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俺たちに射す斜陽〜むつ〜回想4屋上
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次の日の朝。
俺はいつもより早く家を出た。
修二のところには行かず、真っ直ぐ学校に急ぐ。昨日吉良さんに貰ったDVDを抱えて。
俺はあの人に怒っていた、学校中探したが、まだ吉良さんは来てなくて、電話も出ない。
吉良さんの教室で待ち構えること数分、上履きの踵を踏んでタラタラ歩く吉良さんを見つけてとっ捕まえた。
むつ「吉良さん!!アレなんすか!!」
廊下の目立つ場所で人目も気にせず怒鳴ったら、吉良さんはケラケラ笑って、移動しようと言った。
いつもの俺たちがたむろする屋上では、修二と華南に見つかるので、隣の校舎の屋上に腰を下ろす。
むつ「吉良さん!俺で遊んでるだろ!?」
吉良「あはは、何のこと?俺は睦美に愛されようと必死なんだけどなぁ」
むつ「俺はあんたとは恋愛はしない!」
吉良「分んないよぉ?付き合ってみたらとっても居心地いいかもよ、俺優しいし」
むつ「…、吉良さんは意外に優しいけど」
吉良「意外?酷いなぁ、睦美にはめちゃめちゃ甘いのに」
むつ「いや、色々助けてもらってるけど!今回のは無いんじゃない?俺、恋人にあんな酷いことしたい訳じゃないし」
吉良「あ〜、アレ?ご注文どうりちゃんとしたSMもの用意してあげたじゃない、酷いことって、SMってアレで気持ち良くなっちゃうんだよ?さみしんぼ君Mなんだろ?」
むつ「は?気持ちいい?吉良さんパッケージ見ただろ?受け奴すっげェ泣いてたじゃんそれに俺あんなの…」
吉良「むつはSには向かないよねぇ…それとも俺が特訓してあげようか?」
むつ「勘弁してくださいよ!!」しつ
吉良「もっと他の男同士の用意しようか?」
むつ「男同士のなんか気持ち悪い!」
吉良「あ、君がそうゆう事言う?」
むつ「別に俺、男の体見て興奮とかしないし!男とエッチしたい訳じゃねぇーし」
吉良「えー、でもセックスしてるじゃん、気持ちいいってヤりまくってるじゃん」
むつ「あいつは別で…、気持ちよすぎなんすよ。ってか、あのDVD吉良さんの趣味っすか?不良をM男に調教って!ドン引きなんすけど、俺勃たなかったし!」
DVD3本の内2本は男女ものだったが、残りの一本がゲイもので、男同士、しかも強姦まがいに縛って集団で調教とゆう見るに堪えないものだった。
吉良「クス…ちゃんと見たんだ」
むつ「見たよ!亀甲縛りとかムチとかロウソクとかグロいし、実際あんなんでアンアンするわけないじゃん、キモいっすよ!」
吉良「アレは、むつの為に用意したんだよ、あんま喋って回って恋人を困らせてると、ああやってさみしんぼ君が連れ込まれて集団レイプされちゃうよぉ?」
むつ「もー勘弁してよ、こないだので懲りたし。…俺、隠し事下手だし…」
吉良「あはは、むつはほんと下手だもんね、でも気をつけないと、現に人目のつくとこで男に告白した雷太は、連れ込まれたし、差別もある」
むつ「くだんない…。はぁー、男同士ってめんどくさいんすね」
吉良「そうだよ、世間じゃ肩身が狭いんだ。それに、今年は受験でしょ?先のことは考えてる?高校卒業してからはどうするの?」
むつ「あ、卒業…何も考えてなかった」
吉良「卒業して、付き合っていける?君たち小学生みたいな恋愛して。外で女のいる生活になれば、考えも変わっちゃうかもよ。俺の友達は別れたね、やっぱ女の方がいいみたい、隠すのもしんどいし。むつは隠してられる?」
むつ「めんどくせぇー。隠せ隠せって、俺、手ェ繋いだりキスとかしたいし。隠すとか続かねぇーし…、もっと自由にできないのかな?…俺、先のこととか、進路のこととか考えてなかった〜」
