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俺たちの道〜修二〜
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修二「おはよう」
むつ「…はよ」
ここ2・3日、むつの機嫌が下り坂です…。
心当たりは無いし、毎日のメールは変わりないし、バイトも順調だと聞きいてる。
修二「むつ、大丈夫?寝不足?」
僕の質問にむつはムッとした様子でこっちを見る。
むつ「………」
修二「むつ、疲れた顔してるよ?」
むつ「疲れてねーし、大丈夫だし」
修二「でも、昨日は送別会で少し寝るの遅かったんでしょ?」
むつ「修二に、ただいまって送ってそのまま寝たから大丈夫だし。ところでお前は大丈夫なのかよ」
修二「僕ちゃん?…大丈夫だよ、ちゃんと勉強して、むつのメールの後、寝たよ」
僕の答えに渋い顔のむつは、そのままそっぽを向いてしまった。
吉良「おはようお二人さん!」
修二とむつの間に割って入った吉良は、むつの肩を抱く。
「相変わらず仲良しだな…」と吉良が修二に話しかけると、修二は「仲良しですから」と言って笑う。
話しの途切れたむつは、そっぽを向いたまま2人には聞こえない声で吐き捨てるように言った。
むつ「…………そうじゃねーだろ…」
ボソッと言った言葉は、そのまま修二に聞こえることはなかった。
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修二「兄貴…」
奏一「…なんだ?」
修二「…僕…むつと華南と一緒住みたい」
この話をするのももう何度目か分からない。
いつも同じような返しをされ、結局は、駄目だと言われる。
奏一「なんで3人一緒なんだ?…」
修二「だからシェアを…」
奏一「…友達なんだから、一緒に住まなくたって、好きな時に遊びに行ったり泊まったりすればいいだろ?」
時間はどんどん過ぎていくのに、僕は兄貴に3人暮らしを許してもらえない。
勉強して、勉強して、週末にバイトして。
3人で何もない日に一緒に過ごして…
貴重な3人の時間…
むつ「お待たせ、婆ちゃんが人形焼くれたぜ……、って…修二寝てるの?」
華南「ああ、寝ちまった」
修二は、ベッドを背もたれにして座り、華南の肩に寄りかかるようにして寝てしまっていた。
むつは眉間にしわがより。
華南はため息を漏らす。
むつ「…チッ」
華南「…」
気がつけば、兄貴に3人暮らしの話を持ちかけてから、二ヶ月が経とうとしていた。
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ーキーンコーンカーンコーン
終業チャイムと同時にバラバラと生徒が立ち上がる。放課後はみんな忙しい、もうすぐ来る文化祭に、男子高校生はワクワクとルンルンで作業を始める。
数少ない出会いのチャンスに、自分のクラスの出し物を立派にして客を集めようと必死なのだ。
華南「おー、凄いなぁ、コレ店の看板?」
むつ「おう、なんか克哉のやつが張り切っちゃってて、凝ってるよな…」
看板担当の克哉が、オシャレにこだわったデカイ看板を描いて教室の後ろを占領して置かれていた。
華南「修二、寝不足?クマできてる」
修二「あはは、昨日の勉強してたところノッちゃって…、兄貴にも怒られた」
もっと頑張れば認めてもらえるかと思い、兄貴が帰ってくるギリギリまで勉強している。
文化祭終わりのテストで順位を上げれば、きっと…
むつ「お前…大丈夫なの?」
修二「あは、大丈夫大丈夫、今日は早く寝るよ、今週文化祭もあるし」
むつ「………」
ここまで来て体調悪くなったりしたら元も子もない、むつと華南に心配かけて、兄貴にはそれ見たことかと言われてしまう。
あと少しの辛抱…
華南「俺とむつは今日バイトだから、ぼーっとして金槌で指打つなよ…」
修二「無い無い、今日は僕ちゃんそうゆう作業ないし、克哉の色塗り手伝うから」
華南「………」
ジトッと華南に睨まれて、僕ちゃんは背筋を伸ばす。
2人は勉強にバイトに頑張って、ちゃんと親を説得したんだ。
僕はもっと頑張ってしっかりしなきゃ。
2人に甘えてばかりじゃ駄目だ…
修二「やだなぁ…、本当だよ。2人ともバイト頑張ってね」
華南「…うん」
むつ「俺がバイト終わりのメールしたら、もう今日は風呂入って寝ろよ」
修二「10時?早くない?」
むつ「お前だって、早く寝ろってメールしてくるじゃんか」
修二「あはは、そうだった」
2人がバイトに出かけると、僕は克哉と看板作りに取り掛かった。
クラスの作業は順調。
ムードメーカーの克哉が居ると、作業がスムーズで、今日は思いの他早く看板が仕上がった。
克哉「よし、看板はこんなもんかな?」
克哉が満足そうに看板を眺めると、他の作業をしていた瓶底七三の田中がこっちにやってきた。
田中「そっちは終わりましたか?ペンキもらっていいですか?」
克哉「あっ、まだ使う?もう、殆ど無いけど」
田中「ああ、なんとかもたせたいですけど、ピンクは足りませんね…」
克哉「そっか、じゃあ買って来なきゃだな」
2人の話しを聞いていて、僕ちゃんはふと思い出した。
ペンキが売ってるのは隣の駅のホームセンター、そこにはむつのバイト先がある。
修二「ねぇ、そのペンキ僕ちゃんが買ってくるよ」
克哉「え、俺が行くよ、俺が使いすぎたんだし」
修二「僕ちゃん隣の駅で行きたいところがあるから、ついでに買ってきてあげるよ」
克哉「マジで?」
修二「マジで♪」
克哉「じゃあ、お願いしまーす」
修二「お願いされまーす☆」
むつのバイト先は、ダーツバー。
若者向けの明るい感じの店で、飲みに行くよりダーツしに行 く人の方がほとんどの賑やかな店だ。
華南と1度覗きに行った時はまだ慣れてなくて、お酒の名前がちゃんと言えてなくて笑ったら怒っちゃったっけ。
1度着替えに自宅に帰り、隣の駅に向かう。ホームセンターでピンクのペンキを買って、それから、むつのバイト先に向かった。
むつのバイト姿見て、癒されようっと…
白シャツに黒のサロンがカッコよくて大人っぽく見える。だからむつも仕事着を気に入っていて自慢げに着ているのが可愛くて可愛くて…。僕ちゃんは、最近沈んでばかりの気持ちが、ウキウキとしていた。
店は、まだ5時半だから混んでなくて、中に入っても3組しかお客が居なかった。
軽く見渡したが、むつの姿は見当たらない。
入り口のレジで作業していた女性スタッフが僕に気が付いてレジから出てきた。
女子「いらっしゃいませ」
修二「あの、柴田君いますか?」
女子「柴田君のお友達?」
修二「はい」
女子「残念、彼は、今日は出勤日じゃないんですよ」
えっ?…
僕ちゃんは驚いて店を見渡す。
でも、やっぱりむつの姿はない…
今日の放課後、確かに華南とバイトに行くと言っていた…
それに…
むつ『俺がバイト終わりのメールしたら、もう今日は風呂入って寝ろよ』
……そう、言ってたのに……
どう…して…?
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