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俺たちの秘密〜むつ〜
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涙が止まらない…
溢れて溢れて止まらない…
辛い思いをしたのは修二なのに…
涙が止まらない…
百目鬼の時とは違う言葉の重み。
同じ内容でも、心に刺さって積み重なる。
真っ黒な瞳の仮面を被った修二。
ここまで来て…
こんなになっても…俺には本音が言えないのか?
俺には…言えない?
俺は修二に何があったのか、どうしたら傷を癒せるのか知りたかったのに、どうして俺が傷つかないように語るんだ…
百目鬼が俺の知らない事実を語った時。
修二は悲鳴のように絶叫して崩れた。
修二が俺に知られたくなかったのは、自分が強姦されたことでも、輪姦されたことでもなくて〝泣きながら俺の名前を叫んでしまった〟こと。
百目鬼の言ったことが本当だとしたら、男達に輪姦されて泣いて俺に助けを求めた時は、修二が今話した感じよりもっと悲惨だったに違いない。
あんなに泣きそうに叫ぶ修二は見たことがない。あんな風に泣いて叫んで俺に助けを求めていたとしたら?
『イヤァアア!!助けて!むつ!!』
ゾッと戦慄が走る、考えただけで心臓が痛い、息が出来ない。
俺はそんな酷いことをした奴に、商店街で出くわした時、修二を引き渡したのか?知らないとはいえ、強姦魔に修二を引き渡して、ゆっくりしてこいって言ったのか…
好きな人を強姦魔と2人っきりになんてそんな酷いことを?
それだけじゃない、俺、修二に散々ひどいこと言ってた…股開けとか…ヤったから付き合うとか…失恋の過去を引きずってると思い込んで、いつまでウジウジ過去を引きずってるんだとか…
俺…修二に今まで何をして来た?
付き合って散々セックスして、嫌がる修二を縛って、オモチャ突っ込んで…ラブラブにならないとか言って毎日セックスして、修二の具合悪くして倒れさせて…挙げ句の果てに…言いたくない過去を言えと追い込んで………。
そうだ、修二が奏一さんと喧嘩する前におかしくなったの俺のせいじゃん…、俺が追い込んだ、言いたくない過去を無理やり聞き出そうとして聞けなくていじけて…俺のせいじゃん…
修二が俺の腕の中で安心するわけないんだ…
だって…華南がいる…
最近いい雰囲気だったのはそうゆうことか…
全部知ってる華南に甘えてたのか…
…修二が今必要なのは俺じゃない…
修二が今怖いのは…
怯えて震えてるのは…俺にだ…
全てを話せない俺にバレたことが怖いんだ…
俺…
俺…こんな時に、修二が辛いこんな時にまで、腹が立って仕方が無い、何故なんだ何でなんだって、もうどうしょうもないことに腹が立つ。
何故修二は話してくれなかった?
言ってくれたらこんなことにはならなかったかもしれないのに、いや、こんなことにはさせなかったのに!
ムカつくムカつくムカつくムカつく!
こんな時にそんなことしか考えられない自分が1番ムカつく!!
そばにいたのに…
1番そばにいたのに…
俺…何も知らなかった…
修二が苦しんでるって知らなかったんだ…
修二が俺を好きだったのも気付かない、苦しんでるのも気付かない…
俺…空気が読めないにもほどがあるんじゃねぇか?
