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狭い世界の外側と俺たち〜むつ〜
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海の家から40分ほど地元方面に戻った駅で、奏一さんと待ち合わせた。
人に聞かれちゃマズイからって、華南にカラオケルームを勧められ、調べてもらったら場所で奏一さんと待ち合わせた。
奏一さんはスーツ姿で現れた。端正な顔立ち、顔のパーツは修二とほぼ同じだが、年齢が上の分、仕事の出来る大人の男って感じの色気をまとっている。だから、周りの女の子達が振り返る。
今から話す内容を知らないから、いつもみたいに出来る大人の表情で俺に微笑みかけてくれた。
修二は将来こんな色っぽい大人になるんだろうか?
でも、修二と同じパーツで出来た顔の奏一さんに不思議と性欲は湧かない。確かに色っぽいし、綺麗な顔だし、修二に似てるんだけど、俺は奏一さんをどんな人か知ってる。中身が奏一さんだと分かってるから、似ていても、ハグもキスもましてやセックスも考えが湧かなかった。
不思議だ…。
奏一さんをそうゆう目で見てみて、始めて、そんで改めて分かった。俺、やっぱり、修二と華南意外とセックス出来る気がしない…。
奏一「どうしたの?俺の顔をジッと見つめたりして」
むつ「あっ!すんません!」
カラオケルーム入ってから、ジッと奏一さんの顔を眺めながらそんな事を考えてたから、俺の向かいで2人掛けソファーにゆったり足を組んで座ってた奏一さんが、おかしそうに小首を傾げる。
奏一「むつが緊張するなんて珍しいね。一体どんな話しかな?」
むつ「あの…」
俺は、奏一さんを傷付けるかもしれない、でも、奏一さんの修二を大切に思う気持ちに傷を付ける気はない。だから…
むつ「奏一さん。俺が今から話すことを、とりあえず最後まで聞いて欲しい。俺、説明下手だから、意味分んなかったら質問してくれて構わない、でも、最後まで聞いて欲しい」
奏一さんは静かな表情で、頷く。
むつ「まず、最初に、知ってて欲しい。俺は、修二を泣かす気はないし、大事だし守りたい。奏一さんが修二を大切にしてるの知ってるし、ずっと支えてたの知ってるし、その気持ちを踏みにじる気は絶対ない!一緒に守らせて欲しい。俺…、俺は…、修二のことが好きだ!男の小日向修二を、恋愛対象としてちゃんと好きなんだ!」
一瞬目を見開いて…、奏一さんの驚きの表情は、厳しい顔つきに変わった。
睨むでもなく、激怒するわけでもなく。静かな瞳が鋭くなって細められ、俺を見据える。
俺は全部話した。
華南と話し合ったことを思い出し、なるべく誤解の無いように詳しく、乱暴な言葉は使わないように、華南ならどう言うか考えながら、大事なことが伝わるようにゆっくり。
…始まりは、カツアゲの制裁でセックスさせられたこと。
女とセックスしたけど修二の方が気持ち良かったからまたセックスしたこと。
修二は最初、嫌がってたこと。
何度かしてるうちに、こうゆうのは恋人がするもんだと言われて、付き合いだしたこと。
友情と愛情の区別がつかないけど、嫉妬したし、可愛く見えるし、もっと色んな顔が見たいとか思ったこと。
好きだと自覚し、俺には〝覚悟〟があること。
戸惑って修二を困らせたこと。
何も知らなくて百目鬼に引き渡したこと。
過去の話を聞いたこと。
修二を守りたいこと。
俺の考えを、俺の気持ちを、全部話した。
奏一さんは、静かに、耳を傾け、時々質問してきたけど、俺の話を最後まで聞いてくれた。
むつ「…だから。修二が好きだから、修二を守りたいから、百目鬼のことが知りたい。危ないとか、子供だからとか、俺に解決する力は無いかもしれないけど、そばにいて守れないのだけは嫌だ!あいつには2度と会わせたくない!そのためにも、知ってることは教えて欲しいんだ。一緒に守らせて欲しいんだ!」