吉良「まぁ、大人になるって面倒ごとが増えるんだよ、君らお子様だしそれに君らは茨の道?まっ、男同士ならでわの楽な事もあるだろ?、女みたいに、妊娠しないし、あれ持ってコレ買ってとは言わないし、買い物付き合わなくっていいしデートだって恥ずかしいとこ行かなくっていいし、エッチもツボ心得てるし、感情面サッパリしてるだろ?」
むつ「吉良さん今まで俺の話ちゃんと聞いてた?まぁ前半は納得だけど、エッチは確かに気持ちいいけど、エッチだけ良くてもだめじゃね?感情面修二は複雑でややこしいし、昔からそうだったけど、付き合ってから酷くなった、いい加減にしてほしいわ、もう最近のあいつイライラする、ふざけんなって言ってやりたい……」
吉良「ああ、彼、重いしめんどくさいよね?」
その言葉に怒りを覚え。吉良さんを思いっきり睨んだ、俺は、修二を“重いしめんどくさい”なんて思わない、たとえ俺が今までその言葉を使ってたとしても、今吉良さんが使ったのと意味が違う。修二を悪く言うなら、吉良さんだって容赦しない。
むつ「…」
吉良「…」
吉良さんは俺の言いたいことが分かって肩をすくめる。
でも、分かってる。吉良さんに愚痴ばかりこぼしてるのは俺だ。
恋愛の仕方が分からない、本当だったら、気になって、恋して、セックスする。でも俺たちは体が先だった、だから今更セックス抜きとか無理だ。今はこんなに好きな気持ちがある、でも、つきまとうんだ、修二も華南も俺も、順序が逆だったこと…。
それを1番気にしてるのは修二だって分かってる…、でも、だから…どうすりゃいい?俺はどうしてやればいいんだ?一緒にいてラブラブイチャイチャを目指して何が悪い…?分かってるよ、早急だって。俺が悪い…俺が…。
むつ「…俺が悪いのかな?やっぱエッチしなきゃよかったのかな?」
ポロリとこぼれた。俺らしくない…。
順番が逆だっら揉めずに済んだのか?納得して付き合ってるのか?
変えられない過去を悔やむなんて、俺が1番嫌いなことだ。
隣の吉良さんが苦笑いした。
吉良「ふふ…でも、エッチしなきゃ、男相手になんて考えもしなかったんじゃん?」
そうだ…。きっと、マキに無理やりセックスさせられなかったら、今のようにはなってない。修二は、絶対に告白なんかしなかったろうし、華南は女に不自由しないから、気持ちを気のせいで済ましたかも。
吉良「………それじゃこの先どうすんの?将来も考えなきゃなきゃ、やりたいことは?」
むつ「…将来は考えてありますよ!まだ内緒だけど。やりたいことは、行きたい国があるんだ!」
吉良「え?外国?どこ?」
むつ「あー、なんだったかな…、とにかく、最終的にはそこ行ってそこに住む!でも進路は考えてなかった」
吉良「壮大な夢だね、英語できないのに、まず目の前を考えなきゃ高3なんだし」
むつ「留年してる吉良さんに言われたくないっす」
吉良「ふふ、ごめんごめん」
むつ「卒業した後かぁ、やっぱバラバラになんだろうなぁ?」
吉良「君たちは一緒にはいられないんじゃん?」
むつ「確かに、一緒は無理だ…キツイわ」
吉良「なんだ、現実が見えてるじゃないか……。そうだよね、むつの頭じゃどこの大学も入れないし、かと言って修二は大学行くだろうし、でも三人で一緒にいたいんだろう?」
むつ「今からじゃ遅いっすか?」
吉良「遅い遅い。…俺がいい就職先教えてあげるよ。俺んとこくる?お買い得だよ、給料いいし、俺は睦美を愛してやまないし」
むつ「吉良さんキモい」
吉良「酷いなぁ、こんなに大事にしてあげてるのに」
むつ「もう、十分です」
吉良「お金必要でしょう?君のキレやすい性格ですぐに就職できるとは思わないなぁ。アルバイトくらいして社会になれたら?夏休みのバイト紹介するよ?俺と一緒にすごさない?」
むつ「…吉良さんとこか…そうしようかな?」
俺の性格じゃ、コネ入社しか無いかも…。
こんな俺と一緒にいてくれる華南と修二って、マジ、マリア様。
自分について人生で1番反省した。
その時。
屋上の扉がバァーンと開いた。
華南「ゆるさーん!!」
扉から現れたのは興奮状態の華南。
むつ「華南?」
