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俺たちに射す斜陽〜修二〜
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僕はてっきりホテルに連れ込まれると思っていた。
降り立った駐車場は、木に囲まれて薄暗い林。百目鬼さんの車以外は無く、淋しい場所かと思った。
しかし、歩いて数分。連れて来られたのは、明るく景色のいい森の公園に建てられたオープンカフェ。
人はチラホラ居て。百目鬼さんは、テラス席の一番端の明るい席に僕ちゃんを座らせると「逃げるなよ」と言って、店の中に飲み物を買いに行った。
今の内にと思い、兄貴には、今日は気分転換に出掛けるから帰ったらまた、メールしますと送り。
華南には、用事ができて今日はむつの家に行かないことにした、とメールした。
それにしてもあまりに似合わない、周りの景色を眺めていると、テーブルにカタンと音がして、トレーに飲み物と、サンドイッチを持った百目鬼さんが戻ってきた。
百目鬼「昼飯まだだろ?食え。紅茶は、ガムシロ一つ、ミルク三つだよな」
僕ちゃんの好みの配分、覚えてたのか…、少し驚いて瞬きした。
昔はデートまがいのことをしたこともある。お互い、代わりだった。
初めての時の強姦と最後の監禁以外は、多少強引なことはあったけど、お互いを納得して体を重ねていた…
百目鬼さんは、自分の分のコーヒーを取ってトレーを僕の前に置いた。
僕は、手をつけず、紅茶を眺める。
沈黙が続いて、数十分。
百目鬼が口を開いた。
百目鬼「単刀直入に言う。俺は、お前とやり直したい」
…やり直す?
僕らは付き合ってたわけじゃない
でも、これは…
自業自得だ…
昔、彼にすがった代償。
僕は、中学1年の時、持て余していた気持ちを1人で抱えていられなくなっていた。
そんな中、彼に襲われ、強姦される痛みの中で、むつの名を叫び。僕が男を好きで、同じ苦しみを持つ人間だと気づいた百目鬼さんは、涙を流した。
僕に謝って、手当てをしながら、僕の兄貴を狂うほど好きだと告白してきた。
男を好きになってしまう自分と加虐心のある性癖に悩み、兄貴を傷つけまいした結果、限界を迎え。本物の兄貴を手に入れられなくて、目の前の一回り小さくて力の弱い、同じ血の流れる似た顔の僕を前に、理性の糸が切れたのだと語った。
強姦した人間の話に耳を傾けることがおかしいのは分かっていたが、百目鬼さんは僕のむつに対する気持ちを、
『人を好きになるのは自由だ』
と、言ってくれた。
自分が男を好きであることに苦しんでいた僕にとって、それは、一筋の光だった。
『友達にならないか?』
と言った百目鬼さんを、僕は拒めなかった。
それからは、悩みを聞いてくれる百目鬼さんと2人で会うようになった。お互い唯一の悩みを話せる相手。
彼が、再び体を求めるようになるのに時間はかからなかった。
同じ同性愛者
悩みを聞いてくれる人
むつと同じ金髪…
お互い、好きな人の代わり。
百目鬼さんはSM趣味で、欲情すると加虐心が止めらるない性癖があったが、むつがシてると思えば抵抗はなかった。どんどんエスカレートする要求も別に苦痛ではなかった。
慣らされ全て受け入れる体に、加虐心をコントロールしきれないで悩んでいた彼は、次第に固執していった…
半年を迎えた頃、百目鬼さんに好きだと告げられ。
僕は、百目鬼さんを拒んだ。
百目鬼さんが僕の中に兄貴を見ているのは明白で、僕も彼にむつを見ていた。
彼が本気でも、そうじゃなくても、もう、限界だった。終わりにしたいと告げると、逆上した百目鬼さんは、僕を監禁した。
『ノンケに恋なんかしても所詮報われない!、それに、お前の体、もう俺じゃなきゃ満足できないぞ、お前がどんな人間か俺が教えてやる』
その後は、思い出したくない惨事だ。
目をそらしていた事実。
好きな人以外に体を開いていたこと…
彼は的確だった…
体を開き、散々イかせてから。
男たちを呼び、僕の体が誰にでも感じると思い知らせた…
性欲と恋心は別だと…
僕の気持ちはむつにとって迷惑だと
僕を泣かせるための攻撃は、彼と半年過ごし、吐いた弱音の数だけ、僕の心を正確にえぐった。
だから…
やり直す?
