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俺たちの道〜華南〜
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谷崎の出現で、教室を飛び出した俺達は、階段で上と下の二手に別れて逃げた。
俺はつよしの腕を引き、下の階へ。
むつとマキとメイド姿の修二は上の階へ。
谷崎は、俺を追いかけて階段を降りてきた。
人だらけの廊下でも、俺の着ている水色のジャージが目立ちすぎて、なかなか谷崎を巻くことが出来ない。
あー!マジしつけー谷崎!
階段で1階まで駆け下り、廊下をまっすぐ人を掻き分けて玄関に向かって走る。
つよし「ハァ、ハァ、…か、華南さん…もう…」
まとわりつくスカートをたくし上げ走っていたつよしが、息を切らせてもう倒れそうだった。
ヤバイ…つよしは足早いけど…体力無さそうだもんな…、担いで走ったら直ぐに谷崎に捕まっちまう…
突き当たりを曲がったその時だ
ードンッ!
華南「わっ!」
?「痛ッ!!」
人にぶつかり転んでしまった。
倒れこんだ時、手をつないでいたつよしも道ずれに横転したが、つよしの体を受け止め、すぐに起き上がり、ぶつかった人に謝った。
華南「悪い!怪我は……って!北斗!」
なんと、ぶつかったのは俺の弟の北斗。
北斗「痛ぁー…、ッ兄さん!…あれ?兄さんメイド服は?」
お前もか!!
いったいどこから情報が…
って!それどころじゃねー!
谷崎に追われてるのを思い出し、慌てて立ち上がったが、つよしは息切れしていてもう走れそうにない。
ふと、北斗の着ていたコートに目が留まる。
そうだ!
閃いた俺は、つよしを抱え北斗を道ずれに、近くの用具室に潜り込んだ。
北斗「なっ!」
華南「黙って屈んでろ!」
北斗の頭を押さえつけ、騒がしい谷崎が通り過ぎるの息をひそめた。
華南「よし、谷崎の奴行ったな…。北斗コート脱いで寄こせ…」
北斗に話しかけたのに、北斗は固まっていて動かなかった。
華南「北斗?」
北斗は、猫耳メイド姿のつよしに釘付けだった…。
うわ!これってマズイ?北斗の奴つよしを女の子だと勘違いしてる?まぁ、分かる、俺も驚いた…
華南「ぁ…北斗、そいつはお…」
〝男だ〟と、言おうとしたが、北斗はつよしにズイッと近づいて手を握りしめ。
北斗「僕、橘北斗って言います!!」
つよし「ッ!!」
北斗が興奮気味にいきなり手を掴むから、人見知りのつよしがビクッと怯えて身を引く。
北斗よ…、なんて惚れっぽいんだ…、お前、こないだマキにときめいてただろうが…。
その前はむつと修二…
まぁ、今回は無理も無いか…こいつのコスプレ趣味ドストライクだろうよ…。また男だけど…。
俺は、呆れながら、北斗の掴んでる手をつよしから引き離す。
華南「北斗、手を離せ、つよしが怖がってる、スッゲー人見知りなんだよ。そんでもって、男だ」
北斗「えッ!?」
俺の言葉に信じられないと目を見開いて、そしてさらにつよしを凝視するもんだから、つよしがさらに怯えて震えている。
華南「つよし悪りぃな、こいつ俺の弟の北斗、高1だからつよしの3つ上だな。コスプレ好きなんだよ、変態でごめん」
つよし「ぁ…、ご、ごめんなさい…、あの…お、驚いてしまって…」
華南「謝んな謝んな、悪いのはこいつだから…」
未だに呆然とつよしを見つめる北斗の頭を掴んで下げさせると、北斗がやっと口をきいた。
北斗「…ぁ、す、すいませんでした」
完全には納得いってないようだが、とりあえず、怯えさせたことは反省したようだ。
華南「北斗、コート貸せよ、谷崎に追われてるんだ」
北斗「いいけど…、何したの?」
華南「つよしは他校生なんだ、メイド喫茶があんまり暇だったから協力してもらったら、すっげー混じまって見つかった」
北斗「確かに僕が行った時ガラガラだった…それにしても馬鹿なことするな…」
華南「なんだお前、開店時にいたのかよ」
北斗が脱いだコートを借りてつよしに着せ、メイド服を隠しす。これでとりあえずつよしは外に逃がせるだろう…、後は俺が服を取りに教室へ戻って…
華南「つよし、このまま外に脱出して、マキと合流して逃げろ、俺は教室へ服を取りに行く」
つよし「ぼ、僕も行きます」
華南「お前は無理だ、谷崎に見つかったら逃げきれない」
つよし「か、華南さん…」
北斗「…あのさ、なに、名シーンみたいにカッコつけて喋ってるの?全然カッコよくないよ…」
華南「ウッセーな北斗!」
人が真剣に言ってんのにチャチャ入れてきやがって。
北斗「それに、ここで放り出さないで、正門まで案内するべきでしょ?」
華南「俺のこの水色のジャージじゃすぐに見つかっちまうよ」
つよし「あっ、ぼ、僕のことは気にしないで下さい」
…北斗の言うことも一理ある…。巻き込んだのにここで逃げろと放り出すのもアレだし…かといってここに隠れてろとは言えない、今日使われてない教室なんて数えるほどしかないから、見つかる可能性がある。
華南「…北斗、お前つよしを外に逃がしてやってくれよ」
北斗「えっ…」
俺の言葉に、北斗が驚いたかと思ったら、ブアッと赤面しやがった。
華南「うわっ!やっぱ今の無し!お前じゃ危ねぇ!!」
北斗「ち、違う!兄さん達みたいに誰彼構わず襲うかよ!」
華南「うわっ!信じらんねぇ良く言うわ…、つよしのこと可愛い女の子だと思って出会い頭に口説こうとしてた癖に」
北斗「しょうがないだろ!すげー可愛かったんだよ!!それにメイド服に猫耳って僕の究極の理想が目の前にあったら、そりゃ運命かもって思うし!興奮もするさ!可愛いもんを可愛いと思って何が悪いんだ!」
つよし「…」
華南「あー…北斗、もうやめよう…つよしが真っ赤で爆発しそうだ…」
北斗「!」
北斗があまりに〝可愛い可愛い〟言うもんだから、つよしが赤面して湯気が立っていた。
そして北斗も我に返り顔を真っ赤にした。
ーピロリン♪
ん?メール…マキからだ、あいつらうまく逃げたかな?
えっと何々…。
《つよしのことは無事に逃がしてあげてね♪♪むつと修二は屋上でお楽しみ中♪♪華南も早く混ざりなよ♪♪》
ゥオイ!!マキ!!!!
ってぇーー!!むつと修二がお楽しみ中ってなんだ!!メイド服の修二とむつがお楽しみ中なのか!?俺を差し置いて!?ズルくない!?
華南「北斗!!」
北斗「ッはい…」
華南「緊急事態だ!俺は行く!つよしをうまく逃がしてくれ頼んだぞ!!」
北斗「え?!緊急って!?」
華南「つよし悪い!このお礼は必ずするから!!服は後で必ず届ける!」
つよし「か、華南さんお気をつけて、頑張って下さい!ぼ、僕は大丈夫です!」
つよしが力強く両手でガッツポーズして俺はそれに応えるように、敬礼、部屋を飛び出した。
北斗「華南!」
北斗の戸惑った声が背中で聞こえたが、俺はそれどころじゃない、屋上へと急いだ。
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