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俺たちの道〜華南〜
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他の飲食系のお店が落ち着いてきた時間に、俺のクラス前の廊下は人だかりが出来、教室の中も満席になっていた。
「あの子可愛い❤︎」
「あれ男の子?お人形みたい」
「見て隣の人キレー」
「私の方に手を振ってくれたぁカッコイイ」
お客の列の他に、教室の窓に群がる女の子達が携帯で教室の中をパシャパシャ撮っている。
「メイド服似合ってるぅ可愛い❤︎」
「こっち見てぇー♪」
「顔真っ赤なんだけどぉー♪」
教卓の上に、少し大きめのメイド服を着た身長145㎝と小柄の可愛い男の子。化粧もバッチリ。人形のようなエメラルドの瞳を恥ずかしさに伏せ目がちにして、教卓にちょこんと座っている。黒髪を猫耳ヘアーにして、前髪は斜めに編み込みがしてある。
可愛らしい幼顔を赤らめ、大きな翠色の瞳が羞恥でうるうるしていた。
そして、その可愛いメイドの隣に、中性的モデル美人のマキが立っている。マキは、私服のままメイド喫茶に入るのを待つ列の一番前の人にメニューを渡して微笑む。
マキ「メニューどうぞ。このメイドちゃんは観賞用だから触っちゃダメだよ♪写真だけにしてね♪」
女の子「は、はい。貴方とその子で撮っちゃダメですか?」
マキ「僕?ふふ♪いいよ♪」
マキが、エメラルドの瞳のメイドと絡むと、一際大きな歓声が上がる。
その人だかりを掻き分けて、むつと修二が顔を出した。店番の時間が終わり、人が多すぎて何が起こってるのかと華南の教室を見回す。
むつ「誰あれ…、華南のクラスにあんな奴いたか?」
修二「!!……」
修二は、教卓に座るメイドが誰か、一目見て分かって眉間にシワを寄せる。
修二「マキ!」
マキ「あ〜ん♪修二ィ〜♪♪」
修二の厳しい声などお構い無しに、マキは嬉しそうに手を振った。
修二「つよしに何やらせてんだよ!」
むつ「え!?つよし!?」
むつが驚いて、直ぐに教卓の上のメイドに近くと、つよしは恥ずかしさにうつむいた。
むつは「スゲ〜、化けたなぁ〜」と感心していた。しかし、修二は対照的にご立腹。
マキ「修二きゅん怒っちゃやだー♪無理やりじゃないよ♪ちゃんと本人の許可取ったよ♪」
修二「ッ、マキもつよしも他校生だろ?」
マキ「華南のお手伝いしてるだけじゃん」
修二とマキが揉めているのを、華南のクラスメイトが華南に報告しに衝立の裏に声をかける。急な満席に、裏方が回らず華南は手伝っていた。
俺は、修二が不機嫌になってるのを聞き、慌てて顔を出した。修二は、つよしを弟のように可愛がっているから、また俺達が困らせてると思ったに違いない。
華南「修二!悪い俺が頼んだんだ」
修二「華南まで何やってんの」
つよし「あ、あの、本当に大丈夫ですから」
俺のためにつよしが教卓の上から手を伸ばし、修二を止めてくれようとしていた。
つよし「あの、こ、こないだがっこうの文化祭でもアリスの格好しましたし、僕は大丈夫ですから」
マキ「つよしもこう言ってるしー♪…」
修二「マーキー、そう言えって言ったの?」
マキ「酷いぃー、誤解だよぉー」
マキはしゅんとしと口を尖らせる。
マキが落ち込んだと思って慌てたつよしが、身振り手振りを使い一生懸命修二に説明して、つよしがイヤイヤじゃなかったと分かるとやっと修二も落ち着いた。
マキ「あーあ、修二が怒るから、お店が回んなくて大変なことになってるよー」
修二「うっ…手伝うよ…手伝えばいいんでしょ…」
