところにいたからだろうか、つよしの背後に克哉が立ってて、克哉の声につよしは飛び上がって俺の後ろに隠れた。
修二「ちょっと華南、マジで呼んだの?」
華南「呼んでない呼んでない!」
華南が冗談じゃないといった感じでぶんぶん手と顔を振って否定する。
克哉「あれ、お呼びで無い…こりゃまた失礼しました。ってか、制服かわいいね、それ着てると中学生に見える見える、あーでもその前髪はダメだなぁ」
相変わらずペラペラ喋る克哉が、つよしに手を伸ばすと、つよしはビクッと硬直して、むつの背中で動かなくなった。
克哉の手が、つよしの前髪を撫でると、直ぐに離れた。
修二「おっ、イイじゃん、流石床屋」
克哉「床屋って褒められても締まりがないな、カリスマっとか、天才の方がいいな」
つよしが目をパチクリしている。
前髪の八割位をバッテンのピンで止めたのだ。
華南「お前、なんでいるの?」
克哉「へへ、通りすがりです。ここは商店街ですよ、誰でも通ります。それに俺ん家ここからメッチャ近いし。まぁ、そんじゃ、俺はこれで。あ!ピンはあげるから、貰って、バイバイ」
またしても、言いたいことだけ言って、克哉はニコニコ手を振りながら背中を向けた。
つよし「あの!」
克哉「え?」
つよし「……絵画に興味はありますか?」
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結局、男5人で絵画展に乗り込んだ。
もちろんメッチャ目立ってた。なんせ、頭がカラフルな俺たち。一般客からしたらどうしたの?って言いたい気持ちも分からなくはない。まぁ、ジロジロ見るやつには、ひと睨みすれば済む。
俺と華南にはただの絵だが、つよしと修二と克哉にはそうじゃないみたいではしゃいでる。あの絵はどうとか、この絵はなんだとか。
まぁ、こういうのも悪くない。
所々に、オランダの風景写真が置いてあって、俺にはそっちの方が興味があった。
だってこの風景は…
ーブーブーブーブー
俺のポケットで携帯のバイブが振動してる。取り出してみるとメールで、それを開いた俺は驚いた。
むつ「え?」
俺の異変に気づいた修二が直ぐにそばに寄ってきた。
修二「どうしたの?」
むつ「産まれたって」
華南「え?」
修二「嘘、マジ?」
むつ「マジ、五分前、写真付いてる」
俺が携帯の写メを見せると、修二が顔をほころばせて釘付けになって、あとから、つよしと克哉も携帯を覗き込む。
つよし「え?赤ちゃん?うわーうわー、かわいい!むつさんの弟さんですか?」
むつ「ちげーよ、姉貴の子」
克哉「マジで?目がむつにソックリじゃん」
華南「ほんとだ、猫目で俺様っぽい」
むつ「なんだその俺様っぽいって」
俺が軽く睨むと、華南は修二に向かって「なぁ〜」って同意を求めていたが、修二は赤ちゃんの写真に釘付け。
つよし「いいなぁ、病院行くんですよね?」
むつ「え?でも…」
つよし「あ、僕の事は気にしないでください、行ってくださいよ、病院この近くのですよね?行ってください」
つよしにぎゅうぎゅう背中を押される。
まぁ、暇だったら見に行こうとは思ってたけど、つよしがこう言ってるし、行くか。
むつ「んじゃ、行ってくるわ、ごめんなつよし」
つよし「ぜひ写メ撮って送って下さい」
むつ「おお。修二、行くぞ」
俺が修二の腕を掴んで引っ張ると、修二は驚いてキョロキョロしてる。華南がいってらっしゃーいと手を振るのを、戸惑いながら俺に引きずられていた。
修二「え?いいの?僕ちゃんが?」
むつ「今更なに言ってんだ、姉貴の子供の夢の時も産まれて直ぐ見に行ったろ?それに姉貴が産まれたら抱っこしてくれって言ってたじゃんか」
修二「あの…でも…」
むつ「なんだよ、抱っこしたいくせにつべこべ言うんじゃねぇーよ、楽しみにしてたろ?」
修二「…はい、楽しみにしてました」
修二は観念したように恥ずかしそうに言って、俺に引きずられて病院へ向かった。
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