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体育祭と俺たち
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前日までのお天気と違い、雲の広がる今日。
予定通りの日程で行われることとなった体育祭。
朝から騒がしく賑やかで、男子校なだけに、むさい空気が充満していた。
各クラスのクラス別順位に加え、1年から3年までの3学年を各学年クジで色分けし、1年、2年、3年がタッグを組んでの対抗戦、そちらがメインで行われる。
各控え席も色で分類されていた。
赤、青、白、緑、黄色の5色の大きな旗が掲げられ、陣地を各色で取り囲んでいる。
クラスが同じのむつと修二は同じ赤組。もちろん克哉も。
隣のクラスの華南は青組。
吉良は白組と別れ。
1年の雷太がむつと同じ赤組になっていた。
生徒代表、剣道部主将と陸上部部長が、選手宣誓し、スポーツ精神で正々堂々怪我の無いようにと生徒に言い聞かせる。
優勝チームには、後日担任が宅配ピザを取るのがが伝統になってるため、皆気合いが入っている。素行のあまりよろしくない男子校、しかし実行委員が頑張ってくれ、毎年盛り上がりって喧嘩になることはないが、毎年ヒートアップし過ぎて怪我をする奴らがいる。
そのために、今年も保険医アヤちゃんは、テントですっごいしみる薬を用意し、体育の教師通称〝ムサオ〟と待ち構えている。ムサオはムキムキ筋肉の胸毛と腕毛ボーボーの教師。生徒の誰もがこの男の世話になりたくなかった。
盛り上がり見せる体育祭。
各学年の整列状態から、各チームの陣地に移動する。
前日のことで少し気まずいむつは、足取り重く陣地に足を踏み入れた。
すると早速、問題の人物と遭遇。
相手はむつに気がつくと、すごい勢いでむつに向かってきた。
雷太「柴田せんぱーい♪」
人目もはばからず、いつもどうりニコニコしながら、雷太は堂々とむつに駆け寄った。
雷太「昨日はごめんなさい!俺、軽率なことばかり言いました!同じグループになれて俺幸せっす!」
陣地内で出会いがしらに雷太がむつに抱きつく。
いつもなら、手が届く前にその場で蹴っ飛ばされるか、鉄拳が飛んでくるのに、今日はすんなりむつに抱きつくことができて、雷太は目を丸くした。
雷太「し、柴田せん…ぱ…い?」
むつ「雷太」
むつは、抱きついてきた雷太の両肩を持って、真剣な顔で話し出し、雷太の心臓は跳ね上がって、頬が染まる。
むつ「昨日のことは俺あやまらねぇぞ」
雷太「えっ!滅相もない、俺が悪かったんです!おかしいとか失礼なこと言いました、お詫びになんでもします!」
むつ「そうか…。じゃあ雷太、今日は、参加する全ての種目で1位を取ってこい!」
雷太「え…全てって…、クラス対抗もですか?」
むつ「そうだ、全てだ。そしたらまぁ、ご褒美もやる」
雷太「え!?ご褒美!?やる!やります!!全てで1位を取ってきます!!」
パッと花が咲いたみたいに喜んで尻尾を振る雷太。むつはその回答に、ニッコリ微笑んで、雷太の後ろにいる同じクラスの1年たちにも目を細めて微笑みかけた。
むつ「だってよ、1年、頑張れよ」
1年「(ヒィーーー!!)」
華南「おいおい、むつずりーよ」
隣の青組陣地から華南が顔を出した。
前にむつ、後ろに華南と挟まれた赤組の1年は縮み上がる。
むつ「うっさい華南、今日は敵なんだからな!」
華南「はいはい分かってるよ。まっ、がんばって」
むつ「ちっきしょう。クラスに運動部多いからって調子こきやがって…」
残念なことに、むつのクラスのは帰宅部が多く、今日やる組み体操でも苦労に苦労を重ねた。
非力なクラスメートをギロリと見渡し、彼らが恐怖に後ずさる中。のんびり座ってる人物に目が留める。
むつ「おい!修二!!何でジャージなんか着込んでんだ!やる気を出せ!!」
ジャージの上下を着込んで椅子にのんびり座っていた修二。
先週末通過した台風で気温が下がり、本日の曇りで気温は夏としては涼しく過ごしやすい温度のはずなのに、ジャージを着込んでいて、寒そうにしている。
修二「だってぇ曇ってて寒いしぃ〜、むつはやる気出しすぎ、朝からそんなんじゃ、お終いまでもたないよ☆リラックスリラックス☆」
むつ「何がリラックスだ!!俺は今日、リラックスなんか出来るか!!」
修二「ほらほら、2年生の100m走始まってるよ応援して」
むつがここまでご機嫌斜めなのには理由がある。
むつは、本日昼過ぎに行われる応援団の一員で、チアガールの格好をするのが決まっている。そのため、朝から不機嫌MAXなのである。
むつ「おらおら赤組2年!!死ぬ気で走ってこーい!!」
修二「もう…、2年生ビビっちゃってるじゃん」
案の定、プレッシャー負けしたのか、赤組2年は散々たる結果になりつつある。
次は1年生の50m走、雷太は入場門に向かう。
むつ「雷太!一番以外は認めないからなぁー!!」
雷太「了解しました!」
雷太が敬礼して応え、ルンルンで移動する。後に続く1年生達の怯えた眼差し、可哀想だ。
修二はため息を漏らした。
修二「…だから、脅すなって」
移動した先でも、雷太はむつに向かって手を振っている。むつに期待され構ってもらえるのが相当嬉しいようだ。
華南「なんか、前から思ってたけど、犬見てーな奴だな」
修二「そうだね」
華南「忠犬ハチ公?だか柴犬か?」
修二「あー、そんな感じする」
?「ふーん、柴犬ねぇ〜、むつ君いつから犬なんか手なずけたの?」
修二と華南以外の声が混じって、修二と華南は目を見合わせた。
聞き覚えのある、不敵な声。
?「ねぇねぇ、今日はむつ君女装するって本当?ふふッ楽しみだなぁ♪」
どこから話を仕入れたか、どこから湧いてきたのか、その人物は、今日も変装して潜り込んでいた。
修二「…マぁキぃぃ」
マキ「ハァあイ♪」
華南「ッ!お前、その格好…」
2人が振り返るとそこにいたのは、パッと見、スタイルのいい美人系の女の子に見える中性的なハーフ顔、猫っ毛の長い髪をなびかせ、うちの男子校のジャージの上を、サイズが合ってないぶかぶかのを着ている。
丈が長すぎて太ももまであるから短パンを履いていないように見える。白いスリムな足を覗かせる悩殺スタイルのマキがいた。
一瞬女に見えるものだから、マキの存在に気づいた周りの男子生徒がどよめいた。
マキ「あは♪来ちゃった♪」
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