華南「吉良さん!むつは俺のだ!!あんたのとこにはやらねぇー」
吉良「あははは」
吉良さんをビシッと指さし、唐突に当たり前の発言をした華南に、吉良さんは爆笑して、華南は怒りに震えた。
華南「何がおかしい!」
むつ「お前は馬鹿か?」
華南「え?だってむつが吉良さんに口説かれて俺のものにならないかって…」
むつ「言われてねぇーよ、就職先紹介してくれるって言ったんだよ!!」
どんな耳してんだ、聞いた言葉を捻じ曲げるな!まぁ口説かれてはいたけど。
華南「あ、ごめん。あれ修二は?」
むつ「来てねぇーよ」
華南「あれ?っかしーな?いなくなってたからてっきり」
吉良「…。電話してみれば?」
華南「そっか、電話。…!。の前に」
そう言った華南は、俺の前で腕組みして仁王立ちでこちらを見下ろす。不快だったが。
目が…、マジだった。
華南「むつ、そろそろ修二が可哀想だぞ。拗ねたり照れたり忙しいのはしょうがないけど、修二には修二のペースがあるし、せっかくいい感じでほころんでるのに、追い詰めていじめんなよ」
むつ「はぁああ?!いじめって俺のどこが虐めてるんだ!!あいつが!…、っ、ペースがゆっくりなのは分かってんだよ!でも付き合ってからあんまりに変わっちまって、俺にビビるから…」
華南は俺の言葉に呆れ、深い深いため息を吐いた。
華南「はぁ〜〜〜。言いたいこと山ほどあるけど、むつ、変わっちまったのは、お前だろ?」
むつ「は?」
華南「それに、修二はビビってるんじゃなくて、テンパって照れてるの。最近のお前みたいに」
むつ「はぁあ?!俺が?照れてる!?いつ?」
華南「ここ最近ずっと」
むつ「は?意味わかんない!照れてないし!ムカついてるんだし!こないだはあんなに可愛かったのに!あいつすぐ嘘つくし!何も言ってくんないし!だから!そばにいるとイライラするし!かと言ってそばにいないとイライラするし!でもそばにいると落ちつかねぇし!モジモジしてて、俺に何も言ってくれねぇーし!甘えないし!付き合ってんのに、イチャイチャしたいのに!いじめられてるの俺だし!!」
華南「それを照れてるのと、すねてるといってんだ」
吉良「あははは!」
は?意味わかんないし!なんで笑ってんだ吉良さん!!
華南「むつ…。お前、イライラしてんじゃなくて、ドキドキしてるんだよ。修二のことすっげぇー好きだってこと」
は?
つよし『…。つまりそれって、すっごい、好きだってことですよね?』
意味わかんねぇ…。つよしと同じこと言ってやがる。
華南「…。混乱した?んじゃ俺の胸に飛び込んでおいで、甘やかしてよしよししてあげる」
華南がしゃがみ込み、両手を広げる。
むつ「はぁあ!?キショい!」
急に華南が男前に微笑んで、いい声で近づいてきたから、むつは顔を赤らめて後ずさる。それでも華南の低音ボイスが耳をくすぐる。
華南「遠慮しないで、甘えていいよ」
むつ「ふ、ふざけんな」
華南「なんだ、俺のこと嫌い?」
むつ「嫌いな訳ねぇだろ!」
華南「じゃあ、なんで、甘えてこないの?」
むつ「あ?そんなのできっかよ!恥ずい!」
華南「…ってな感じでなんですよ。今のむつが修二にやってることって。それで、こないだ、たまたま思いどうりイチャイチャ出来たら、今度は自分が恥ずかしくなってきちゃって、照れてドキドキしてるの、でも、そんなコロコロ変わったら、修二が戸惑うの当たり前だし、修二に言葉を言えなくしてるのむつだよ?ちょっと考えて反省しなさい」
………………。
もしかして、いや、もしかしなくても、俺って自分勝手で傲慢で酷いやつ??
でも、イライラしたんだ…
落ち着かなくて、ザワザワして、そばにいたら急にぎゅーッて苦しくなって…
ドキドキ?
ドキドキって…どういうこと?
華南「分かったらとにかくむつから電話して、今から教室戻るって言いなさい、そしたら解決策を伝授しよう」
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