マキ「じゃぁ修二も着替えなきゃ♪」
マキがキラキラした瞳を向けると、修二がギロッとマキを睨みつける。
修二「僕ちゃんは着ないよ!運びとバッシング手伝うだけだよ!トレンチ貸して」
飲食のバイトをしてる修二には、料理を運んだり皿を下げたりなんて慣れたこと。
注がれた飲み物と、ちょつとした食べ物を運ぶのを手伝い、お客のいなくなった席を素早く綺麗にする。
俺は再び裏方に戻り、注文分をこなし、修二のおかげで事態は直ぐに落ち着いた。
華南「修二サンキュー」
修二「まったく、つよしは連れてくよ」
俺も、このまま混み続けたら抜けられないし、修二とむつと文化祭を回れない、だから、仕方ない…そう思っていたが…
……小悪魔は、微笑んだ…
マキ「修二もせっかくだからメイド服着なよ♪♪」
修二「僕ちゃんは華南のクラスじゃないので着ませんよ」
マキ「せっかくだから、つよしとメイド服のツーショット撮らせてよ♪」
修二「だから、僕ちゃんは…」
マキ「むつ♪つよし♪見たいよねぇ〜♪♪」
むつ「超見てぇー」
つよし「み、見たいです。きっとすっごくお似合いですよ」
修二「ぅえ!?」
マキが修二の肩を抱き寄せ。
むつとつよしが期待でキラキラした瞳で上目遣いして揃って見つめてきた。
俺は知ってる。
修二は、大好きなむつの上目遣いに逆らえたためしがない…
修二「えっ…。ぇえええーーーーー!!!」
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マキ……、お前…、マジ天才!!
修二のメイド姿…殺人級です!!
メイド服の予備は無いので、俺の着ていたメイド服を修二に着せ。俺はジャージに着替えた。
修二の、黒のふんわりスカートから伸びたすらりとした足。白のふりふりエプロンに白のふりふりカチューシャ。ノーメークでも十分イケるけど、女装だからとマキがピンクの口紅を塗った。
人だかりはさらに増え。
クラスの連中もマキのプロデュースでお店が繁盛して可愛い女子がたくさん来るので、俺たちのやることに協力的だった。
むつ「修二超可愛いぜ」
修二「…」
つよし「と、とととてもお似合いです」
修二「…」
何故か、修二の機嫌が悪い。むつとつよしのウルウル目に観念して、メイド服を着るためマキとトイレに行き、着替えてマキと教室に帰ってきてから黙りな修二。
しかし、長年のバイトで培ってきたものは伊達じゃない。いくら、不機嫌でも、お客に声をかけられると笑顔に変わる。
女の子「あ、あの、注文いいですか?」
修二「はい♪伺います♪」
変わり身の早い修二が注文を取りに居なくなると、俺はマキに隣に寄った。
華南「お前、修二になんかしたろ?」
マキ「えへ♪」
むつ「なに!マキてめぇー何したんだ」
マキ「僕からのプレゼント♪、後で2人で楽しんで♪♪」
マキがとてつもなくニコニコしている。
いったい何したんだ!!?
そうして好き勝手やっていた俺たちの元に、ついに雷が落ちる時が来た。
あまりの人だかりに、見回りに来た谷崎に見つかってしまった。
谷崎「修二!?お前何やってんだ!!」
修二「ゲッ!!。……えへ♪似合う♪?」
人差し指をほっぺに当てて、お茶目に笑った修二。誤魔化せるはずもない。
谷崎「似合う♪?じゃねーだろ、お前のクラスは隣だろ!」
修二「あ、あれ〜♪へへ、間違えちゃった♪」
谷崎「何が、間違えちゃった♪、っだ!!そこの教卓の上の奴は誰だ!?ウチの生徒じゃないだろ!ちょっとこっち来い!」
華南「ヤバッ!、逃げるぞ!」
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