全部奏一さんの目を見て話した。
奏一さんは話し終わった俺を厳しい顔でジッと見据えて何も喋らない。
俺は視線をそらさず、真っ直ぐ見つめ続けた。
何分そうしていたか分からない。
でも、俺も、修二の過去を知った時、言葉が出なかった。疑問ばかり湧いて。修二に説明されるまで分からなかった。
理解するのに3日かかった。
修二がチャンネル変えて表情無く話すみたいに、奏一さんの表情も仮面被ったみたいに読み取れない。ただ冷ややかな鋭い瞳が見つめてきて、重い口を開いた。
奏一「……修二の事が好きなの?」
むつ「はい」
俺は、奏一さんの言葉に被るくらい、食いついて返事をした。
奏一「恋愛で?」
むつ「はい」
奏一「……セックスしたいの?」
むつ「はい」
奏一「…………女なら紹介するよ?」
むつ「俺は、修二がちゃんと好きなんデス」
奏一「…君のかんちが…」
むつ「俺は俺なりに2ヶ月以上考えて、決断した。〝覚悟〟もある。認めてもらいたいけど、認めて貰うまで何度だって話に来たいけど。でも、今は、修二を守りたい。何でも話す、奏一さんが、修二に近づくなって言うなら従って誠実を証明するべきだろうけど、離れたり修二に触らないことは、修二を傷付ける。それに、守ることから遠ざかる。今は修二を守ることだと思って、百目鬼のこと全部教えて欲しいし、そばにいることを許して欲しい…デス」
奏一「……」
奏一さんは変わらない鋭い眼光で俺を見据え、スッと手を出してきた。
奏一「…鍵を…、うちの鍵を返してくれないか?」
!?。それは、拒絶なのだろう。
1人が多い修二に何かあった時のためにも預かってる、修二の家の鍵。
それは信頼の証でもある鍵を、返せって?
むつ「奏一さん。返すのは簡単だけど。それじゃあ、何かあった時。修二の家に入れない。…俺は出来れば持ってたい」
奏一「…むつ、俺は君を信頼していた」
むつ「…俺は…セックスはしたけど、修二を守る奏一さんの信頼に背いたつもりはない。好きになったんだ。奏一さんが大事に育てた修二を、人として優しくて強くあろうと突っ張ってる修二を、抱きしめて、支えてやりたいって思ったんだ!悪いことも、奏一さんに言えないような事もしてない。修二を好きになっただけだ!今は認めてもらえなくても仕方ない、修二にも信じてもらうのにすっげェ時間かかった。今も信じてくれてるか…。あいつなんでも諦めるから、奏一さんの負担にならないように、我儘言わないように言葉を呑み込んでるうちに、諦めるのが癖になっちまってる、でも、過去のことを俺に話してくれた時、初めて修二から手を握ってくれた、だから俺はあの手を離すつもりは無い」
奏一「…学生である子供が、わかったようなこと言っても、所詮子供の戯言だ」
むつ「…子供だ、無力だ。でも、戯言じゃねぇー!子供だから一緒にいられる、奏一さんが仕事してる間、特に学校の無い今、俺と、他にも華南とか克哉とか、友達で囲って修二を見てられる。離れるのは聞けないけど、2人っきりになるなってんたら従える」
睨むように俺を見下ろす奏一さん。
でも、俺は視線を逸らさない。
元朱雀特攻隊長様の静かな鋭い眼光は、はっきり言って超恐い…、でも、修二のアノ悲鳴にも似た絶叫で俺を呼ぶ声に比べたら、殴られたって、この視線を逸らす気は無い。
奏一「……俺が、何人も病院送りにしたの、知ってるよね?」
むつ「知ってます」
奏一「…俺を怒らせたら、どうなるか知ってるんだよね」
むつ「知ってます、でも、修二を守りたいだけだ」
奏一「…守る?百目鬼相手に?」
むつ「守る!」
奏一「……心意気は買おう。でも、百目鬼相手に君は勝てない。鍵を返してもらおう」
ゆらりと立ち上がり、俺に向かって右手を広げる。
むつ「…奏一さん」
奏一「今回の件には関わらせない。君も、華南も」
!?
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