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俺たちの秘密〜修二〜
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唇が神さんに触れる瞬間
むつ「ッわ…んな¨ァ!!!!」
足元のむつが叫んで神さんが突如呻いて崩れ落ちて、足を抱えた。
突然のことに唖然としていたら、むつにガシッと腕を掴まれ引きずるように部屋の外へ連れ出された。
エレベーターに飛び乗る。ドアが閉まる瞬間、百目鬼が部屋から出てきたのが見えた。
ーガコン
扉が閉まって下降を始める。ガタンと揺れて我に返った。
ハッ!!マズイ!むつだけ逃がすつもりだったのに!!戻らなきゃ!!
修二「むつは逃げて、僕は一緒に行けない」
むつに握られた手を振りほどこうとするとむつにコーナーに追い込まれた。
むつ「ふざけんな!!俺を守ってるつもりか!?ぁあ?!俺を守ろうなんて100年はェーんだよ!ぜってぇ離さないぞ!!」
修二「むつ!!」
むつ「このままで済むと思うなよ!全部説明してもらうからな!!」
ギクッ!
どうしようどうしよう、説明?
ーポン!
エレベーターが1階にたどり着き、扉が開く時間も待てずむつが扉を押しのけて僕を引っ張り出す。
逃げられないよ!足止めしなきゃ!
戻らなきゃ!
ーポン!
背後でエレベーターの到着した音。
そこから、鋭い眼光の百目鬼が降りてきた。
僕は百目鬼に気を向けていたから、何故むつが止まったか見ていなかった。
百目鬼が僕らを視界に捉え、ズンズン進んでくる。むつは僕の腕を引いて再び動き出そうとしたら、百目鬼と僕らの間に1人の人物が立ちはだかった。
僕より少し身長の高い広い背中、僕にとって誰よりも頼りになる背中。
兄貴!!
仕事着の白いワイシャツに黒のズボン、手にはサロンを握りしめ、仕事場からすっ飛んできた兄貴だった。
にこやかに、青筋立て狂気にも似た殺気を放っていた。
奏一「よぉ、神」
百目鬼「…そ…いち…」
僕はここに来る前、兄貴に連絡していた。
百目鬼に呼び出されたホテル名を告げ部屋番号は追って連絡するつもりだった。
兄貴は自分と仲間が着くまで待ってろって言ったけど、百目鬼に仲間がいるのは分かっていたから、大勢で乗り込んだのがバレてむつを連れ去られても困るから、待てないって電話を切った。
フロントで部屋番号を聞けると思っていたけど、教えてもらえず案内され、兄貴に部屋番号を教える時間がなかった。
だからどうなるかと思ったけど…よかった、これでむつを逃がせる。
兄貴の登場に驚いて名前を零した百目鬼は、喉を引きつらせハハッと笑う。
奏一「驚いてるのか?違うだろ?」
百目鬼「驚いてるよ、お前が1人で乗り込んできたことに…」
僕が兄貴に電話してここに降りてくるまでおそらく30分も経ってない…、兄貴以外の人は間に合わなかったのかも…、谷崎の姿もないし…。
修二「兄貴…」
奏一「行け!」
兄貴は振り返らず、力強く言ってきた。
谷崎がいないなら僕がむつを安全な場所まで連れて行かなきゃ!
今度は僕がむつの手を引いて、ホテルの外へ飛び出た。ホテルの目の前のタクシーに飛び乗り逃げのびた。
ープルルルル、プルルルル、プルルルル
ポケットの携帯を恐る恐る覗く、『りょうさん』という表記に安堵して受話器を取った。
修二「りょうさん」
谷崎『無事か!?』
修二「うん、むつは取り返した」
谷崎『おめーは?ってかどこ?』
修二「タクシー、家に向かってる」
谷崎『駄目だ!俺ん家来い!』
修二「それってつまり…」
谷崎『…取り逃がした…、後1分あったら俺とフジとタナが着いたのに…奏一の奴待てなくて…』
修二「ううん、僕が先走ったんだ」
谷崎『俺の家分かるだろ?俺もバイクですっ飛ばして行くから、万が一先に着いても下りるな』
修二「はい、先生」
谷崎『深呼吸しろ!ボロが出るぞ、いるんだろ?柴田』
修二「…バラされた」
谷崎『…。深呼吸忘れるな、必ず先に着いて待っててやる』
谷崎は言葉通り待っててくれた。
谷崎のマンションはスッキリした2LDK、3人で足早に玄関をくぐり、バタンと扉を閉める。
谷崎の家のむさい汗の匂いに、ココがさっきまでいたホテルではなく谷崎の家だとハッキリ認識できて、わずかにホッとした。靴を脱ごうとして自分が震えているのに気がついて僕は苦笑いする。
僕ちゃんを心配した谷崎に声を掛けられたが、震えくらいなんともない。
むつ「はぁ?!何ともあるだろうが!先生、部屋貸せ!」
谷崎「落ち着け」
過剰に反応するむつに腕を強引に引かれて、1番手前の部屋に押し込められ、気が付いた。
ホテルから…ずっと手を握っていた。
むつの温もりにキュッと胸が締め付けられる。
そうだ…話をしなきゃ…。
むつに百目鬼とのこと話して、むつの名前を呼んでしまったことを謝らなきゃ。
興奮気味のむつをなだめようとする谷崎に、にっこりキレイに笑って、扉に手を掛ける。
修二「…先生。話を…するから、時間を下さい…」
谷崎が心配そうに見つめる中、僕は扉を閉めた。
閉じた扉の方を向いたまま意を決して口を開く。
修二「巻き込んで…ごめん…」
すぐにむつに振り向かされ、ムッとした表情のむつが目に飛び込む。
ーズキッ
入った部屋は寝室。
すぐに問い詰められると思ったのに、腕を引かれてベッドに座らされ。むつは何も言わずに僕をギュッと抱きしめてきた。
え?
