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俺たちに射す斜陽〜修二〜
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…不思議だ。
屋上で、むつの本音を盗み聞いて…
全部諦めた途端
毎日が穏やかに過ぎている。
百目鬼さんの言った通り…
好きだなんて言うからむつを困らせた。
男に好かれて煩わしい思いさせるなんて、僕は男の癖に最低だ。
でももう間違わない。
まだ、そばにいたい…
自分を殺して関係を戻せば、高校生の間くらいは“恋人”でいてもらえるかな?
恥ずかしい、恋しい、愛しい、全部呑み込んで、片思いの時のように気持ちを切り替えたら。あれだけ毎日むつをイラつかせてたのに、喧嘩することも無くなった。
普通だったらボロが出たろうけど。
兄貴に、百目鬼さんと出くわしたのをバラしたら、兄貴は予想通り学校にすっ飛んできた。あのまま、むつの隣にはいられなかった。あのままいたら、最高にめんどくさい自分がやらかしてしまっていただろうし、それなら兄貴に説教された方がマシだ。
兄貴はすっごい怒った、まぁそうだ。弟を拉致監禁した相手と接触したのを黙ってたんだ、送り迎えをすると言いだし、3号店オープンで忙しいのに時間をさいてくれた。
本当に申し訳ないことをした。
兄貴はすぐにかつての仲間の情報網で、この街に百目鬼がいないのを確認した。彼はこの街にいない…今は…
テスト週間になり、迎えに来れないことを不安がったが、どうせむつと華南とずっと一緒にいるし、もしもの対策は5年前から兄貴と立てている。僕は兄貴をなだめ、心の中で謝った。できれば、兄貴には苦労をかけないように黙ってたかった。ごめん。百目鬼さんに『またな』と言われたのは黙ってた。彼は仕事でこの街に来て、偶然会っただけだから大丈夫と説明した。
ごめんね。後は1人でなんとかする。
兄貴にバラしたのには、他の利点もあった、華南とむつの前で、うまく立ち回れないのを兄貴と喧嘩してるせいに出来る。
それで押し通してるけど、むつも華南も、だんだん不振がってる、おかしいなぁ、僕、普通通りできてるし、そんなに下手じゃ無いと思うんだけどなぁ?。
ちゃんと笑ってるし、むつの望むことも出来てるはずなのに、時々華南が怖い顔をする。
やっぱり百目鬼さんとのこと話したのは失敗だったな…。
むつ「修二、帰ろうぜ」
修二「うん」
テスト週間が始まった。すでに中日の水曜まできてる。今回はしっかり勉強したから問題ないだろう。むつと華南とはテスト勉強始まってから禁欲の約束をしてるから体の調子も良好。まぁ、ご褒美のチューと時々抜きっこはするけど、ちゃんと勉強した上でだから問題ない。
2人とは、もう2週間以上セックスしてない。
もう、することも無いかも…
もしかしたら飽きるのも、もうすぐかも…
ううん、違う…、自信がないんだ…
体を重ねて、自分を殺す自信がない…
テストが終わって、セックスしたいって言われたら…、僕は、むつに応えることができるんだろうか?ちゃんと自分を殺していられるだろうか?
華南「むつ!修二!悪い!俺先帰る!」
血相変えた華南が慌てた様子で走ってきた。
修二「どうしたの?」
華南「なんか、北斗が怪我したらしくて、病院行ってるんだけど、連絡受けてテンパった母ちゃんが保険証持ってくの忘れたらしくってさ、付き添いもあるから、俺が届けてくるわ」
修二「え?大丈夫なの!?」
華南は軽い感じで「大丈夫、後でメールする」と、足早に帰って行った。
むつ「えー、北斗が?あいつ超運動神経いいのに」
修二「うん、心配だね」
むつ「まぁ、命どうこうじゃないだろうから大丈夫っしょ」
華南の様子が深刻じゃなかったから、とりあえずメールを待つことにした。
帰りに、むつが気分転換にCDでも見てこうよって言うので、商店街に寄ることにした。
なんだかむつに気遣われてる気がする。
僕はやっぱり…うまく出来てないのかな?
CDショップに僕とむつが好きなバンドの新曲が発売してた、なんてタイミングいいんだって思ったけど、CD見つけた時のむつのわざとらしい驚き方に、思わず吹き出しそうになった。
むつ「へー、シラナカッタぁー、丁度いいから買って行こうぜェー」
棒読みだし…。
本当だったら華南がいて、うまくごまかしたんだろうけど、華南が急用で居なくなって、むつは一生懸命なんだろう、笑ったら失礼だ。
むつ「……。あーもー!笑いたきゃ笑えよ!どうせ隠し事できねぇーよ!」
修二「ごめんごめん」
むつが白状しちゃうから、我慢してた笑がこみ上げて、止まらない。むつは眉間にシワを寄せて腕組みして拗ねてしまった。
修二「ふふ、ごめんごめん」
むつ「笑ながら謝んな」
修二「怒らないでよ、可愛いから」
むつ「かわ…、もういいよ」
禁句を聞いたむつが怒ってカッと顔を赤くしたが、ニコニコ笑う修二を見て、諦めたようにそっぽを向いて、そのままトボトボ先を歩いて行ってしまう。
修二「むつ、むーつ君」
むつ「…あーもー、お前まだ奏一さんと仲直りできねぇーの?」
修二「え?」
むつ「…。表情が固いんだよ」
あー…僕のバカ…、また、むつにめんどくさい思いさせてる。
修二「兄貴ってぇ、根に持つタイプみたい、なんかごめんねー、今日は僕ちゃん帰るよ」
むつ「帰るな!」
修二「え…でも」
むつ「華南帰ってくるまで2人なんだから、…ひ…膝枕してやるよ」
偉そうに言いながら、そっぽを向いたむつは真っ赤だ。
ードキン
心臓が大きく動いた。
ダメだ…
動くな…
むつの負担になる
いらない
僕の気持ちなんかいらない。
むつは返事しない僕の腕を掴んで、強引に引いた。
ードキンドキン
むつ…
どうしよう…
むつが好きだ…
ーパッパァ〜!!
車のクラクションが真横で鳴った。
びっくりして2人で車の方を見る。
黒い高級車が横で止まっていて、助手席の窓が自動で降りる、中の運転席の人物が声をかけてきた。
「久しぶり、修二」
…恐怖の声音が響いた。
修二「…」
運転席の人物は、助手席に身をのりだし、空いた窓に顔を覗かせた。
黒髪に深めの帽子をかぶり、大きめのサングラスの淵の飾りが光る。ラフでオシャレな服装。
数日前とは印象が正反対。
僕は思考が停止してしまい、彼に名乗る時間を与えてしまった。
男「お友達?初めまして、俺、修二の兄の奏一と同じグループにいたことあるんだ。
〝百目鬼 神〟
よろしく」
彼が、むつを見て、笑った。
これは、甘い夢を見た僕への罰だ…
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