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俺たちを壊す媚薬17
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むつの突拍子も無い発言に、その場にいた全員が驚いた。
百目鬼「…結婚?男同士で…何言ってんだ?」
驚きを通り越し、呆れに近い。
昔、修二から話を聞いていたからむつの天然ぶりは知っていたが、いざ目の前にすると、その強烈さは思った以上で、思わず言葉を返した。
しかし、むつはこちらの呆れなど気づきもしない。
むつ「知らねーの?男同士でも結婚できるんだぜ」
百目鬼「日本じゃ出来ねぇーよ、お子様が」
むつ「オランダ行けば出来るんだぞ」
少し得意げに言ったむつに、マキがこぼすように口を挟んだ。
マキ「…本気?」
先程の発言には、流石にマキも驚きをかくせず、目を瞬かせている。
むつは少しムッとして断言した。
むつ「本気に決まってんだろ!俺達ちゃんと付き合ってんだ!だから卒業したら終わりとか気の迷いとか、そんなん毛ほども考えちゃいねぇし、それに、ずっと一緒にいるって結婚するってことだろ、俺、ずっとそのつもりだったし、ダチに調べてもらったし」
マキ「…あー…でも…、そっちのお二人さんすっごい驚いてるけど…」
マキが指差す方角には、華南が心底びっくりした表情で目を丸くしていて、修二は思考が回らないせいか、理解できてない様子。
むつ「あれ?だってさっき修二が言ったのって誓いの言葉だろ?病んでる時も好いてる時も…ずっと一緒にいるって…ことだろ?」
華南「…病める時も、健やかなる時もだろ」
ってか、どう聞いたらそう聞える?
華南が言葉を正すと、マキが神父のように語りかける。
マキ「病める時も、健やかなる時も、常にこの者を愛し、慈しみ、守り、助け、死がふたりを分かつまで共にあることを…」
むつ「誓うよ」
マキがからかってると思い、睨みながら答えたむつに、聞いてられなくなった百目鬼が眉を顰めて吐き捨てる。
百目鬼「ハッ、ガキが恋愛脳もいいとこだな」
むつ「あんただってガキの時、好きで一緒にいたくて、できなくて、それなりに必死に恋愛したんじゃないのかよ」
百目鬼が学生の時、子供でなんの力もない頃…、中1の時の修二のように苦しんだ…。
ただひたすら隠して押し殺して…
今のむつのように堂々と気持ちを伝えることも、付き合うことも、触れることもなかった。あまりにも、何もかもが違いすぎる。
百目鬼「…あいにくそんなにおめでたい考えはなかったな、男同士で結婚って…無理だろ、ガキが簡単に口にするな、結婚の意味も知らねぇくせに、それに、そんなのただの紙きれじゃないか」
むつ「紙にすんだよ。見えないものを見えるように、見えないものを信じられない馬鹿に見える形にしてやるんだ。あんた、修二を攫う位好きなくせに、何の覚悟も無いんだな」
百目鬼「!…」
むつ「男だからなんだよ、あんたが修二に教えたんだろ、人を好きなのは自由だって。好きなやつと付き合って、セックスして、一緒にいたくて、お互いを支えて行く覚悟を持って、それで結婚すんだろ?人を好きになるのに性別も立場も関係ないんだろ?自分の言葉に責任もてよ」
百目鬼「………」
いつか、修二がむつのことを「太陽を守護に持つヒーローのようで、それでいて子供…」と言っていたことがあった…。
この小さくて頭の悪そうな子供のどこにそんなものを感じたのかと疑問に思っていた…。
マキ「…むつってオランダ語できるの?」
むつ「英語が通じるってつよしが言ってた」
マキ「英語できんの?」
むつ「これから出来るようにすんだよ」
マキ「…パスポートは?」
むつ「これから取る」
マキ「旅費にいくらかかるか知ってるの?」
むつ「50万くらい…」
マキ「そのお金は?」
むつ「バイトして貯める」
マキ「これから?」
むつ「これから」
マキ「…」
むつ「なんだその目は!全部これからだよ!俺達まだ付き合ったばっかなんだよ、全部これから一緒に始めるんだよ!」
むつの熱い言葉に、華南の腕の中の修二が霞んで潤む視界で、むつを見つめる。
そして華南はうなずいた。
華南「……これから…、そうだな、卒業して働くようになったら、本格的に始められるな」
修二「…卒業したら…始まる…?」
華南「俺とむつは就職組だ。自分の力で稼いで、自分の足で立てる。何も出来ない子供じゃなくなる。卒業したら3人で一緒に住むこともできる」
華南の声は、熱にグルグルする修二の頭の中で、ハッキリと響いた。
むつ「あー!俺が言おうと思ってたのに!」
修二「…3人で…?住む?」
むつ「修二は、あんだけ俺たちが言ってんのに全然名前呼んでくんねぇし、甘えないし、頼ってくんねぇし、こうなったら目を離さないようにするしかないじゃんか!俺怒ってんだからな!」
修二「…」
華南「頑固で我慢強いにもほどがある。呼んでくれたら飛んで行くって言ってんのに」
修二「…」
むつ「とにかく、百目鬼!俺と華南は修二を手離さねぇし!修二は俺たちにベタ惚れなんだよ!俺たちは全部これから始まるんだから!」
百目鬼「…」
むつ「次に姿を見るようなことがあったら、ぜってぇーぶっ飛ばしてやる…。
華南、行くぞ!」
百目鬼が修二をジッと見つめるのを遮るように睨みつけ、むつと華南は、修二を抱えて部屋を出た。
泉とむつが待機するために使っていた別の部屋に駆け込み。簡単に修二を拭いて着替えさせ、一刻も早く、百目鬼のいるホテルから離れた。
泉の家の車で移動している間、修二が苦しそうで、早く休めるところに運んでやりたくて、気休めだが濡れタオルで顔を拭いてやる。
奏一さんに連絡を入れ、修二の状態と奪還したことを伝え、電話をきった。
媚薬がなかなか引かず、欲情している修二に何度も煽られたが、何とかなだめながら、すこし離れた場所にあるラブホテルに、修二を運びこんだ。
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