…怖い…
なぜか心に広がったのは〝恐怖心〟。じわじわ広がって息が苦しい…。
むつの腕の中なのに、気持ちは沈む一方で、この後のことを考えると、苦しくて怖い…。
黙って僕を抱きしめるむつが何を考えてるのか…。どうやって百目鬼のことを切り出そうか…。どうやってむつの負担にならないように会話をもっていくか、そればかりがグルグル回ってる。
しばらく抱きしめられていたら、ふッとむつが動いて、僕ちゃんを抱きしめたまま唇を寄せる、僕は、反射的にビクッと肩を強張らせたけど、むつの甘い唇に逆らうことはできなかった。
最後のキスになるかも。
と思うと、その唇を求めてしまう。
さっき、百目鬼からむつを守るために、何も求めないと誓ったのに…
優しく確かめるように。
なぞってはついばまれ、なぞっては吸われて、甘さに目眩がして全身が敏感になっていく。首輪を外せてないから、体は火照りっぱなしで、もう、キスだけでイけてしまえそう。
むつの唇が愛おしくてついつい舌を絡めたら、ワイシャツに手を伸ばされ。ギクっと背筋が冷えた。そこは…百目鬼が…
むつ「消毒」
ベロっと舌を出したむつが、驚くほど優しい瞳で見上げてきて、耳をくすぐるような優しい声で僕の胸を舐め上げる。
んんッはぁあアッ…
ビクビク快感に震える体、一気に体温が上昇して、自分の顔が真っ赤になるのを感じながら、むつに与えられる痺れるような快感に、全ての神経がむつを求めて感度が上がる。
胸はツンと尖り、下着の中のものは蜜を滲ませ、後ろは疼く。
快感に溺れる。むつの手だと思うとどんどん体が彼を受け入れようと勝手に潤む。
酷く淫乱でいやらしい自分の体に心底呆れる。
むつがズボンに手をかけた時、理性を振り絞ってその手を止めた。
修二「そっちは触られてない」
むつ「揉まれてたじゃん」
修二「服の上からだし…」
駄目だ…これ以上触られたら…、我慢できなくなっちゃう…。
この首輪したままじゃ、僕の〝本性〟が抑えられない…。それにココって谷崎先生の家だし。最後に抱いてもらえたら嬉しいけど、きっと後悔する。むつにこれ以上〝抱かなきゃよかった〟なんて思われたくない…
むつは今僕を慰めてるんだ…
優しいな…
でも…無理しなくていいのに…
さっきっから眉間にシワが寄ってる…
そんなに必死にキスしたりして…
責任取らなきゃと思ってるのかな?
早く楽にしてあげなきゃ…
むつは何にも悪くないからって…
再びむつにキスされる。
両手を握られ、ベッドに優しく縫いとめられ。
甘い甘いキス。でも、むつの眉間のシワは一層濃くなって、段々イライラしてきてるのが分かる。
怖い…。その苛立ちは?無理に僕に触らなくていいのに…、でも、自分からはもういいよって言ってあげられない。
むつの甘いキスが…終わってしまう…。
キュッと抱き寄せられ、緊張で体が震える。温もりを感じれば感じるほど怖くなる。この温もりを失うことが…もうきっと…むつは…
ーゴリッ
体の密着して、硬いものが僕の太ももに当たった。
え?
思ってもみなかった覚えのある感触に、恥ずかしくなり、視線を硬いものに向ける。
修二「むつの…勃ってる…」
言いながら嬉しくなる自分が恥ずかし。
むつ「は?そりゃお前とキスしてるんだ勃つよ」
むつは相変わらずイラついた顔で断言する。
修二「…気持ち悪くないの?」
むつ「は?なんで…」
さらに眉間にシワが寄った。
むつが僕にまだ欲情するの?
百目鬼の言ったことを疑ってるのかな?
修二「…百目鬼の言ったことは本当だよ…。僕…むつが初めてじゃない…色んな人と寝た…」
むつ「百目鬼が無理やり…」
そうでもないんだ…。
むつ「…話せよ、初めっから全部。百目鬼の言ってることじゃ訳分んねぇよ、信じらんないことばっか…俺…お前を助けらんなかったのか?」
ああ、…やっぱり、責任感じちゃってる…。
修二「…人間は、信じられないことが起こった時、まず脳が否定から入るんだ。むつが混乱するのも無理ないよ」
笑わなきゃ、笑って安心させなきゃ、何でもないって風にかる〜く。
たとえ…それでむつが離れても…
むつが僕に覆いかぶさって、両手に指を絡めた至近距離。その温もりに胸が締め付けられながら、僕は…僕ちゃんは…
修二「…中1の時、百目鬼さんに知り合って。ある日2人っきりになって…、押し倒されて強姦された」
潔くスッパリ言った。
ーガタン
むつが真っ青になって僕の上から飛びのいた。
素早く…
呆気なく…
むつの温もりは…
…離れていった…。
…………………。
…目頭が熱い…………。
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