何を?
のどかで緑豊かな森の公園に、オープンカフェ、オシャレな服装に、ケーキセット。そして告白。
僕は視線を紅茶から動かさず、うつむいたままでいた。
百目鬼「後悔してる。最後のは、本当に悪かった…。お前が泣かないもんだから、意地になった。」
僕は泣かなかった。
拒絶の声も男達に輪姦された時に出したっきり。
諦め、あとは、全て、快感に変わった。
修二「…」
百目鬼「…修二 “ が ” 好きだ。俺は真面目で、本気で話してる。………まぁ先に言っとくが、俺の性癖は昔と同じだがな…」
僕は、冷めた紅茶から視線を上げた。
サングラスを外していた百目鬼さんは、睨むような真剣な瞳で僕を見ている。
百目鬼「返事が欲しいんだが…」
修二「……僕の意見は聞いてもらえるんですか?」
百目鬼「聞くさ」
修二「……、絶対に嫌です」
僕はひるむこと無く、真っ直ぐ百目鬼さんを見つめて言い切った。
百目鬼さんは、ニヤリと笑った。
予想済みだろう、僕がなんて答えるかなんて、容易に想像がつく。
百目鬼「腹を割って話そう修二。お前、あんな子供相手じゃ満足出来ないだろう?」
あんな?
百目鬼「あんなノンケの子供はすぐに女にとられるぜ」
…。
百目鬼「セックス覚えたてのガキが手軽にサカってるだけじゃねーの?」
…。
百目鬼「なんなら、お前が納得するように、高校卒業まで待ってもいい、卒業したら、あいつらは逃げる、捨てられたお前をたっぷり慰めてやるよ」
…。
百目鬼「お前も、その心配があるから黙りなんだろ?昔から溜め込むタイプだもんな」
百目鬼さんが、僕を傷つけようとしてるのは分かってる。
むつと華南と甘く過ごした一週間の間に、こう言われたら、この場で取り乱すこともあったろう…。だけど、そのことはもう本人の口から聞いた。
修二はキレイに微笑んだ。
修二「……心配?してません。今はちゃんと付き合ってるし、割り切ってますから。男同士ですよ?…、そんな当たり前のこと言って僕を傷つけて泣かしたかったの?」
百目鬼「泣かしたいね。泣かしたら、慰めて抱きしめるチャンスが来る」
修二「残念でした。僕は泣きません、男がそういちいちメソメソするわけないだろ」
百目鬼「割り切ってる?…ははっ。さっき、むつに手を引かれてたお前は泣きそうだったぞ?」
!!。見られてた。
それに、一緒にいたのがむつだってバレてる…。
百目鬼「どうやら、上手くいってないみたいだな、本気なのはお前だけで、向こうは割り切った関係か?俺の入り込む余地がありそうだ」
修二「…」
修二が睨みつけると、ニヤリと笑った百目鬼は、数枚の写真をテーブルの上に置く。
それは、僕たち3人を隠し撮りしたものだった。
百目鬼「3人で付き合ってるんだな。…お前が、こんな顔して笑うの、初めて見た」
写真に映る僕は、自分でも知らない顔で笑ってた。
百目鬼「流石本命か?…じゃあこっちの華南とかいうのとはどうして付き合ってる、本命と付き合えても足りなかったのか?そんなにこいつのものが気に入ったのか?お前の体はこいつらじゃ満足できないし、ノンケのこいつらにいつか後悔されるぞ?男とSEXしなきゃよかったって…」
むつ『やっぱエッチしなきゃよかったのかな?』
後悔なら、もう、されてる…。
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