修二はずっと苦しんでた。
ずっとずっと苦しい思いをしてた。
涙も見せず。弱音も吐かず。ただじっと俺の隣で耐えていた。
涙が止まらない…
泣くべきなのは修二なのに…
悲しいのも、辛いのも、痛いのも、苦しいのも、悔しいのも、全部全部修二が経験したことなのに。
知らなかったことに腹が立つ。
気の利いたことが何一つできないことに腹が立つ。
あの男に勝てないのが腹が立つ。
言ってくれなかったことに腹が立つ。
そんなことを思う器のちいせー自分に腹が立つ。
俺…かっこ悪りぃー…
こんな時に修二に何もできない…
むつ「…ひでー…」
立ち尽くして、ぼたぼた溢れる涙は、あっとゆう間に床に水たまりを作る。
心配そうに俺の名を呼ぶ修二。その声がまた涙を溢れさせる。
修二「むつ…むつ、ごめん」
俺の涙に、修二が慌てて近付くいたが、俺に触ろうとはしない。
むつ「…なんでなんだ…」
修二「…」
むつ「…俺じゃ…もう…ダメなのか?…」
修二「なに…が?」
むつ「…俺…が助けられなかったから…、俺じゃダメなのか?」
修二「え!?むつはダメじなないよ!助けられないとか違うから、薬で意識混濁で名前が出てきただけだから!何でそんな話になるの?ダメなのは僕でしょ?」
むつ「俺の存在がお前にそう思わせるのか?」
修二「違う!違うよむつ!」
むつ「何が違うんだよ!違わねぇーだろーよ!俺はお前の心のどっか支えてるつもりでいたけど、お前にとって俺は恐怖の元なんだろ?」
修二「え?何で?支えだよ!むつは僕の心の支えだよ?何でそんなことになっちゃうの?僕がダメなやつだって話であって、むつは何も悪くないよ」
むつ「じぁあなんで怯える!?」
修二「…むつ、僕、最初と最後以外は無理やりじゃなくて、百目鬼さんと同意の上でセックスしてたんだよ?好きな人じゃなくてもヤれちゃうやつなんだよ?」
むつ「今のお前は俺と華南が好きだから、他のやつとヤれたりしねぇーよ」
修二「…さっき見たろ?僕、百目鬼さん相手に感じてた、嫌だなんて口ばっかりで、ちょっと撫でられただけで勃たせて…、僕、好きものなんだ」
むつ「そんな言い方するんじゃねぇーよ!お前の心は勃ってねぇーよ!俺だってチンコこすられりゃあ勃つよ!」
修二「ッ!」
むつ「なんで俺に怯えるか聞いてんだ!どうしてごまかす!俺がそんなに怖いのか?酷い目に合って、俺に言えてれば、お前をあんな奴に引き渡したりしなかった、見せるのだってごめんだ!だけど、お前は言わなかった、怖かったんだろ!俺に言うのが。強姦魔と2人っきりになるより、俺に話す方が怖かったんだろ?」
最低だ。
修二「それは…」
最低だ。俺は修二が困るってわかっててこんなことしか言えない。
むつ「聞いたら俺が軽蔑すると思ってた?意味わかんねぇよ!俺はお前が好きなんだ!ちゃんと好きだって言った!でも、お前は信じない、卒業したら別れるとか、俺を守るために強姦魔にまたヤらせようとしたりとか!俺はお前を守りたいのに、お前は俺の腕の中から逃げて行く。さっきの昔の話だって俺に気を使った言い回しで話してる!俺を信じるより、強姦魔の言うことに従った方がマシか?」
修二「違う…むつ…」
むつ「じゃあ何でだ?何で中学の時も今も言わなかった!?なんで俺にすぐに話してくれなかった!?」
修二「ッ…言えないよ、男に犯されましたってワザワザ言ってどうなるの?」
むつ「俺がぶっ飛ばしてやる!」
修二「…言うと思った。百目鬼さんは朱雀の右腕だよ?絶対敵う訳無い!」
むつ「華南には言ったんだろ!?」
修二「ッ、華南は…こないだたまたま百目鬼さんと出くわして…」
むつ「俺と出くわした時は黙ってたろうが!!」
修二「…」
むつ「華南は優しい…、俺と違ってお前を受け入れてくれると思ったのか?」
修二「違う!…、別れようと思って全部話したんだ…。輪姦されてよがってるなんて気持ち悪いだろ?」
むつ「…別れる?別れられる訳ねぇだろ!本心では受け入れて欲しいとおもってたろ!お前華南のこと大好きな癖に!」
修二「ッ!!」
むつ「気持ち悪い?軽蔑?…何を?…お前がこんなに傷ついてるのに、過去を知って華南がお前を見捨てるって?…あり得ない!!」
修二「…どうして?」
むつ「お前のことが好きだからだよ!!」
修二「………」
むつ「俺だってそうだ、修二が好きだ!お前が言い方選んだってムカつくものはムカつくし、悲しいもんは悲しい!百目鬼はぜってー許さねぇ!」
修二「むつ、落ち着いて、昔の話だよ、もう終わった話し」
むつ「終わってねー!!あいつは諦めてねぇし、俺の中では今始まったんだ!!お前の苦しんだ…っ…6年分の話を、今!聞かされて、お前の6年の苦しみを今の一瞬で『辛かったな』で片付けられる訳ねぇだろ!?お前の苦しみが!苦痛が!そんな簡単なわけねぇ!!俺のちいせぇー頭の想像で追いつくようなそんなもんじゃないはずだ!!」
怒鳴りながら、何が何だか分からないまま、涙だけは止まらない。ボロボロボロボロこぼれてきて止まらない。
痛い!悔しい!かっこ悪い!悲しい!
修二の苦しんだ時間をこんな数分で整理なんかできやしない!
ムカつくムカつくムカつくムカつく!
…。
好きな人が酷い目に合わされて、自分に助けを求めていたのに、何年も何も知らなかったら、一体どうすりゃいい?
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