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俺たちの秘密〜修二〜
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谷崎「柴田いい加減にしろ」
むつ「やだね」
谷崎「修二から離れろ!」
只今、リビングのソファで座ってる僕ちゃんの股の間に収まって、僕ちゃんに寄っかかって踏ん反り返ってるむつは、その体制のまま、僕にパックの野菜ジュースを飲ませてくれています。
トイレから出てきたむつは少し様子がおかしくて、そこへ谷崎が「何か食べるか?昼になる」と声をかけてきた。
台所に移動するとむつのいないところで谷崎に「すっげー怒鳴られてたけど…」と心配されたけど「大丈夫です」と答えたら、むつが後ろからやってきて「近い!」と、ヤキモチを焼いて離れなくなりました。
本当は、反対の体制を要求されたんだけど、断ったら「じゃあ」と言ってむつが無理やり股の間に入ってきた。
食欲が無いと言ったら、むつにパックの野菜ジュースを進められ、飲もうとしたら「はい、アーンして」と言われて今に至る。
どうやら、ラブラブ調教の続きのようです。
恥ずい!!誰か助けて!!
谷崎「イチャつくな!勘弁してくれよ!俺はお前らの事情に詳しくなりたくねぇよ、奏一にバレた時の俺の寿命に関わる!奏一の前でそんなことすんなよ!!」
むつ「谷崎は俺たちのこと知ってるんだろ?だったらいいじゃん、悪いことしてる訳じゃないし。今は修二の回復が優先だろ?ほっといたらこいつ引きこもるし、食事も取らねーよ?」
修二「むつ…後で食べるから、離れ…」
むつ「ぁあ?この場でチューすんぞ」
真剣な目で睨み上げられ、ただでさえ早い心臓が跳ねる。
上目遣い!それ上目遣いだから!
心臓壊れちゃう。ご飯いらないって言わなきゃよかった…
でも…
本当は離れたくない…
今は…
まだまだむつと話さなきゃいけないことがある。むつに聞かなきゃいけないことが…
むつのフワフワの金髪が目の前にある…撫でるとキラキラ光って綺麗だ。
腕の中に狂暴な獣の温もり…怒鳴ってばっかだけど、その言葉は正直で、いつも僕を引き上げてくれる。
本当は誰より熱くて優しい。
でもそれが、上手く伝えられなくて、不器用で怒りっぽくて、でも前に進むのをやめない男。
子供の頃戦隊もののレッドみたいだと思った。好き勝手してメチャクチャで、でも、誰より熱くて、人を引きつけてやまない正義のヒーロー。むつはヒーローのまま大人に近づく。僕のヒーローは今も正直で怒りっぽくて口の悪い天然だけど、誰より熱いまっすぐな男。僕には到底そんな正直に生きることはできない。
何度も何度も惚れ直して。何度も何度も諦めようとして、その度好きになる。
僕にとってむつは、人としても、男としても、憧れて、特別で。
こうしてむつに好いて貰える日が来るとは露ほども思わなかった。
そして、今日は、全部終わってしまうと思ってた。
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
〝むつ…、華南…、好きになって…、ゴメン…。〟
一学期最終日
僕は、奈落の底を覗くことになる。
谷崎「橘が怪我をして入院した」
え!?
百目鬼さんだ…、百目鬼さんが華南に何かしたんだ!!
僕が百目鬼さんと寝ないから?…、だから…
そういえば、昨日の電話、華南のことだけふれなかった…
許さない!!
とにかく、怪我の具合が知りたくて、むつと病院に駆けつける。
華南は大部屋のカーテンに仕切られた一角のベッドに寝ていた。額に大きなガーゼ、ネットをかぶり、ガーゼには血が滲んでいた。
東紫「追いかけられて、階段から落ちたんだって。間抜けだね。しかも眠りっぱなし、医者は脳に異常は無いから起きてなんともなければ問題ないってさ」
軽い感じで話してくれた東紫さんには悪いけど、頭の中は怒りでいっぱいで、はらわたが煮える思いで何も考えられない。
許さない!!
