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体育祭と俺たち=前日=
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吉良「………これは…いったい」
テスト週間が終わり、土日の休み明け月曜日。
昼休み。いつものように牛乳を片手に屋上の扉を開けた吉良が、細い目をさらに細めて呆れた声を出した。
屋上には不思議な光景が広がる。
むつと修二と華南、そしてシクシク泣いてる雷太がいた。
華南が壁に寄りかかり、その腕の中に修二がいて、さらに修二の伸ばされた両足のもものところに膝枕してもらってるむつが寝転がって、修二に弁当を食べさせてもらっていた。
雷太「吉良さぁ〜ん、なんとか言ってくださいよぉ〜」
雷太が涙目で吉良を見上げて訴える。
むつは不機嫌に口をモグモグしながら雷太に毒づいた。
むつ「嫌ならもう来るな」
はっきりと言い放ち。
口を開けて修二に次のおかずを催促する。
吉良「…睦美…、修二が茹でダコみたいだけど…」
吉良が来たからだろうか、あるいは膝枕を強要された時からだろうか、修二は顔を真っ赤にしながらうつむいてむつの要求に応える。弁当の中身の卵焼きを箸で摘まんでむつの口に運んだ。
吉良「いったい何があったの?やっぱり修二襲われた?」
むつ「襲われてねぇーし!ってか想像でもやめてよ、マジあり得ない。修二をアンアン言わせていーの俺たちだけだし!」
吉良「…へー」
むつがしれっと爆弾を投下すると。
修二は気を失いそうなほど青くなり。
華南はそんな修二の頭を撫でて落ち着かせ。
吉良はおかしいやら呆れるやら入り混じって目を細めた。
雷太「え¨ーーーーー!!??」
一間遅れて絶叫した雷太。
羞恥で真っ赤な顔から湯気が立っている。
アワアワした口が全く言葉にはならなくて、赤かったり青かったり顔色も定まらず、手がブルブル震えていた。
吉良「…今更何に驚いてるの?むつが攻めで修二が受けなこと?」
雷太「えっ!?せ、せ?、う?うけ!?男同士ですよ!?」
雷太の言葉に修二がビクリと肩を強張らせ。むつの眉間にシワが寄った。
雷太は、男同士のセックスを知らない。
意地悪な口調の吉良は、うろたえる雷太にお構いなしに続けた。
吉良「あー…。スポーツばかりしていてそうゆう知識無いのかな?童貞君は」
雷太「ど…童貞って、俺まだ高1だし!」
吉良「そもそも、睦美に言いよる君が、何故ここへ出入りできると思う?君がスポーツバカの童貞で、睦美への憧れを恋と勘違いしてるお子様だからスルーしてるんだよ」
表情を動かさず、淡々と言った吉良は、愕然としてる雷太を放置して、修二の膝で寝転がるむつに近づく。
ショック状態から我に返った雷太は自分を無視する吉良の背中に怒鳴った。
雷太「お、俺!ちゃんと好きだし!!」
吉良は、はいはいと興味なく手を振って、むつの前に座り込む。
吉良「睦美、お行儀悪いよ」
むつ「あっ、そうだ吉良さん、紹介してくれるって言った夏休みバイトするよ、華南と一緒に」
吉良「おや、保護者付き?」
吉良はふざけた調子でオーバーに肩を落として見せる。
むつ「ちげーし、せっかくだから、バイト代で旅行しようかって、修二は奏一さんところでバイトしてるし」
むつが悪気なくそういうと、吉良はオーバーなまま嘆く。むつは呆れてそれを眺めた。
吉良「酷いな。堂々と俺を使うのか」
むつ「吉良さん…」
吉良「冗談だよ、使って使って。泊りで海の家のバイトだから、俺と同じ部屋でいい?」
華南「いや、ダメっすよ!」
それまで黙ってた華南はすかさずツッコむと、吉良は愉快そうに目を細める。
吉良「酷いな、俺に君らのメイクラブを聞いてろと?」
華南「いやいや、ヤらねーし!!」
卑猥な会話の内容を気に留めることもない3人。そしてその内容に衝撃を受けすぎて、完全にフリーズしてしまってるのが役一名。
雷太。彼は完全に頭真っ白で、固まっている。
吉良「それよりむつ、いい加減起きたら?喉に詰まるよ」
むつ「今はダメー、調教中だから」
吉良「調教?」
むつ「修二のやつ全然分かってねぇみてーだから、恋人のあり方を教えてやってるの、今の修二に拒否権は一切ないから」
得意げなむつ、吉良は大人しく膝を貸してる修二の様子を伺ったが、視線を落とす彼は逆らう様子はない。
そこで吉良は、華南に視線を移した。
吉良「どうなってるの?君たち」
投げかけられた問に、華南が渋々応える。
華南「いやぁ…実は…、修二がおバカなことするから、むつがどうゆうのが恋人の理想か1日修二に体験させてるところで…」
吉良「別れるとでも言い出した?…ああ、君も大変だねぇ、いつまでも2人相手にしてないで、睦美を譲ってくれて構わないよ」
華南「お断りします」
雷太「えーーーー!!??」
やっとフリーズ状態から抜けた雷太が、再び絶叫し鯉みたいに口をパクパク動かして3人を指差す。
むつ「雷太、うっさい!」
雷太「え?ぇえ!?う、せ、ぱ、…さん、つ、つ、付き合っ……!!」
むつ「全然喋れてねぇーし」
パニック状態の雷太。
呆れたむつがツッコムと雷太は深呼吸して再び口を動かす。
雷太「う、嘘だ…、さ、3人!?3人で付き合ってるって、なんですか!?」
今頃その話?と、むつと吉良がため息を漏らす。
むつ「好き同士だから付き合ってんじゃん、それ意外にあんのかよ」
説明がめんどうで完結に述べる。
むつが睨むと雷太は怯えたようにつぶやいた。
雷太「え…。いや、おかしいじゃないですか…」
むつ「ぁあ?おかしい?そりゃお前の考えだろ?俺はおかしいとは思ってねぇ、おかしいと思うならお前が消えろ」
一連の修二とのイザコザに、雷太の存在が少なからず関係しているため、むつは口調を緩めない。
雷太「ッ…」
泣きそうな雷太。
ここまで本気で追い払われたことがなくて、戸惑いを隠せない。
むつ「修二がお前に甘っちょろいこと言うから、追い出さないでやったが、お前がいるせいでイチャイチャする時間なくなるし、そしたら修二が馬鹿なこと考え出すし。こっちは散々だ」
修二「むつ」
むつ「うっさい修二!俺はちゃんと返事したし。ちっこいの泣かすのアレだったから、やんわり断ってやったのに、勝手に通ってきたのこいつだ!だから今日はズバッと言ってやったんだ」
雷太「…ッ」
むつの完全な拒絶に、心折れた雷太は、屋上から飛び出した。
吉良「あーあ、泣かしちゃった。酷いこと言うなぁ」
むつ「吉良さん!あんたが最初に色々言ったろうが!」
自分も無関係ではないのに、他人事のようにサラッと言って笑う吉良は、雷太がいなくてせいせいしているようで、口調は明るい。
吉良「えー、俺は思ってること言っただけだし、関わることもないからいいけどさ。睦美はまずいんじゃない?体育祭同じチームだろ?」
むつ「…あ¨っ!」
吉良の言葉に、ハッとしたむつ。
いよいよ明日行われる体育祭で、雷太はむつと同じ赤組だった。
修二「…吉良さん…まさか…」
吉良「ん?何かな修二君」
ニコニコ微笑む吉良に、修二は言葉を続けるのを辞めた。
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