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狭い世界の外側と俺たち〜華南〜
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水色の生地に、お店のロゴの入ったTシャツ。下は自前の水着に、黒の丈の短いエプロンを付け、俺とむつと吉良さんは事務所から客席に出た。
副店長「いや〜ん、2人ともイケメン☆」
俺は、額の怪我をガーゼごと隠すように前髪を下ろし、タオルをおでこに巻いている。
むつは、普段とあまり変わらないが、黒のエプロン姿ってなんだが新鮮だ。
店長「今日は初日だから、料理運びとバッシング、後、砂が溜まるから、時々床掃きをお願いするね。俺と吉良は基本キッチンだから、店の事は副店長と奈々ちゃんに聞いて」
席数は15席と、2名席のパラソルが二つ。
席に番号もふってあり、料理の数も限られているため、比較的苦労しないで仕事を始められた。
こうして海の家の初日はあっという間に時間が過ぎ。午後2時過ぎに、昼休みだと30分休憩をもらった。1番にむつが休憩して、15分ズレて俺が賄いを持って事務所へ行くと、むつは賄いを食べ終わり携帯を弄っていた。
華南「おつかれ、むつ!」
むつ「ッ…おつかれ」
若干不機嫌なむつは、俺を見たが、すぐに視線を携帯に戻す。
華南「初アルバイトきつい?」
むつ「…んー、想像どうり大変だなぁー位。修二の働いてんの見てたし、修二みたいにすればいいかなって思うけど…、修二みたいにはいかないな。かたっ苦しくない店だし、今は料理運んでかたづけてるだけだし平気」
華南「早速修二に報告?」
携帯に目配せすると、むつが「ああ」といいながら携帯を鞄に仕舞い込む。
むつ「夜話す」
華南「うん」
ちょっとだけ真剣な顔したむつ。
メールの相手は修二じゃなかったのか?
別に怒ってる風ではない。
華南「体きつい?」
むつ「なッ!?」
俺の質問に赤面したむつは、俺をひっぱたこうとして手を振り上げたが、俺の額を見て顔をしかめた。ふり上がった手は躊躇した後、俺の肩に振り下ろされた。
ーバシッ!
華南「痛!」
むつ「心配するんだったら!回数減らせ!」
華南「す、すみません」
むつ「仕事に戻る!」
頬を火照らす可愛らしいむつが、俺を置いて仕事に戻って行ってしまった。
むつの愛で肩が痛いっス…。回数減らせばヤってもいいんだぁ…。
ーガラガラ
奈々「お疲れぇ〜」
むつと交代でアルバイトの奈々が賄いを持って入って来た。奈々は真っ白の可愛らしいビキニに黒いエプロン姿。
奈々「華南君って呼んでいい?」
華南「はい」
奈々「華南君てモテるんだねぇ、お客さんに連絡先貰ってたでしょう、しかも2人」
流石働き慣れてるだけあって視野が広い。こっそりポケットに忍ばされたの見てたのか。
奈々「最初見た時、オールバックに額にガーゼでしょ?恐い人かと思ったのに、前髪を下ろしたら結構イイ感じだし、仕事出来るし」
華南「…バイト経験あるんで」
長い休みの期間に小遣い稼ぎに短期のバイト位なら経験がある。
奈々「そんな感じ。柴田君に聞いたけど、去年は海でモテモテだったんだって?」
さっきちょっと不機嫌だったのは…嫉妬!?
ああ、むつ君!!今すぐ抱きしめたい!!
奈々「柴田君はバイトの経験無い感じだね。接客ってゆうより威嚇?フフッ、でもなんか、真剣で好感持てる。2人は彼女いるの?」
むつのことを恐がらず、好感もてるだなんて珍しい、流石海の家で接客してるだけあって、色んな人に慣れてる様子。奈々は人懐っこい笑顔で俺たちのことを聞いてきた。
華南「いますよ」
可愛くて、エロくて、そばから離れたくないほどラブラブな〝彼氏〟が2人ね。
奈々「やっぱり〜、2人ともかっこいいもんねぇ、柴田君はイイ感じだったのになぁ、彼女ってどんな子?」
華南「綺麗で可愛い甘えべたの寂しがり屋、ラブラブだから手ェ出さないでやって」
奈々「へぇ羨ましい。華南くんの彼女は?」
華南「めっちゃ可愛い嫉妬深いツンデレ」
奈々「うわ〜、なにそのにニヤケ顔。ごちそうさまぁ〜」
ーガラガラ
吉良「華南交代。…浮気中?」
華南「それは絶対無いッス」
吉良「…残念」
奈々「吉良君も彼女さん知ってるの?残念って、吉良君まさか後輩の彼女狙ってるの?」
吉良さんが意味深に笑うから、奈々は1人で三角関係を想像して騒いでいた。久々に女の子の居る空間は、賑やかで明るく華やかだ。
そんなこんな忙しいバイトはあっという間に時間がたち、一日目を終了した。
俺たちの宿は、俺たちを面接したオーナーの経営する民宿。晩御飯を奈々ちゃんとむつと吉良さんと俺の4人で美味しく食べ、部屋へ戻る、部屋は男3人が同室だった。
むつは、電話したいからと、席を外し、俺と吉良さんの2人だけになった。
吉良「布団は、自分たちで引くから、今やっとこうか。んじゃ、奥に睦美で隣が俺で…」
華南「駄目だし!むつの隣は俺だから!」
吉良「フッ、独り占めはずるいなぁ。…しょうがない、睦美は真ん中ね」
不敵に目を細める吉良さんは楽しそうに笑ってる。
いつもからかう感じで本気かどうか掴み所がない、だが一緒に寝泊まりとなると、少し不安が過る。
ーガチャ!
ドアが開き、むつが不機嫌に携帯を握りしめて帰ってきた。
吉良「睦美そんなに膨れてどうしたの?」
むつ「修二の奴が話の途中で切りやがった」
吉良「また、ケンカ?」
心配して聞いてるというより、楽しんでるのを隠してると言った感じの優しいふり。
むつ「ちげぇーし、昨日無茶したから体のこと聞いただけだし」
吉良「そんなに虐めたの?」
むつ「虐めてないッス、むしろおねだりしたの修二だし」
華南「ちょっとむつ君!」
ハッとして「やっちまった?」といった感じにむつが自分の口を塞いだが、もう、遅い。
吉良さんに笑われ、しばらくからかわれた。
店長の本田さんと副店長が、レジ閉めとうを済ませて帰ってきて、吉良さんが呼ばれてやっと解放された。
店長にお風呂を進められ、むつと2人で入りに行った。1日慣れないバイトに若干眠いが、潮風にあたった髪と体を洗い、さっぱりとして湯船に浸かり、足を伸ばす。
ホッと息を付いたのもつかの間。
むつが、とんでもないことを言い出した。
むつ「…華南」
華南「ん?」
むつ「俺、奏一さんに全部話そうと思う」
華南「……………え?」
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