東紫「…あ、修二君?」
肩に手が触れて、初めて呼び止められてることに気づいた。
東紫「華南は襲われて怪我したってゆうより、逃げて階段から落ちたから、ボコられたわけじゃ無いからね。救急車呼んでくれた人がそう言って…」
修二「…。少し、顔を洗ってきます」
自分が笑って答えたかさえ分からず全く意識できない。
百目鬼さん…あの人が華南を追い詰めて階段から突き飛ばした可能性もある。
僕は、足早に病院を飛び出し、携帯を取り出して昨日の着信にリダイヤルした。
ープルルル、プルルル、プッ
百目木『よぉ、修二』
待っていたかのような声に、僕は感情を抑えることができず、低い声が出た。
修二「あんたがそこまで馬鹿だとは知りませんでした」
百目鬼『華南のことなら俺じゃあないぜ、まぁ無関係じゃないが』
修二「とぼけるな」
百目木『信じてもらえないとは思うが説明すると、華南を襲ったのは俺の仕事で追ってるターゲットだ。俺は昨日、部下と仕事でそいつらを追ってた。そこでお前らを見つけた。やつらはお前らを見つけると、後をつけて二手に分かれた。だから、俺らも二手に別れたら、お前と華南の後をつけさせた部下から、助け損なって怪我させたと連絡を受けた。救急車呼んだのがその部下だ』
修二「嘘だ」
百目鬼『…。お前はそう言うと思った。だが事実だ、俺が尾行したむつ君は無事に家に帰した。だが部下が華南を助けに飛び出してこっちは尾行がバレて仕事に支障がでたんだぞ』
修二「信じない」
百目鬼『はぁー。怒ってるお前は魅力的だが、俺はむつにも華南に何もしてないし、お前とも健全なデートをしてきたつもりだ…』
修二「僕を好きにできたら満足するの?」
百目鬼『…修二』
修二「とにかく、兄貴にあんたがこの街に居るのをバラす」
百目鬼『修二、俺じゃない』
修二「…信じない」
百目鬼『…修二、会って話そう』
修二「…今日は会いたくない」
ープッ
携帯の電源を切って病室に戻ると、華南は診察中で、むつがいなくなってた、廊下にいると思ってキョロキョロしていたら、東紫さんを見つけた。むつは僕を探しに行ったと言われ、再び外に出て携帯の電源を入れると、新着メールが届いた。
《むつ君がお前を探していて今俺の部下と一緒に車に乗ってる。俺もお前と話がしたいから待ち合わせしよう》
修二「嘘だ!」
全身の血の気が引いて、携帯を握る手が震える。その震える指でむつの番号に電話した。
『おかけになった電話は現在電波の届かないところにおられるか、電源が入っていないため…』
チキショー!!!!!
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指定されたビジネスホテルに行く間、何度むつに掛けても繋がらなかった。
むつが無事か確認したいから写メをよこせと言っても、部下の車に乗ってるから今は無理だと返された。
部屋番号はフロントに聞けと言われ、フロントで名乗ると、ホテルマンに連れられ、25階の一室に案内された。ドアの前で一人になり、ベルを鳴らす。しばらく間をあけてから、百目鬼が扉を開けた。
余裕の笑顔が憎くて仕方が無い。
修二「むつを何処へやった」
この人が喜ぶと分かっていても、怒りのこもった声を誤魔化すことはしなかった。
修二「車は何処?ココの駐車場?」
百目鬼が部屋へ入るよう言ってきたが、断った。どうせ最後は入るけど、今は時間を稼ぐ必要があったからだ。
押し問答の末、扉の中に入る。
早く車の場所を聞き出して、むつを先に助け出さないといけない。
しかし、僕は、思ったより冷静さを欠いていた。
百目鬼「知りたいなら奥に来れば?」
修二「あんたは分かってない、僕は例えむつ達と卒業までで別れたとしても、あんたともう一度は無い」
百目鬼「…話は奥で…」
修二「ふざけるな」
むつが先決だ。ベッドへ引き摺り込まれたとしても、むつの居場所を聞くのが先だ。
徹底的に言わなきゃ、この人は分からない。
百目鬼「華南のことは誤解だ、いいのか?今のお前、だいぶ俺を煽ってるぜ?」
修二「クズが…」
百目鬼が少し悲しそうに目を伏せて、次に出た声音は怒りが混ざっていた。
百目鬼「……先週はそのクズの手であんなに感じてたくせに…」
修二「あんたがそう仕込んだんだろ?そりゃ体は覚えてるさ、でも、それだけだ」
百目鬼「…くっくっく…」
修二「…?」
百目鬼「やっぱり誤解は解けそうにない…、なぁ、代わりに説得してくれるか?むつ君」
修二「ぇっ…」
心臓がゴトリ落ちて血流が止まり、酸素の配給が滞り細胞が死んでいく。
それほどの衝撃だった。
完全な思い込み。むつは百目鬼さんの部下が車で拉致したと思ってた。
息ができない。
部屋の奥、リビング兼寝室にむつはいた。拘束されてはおらず、テーブルに湯気の立つカップが二つ。
そして話を聞いていたんだろう、愕然とした表情でこちらを見ている。
…そんな…。
驚きの表情。
困惑。
そして眉間にシワが寄る。
嘘がバレた…
何を考えてる?
むつは何を感じでる?
怖い、怖い、怖い、
目の前が暗くなる。
むつにキラワレル…
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