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俺たちの始まり〜華南〜
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手を握って、3人で歩き出した道。
人の目を避け、気を配らなきゃならないこともあるけど、俺たちは、共に並んで歩いてる。
劇的な環境の変化と、ほんの少しの不安。
卵を温めるように、目に見えない育みは、少しづつ、少しづつ、鼓動を強める。
大学生になった修二。
飲食店社員になったむつ。
内装会社に就職した俺。
高校を卒業して3ヶ月
6月に入り、雨ばかりの天気に憂鬱な気分がする。
奏一さんの言った通り、4月は驚くほど忙しかった。
帰ったら飯食って寝て、朝起きて出勤。
それでも俺はマシな方。
大変なのはむつだ。
むつが務める店舗は夜型。夜17時〜朝5時まで、つまり昼間寝て夜勤務。昼間活動する俺と修二とは全く時間が合わないのだ。
さらに、休みは週一だけど不定期の平日。
俺と修二の休みは日曜祝日。
つまり、むつが休みでも一緒に居られるのは俺と修二が帰って来てからの夕方から寝るまでの時間。しかも、俺は残業があることもあるので、二週間、顔を合わせられない状態もざら、この現状にむつはかなりキていた。
むつ「もう帰るのか?」
二週間ぶりにむつと修二と過ごした。
むつの部屋へ入るなり、むつが修二に濃厚なキスをして、それから今の今まで裸で布団の中にいた。
華南「ごめん、明日早いんだ…」
俺が着替えようと服に手をかけると、むつが後ろから抱きついてきた。
むつ「…帰る前に、もう一回ヤらねぇ?」
華南「むつ…、お前の負担になるから一回の約束だろ?」
むつ「ちぇっ…」
華南「ヨシヨシ」
むつ「頭撫でんなよ…」
華南「じゃあこっち?」
ーチュッ
むつ「むぅ…、お子様のキスじゃんか」
修二「むつ、僕ちゃん達帰るね」
むつ「修二は泊まってけよ」
修二「えっ…、ごめん、明日レポート提出で、仕上げがこれからなんだ」
むつ「…そっか…。はぁー、早く一緒にすみてぇーな…」
むつの表情に、自然と俺と修二の視線が交わる。
部屋は探してるが、なかなか良いのが見つからない。
修二は、視線をむつに戻して、むつの頭を撫でる。
修二「2時間くらい作業する間大人しくしててくれる?それなら、レポート取って来て、むつの部屋泊まるよ」
むつ「マジ?!待つ待つ!。あっ!さっきのでゴム切れてたんだ、コンビニ行って買ってこよう」
修二「きょ、今日はもうシないよ!」
むつ「ハハッ、修二が強請って来なきゃな」
修二「僕ちゃん強請らないし!」
すぐに同居しなかったのは、俺と修二には、生活スタイルを作る時間ができ、実家暮らしは良かったけど…
むつにとっては苦しい日々。
起きた時家族に会わなければ、仕事場以外の人間に会うことなく、家に帰る頃には皆寝静まっている。
むつ本人は、ずっと平気そうに一生懸命頑張っているけど、疲れが顔色にでてる。
時間に余裕のある修二が、週に2度ほど起こしに行ってるみたいだが…
こないだむつがボソッと、弱音を吐いた。
むつ『もっと勉強してれば、違う仕事もできたんだよな…』
と、言ったそうだ。
生活スタイルが似てる俺と修二が、会おうと思えばいつでもむつ抜きで会えること、加えて、昼夜逆転の生活が、むつに、大きなダメージを与えている。
今は6月の中旬。
奏一さんの許可が出た夏までは、後一ヶ月ほど残ってる。
3ヶ月経って仕事に慣れてきて、優しい先輩方に囲まれ、余裕も出てきた。
3人で住む部屋を本格的に探し始めていたが、なかなか良いのが見つからない、むつのためにも、そして2人とイチャイチャしたい俺のためにも早く見つけたい。
昼食の休憩時間に賃貸の雑誌を広げいると。
事務の女性の早乙女(さおとめ)さんが話しかけてきた。
早乙女「橘君家探してるの?」
華南「あっ、はい」
早乙女さんは、入社3年目。今時で胸のデカイお姉さん。新入社員に積極的に話しかけてくれるいい人だ。
早乙女「随分広い部屋探してるのね」
華南「はい、友達とシェアしようかと…」
竜也「とか言いながら、彼女じゃねぇの?」
ニヤニヤしながら話しに入ってきたのは、竜也(りゅうや)先輩26才。俺の教育係をしてくれてる面倒見のいい兄貴タイプ。
スポーツ刈りで、漢らしい体格は内装より大工向きだ。
華南「男3人ですよ」
竜也「はぁ?なぜ男3人?実家から出て一人暮らしすれば女連れ込み放題じゃん」
早乙女「竜さん下品」
竜也「なんだよ早乙女、そんなんだから23にもなって男できないんだぞ、悔しかったら男連れ込んで彼氏作れよ」
早乙女「竜さんはそんなんだから彼女と長く続かないんですよ、どうせ、お家デートとかって盛ってばっかなんでしょ、高校生か」
竜也「可愛げのない女はもらわれ先ないぜ」
早乙女「私には、橘君が居るからいいんでーす」
早乙女さんと竜也さんは、いつもこんな感じで楽しそうに言い合ってる。社長にはよく夫婦喧嘩は外でやりなさいと叱られ、その度にあり得ない!って叫ぶ。息ぴったり。
華南「…すいません、俺、相手居るんで…」
早乙女「えー、じゃあやっぱ彼女と!?」
華南「いえ、男3人で住みます」
嘘はついてない。
竜也「ふーん。本当かどうかは今晩飲みに付き合ってもらって吐かすとして」
華南「すいません竜さん。俺、引越し資金貯めてて金ないっす」
竜也「奢ってやるよ、ジュースをな!」
華南「…遠慮します」
本当のことは言えないし…
今日は修二とは会う約束だし…
竜也「ほほぉー、いいのかぁ?俺の知り合いの不動産にお得な部屋ないか、口聞いてやってもいいんだぞぉ〜」
華南「マジっすか!?」
竜也「その代わり、彼女のこと教えろよぉ」
早乙女「楽しそう。私も行きたい!」
竜也「お前の分は奢らねぇぞ!」
早乙女「自分で払いますぅー」
側から見たら、この2人、早く付き合っちゃえばいいのにと思う。
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華南「悪い修二、今日先輩に付き合ったら部屋を探すの手伝ってくれるって言うから。会うのまた今度でいいか?…」
修二『うん、分かった』
今日は、修二とは夕飯食いに行く約束だった。昼休みの時点で修二に予定キャンセルのメールは送ったが、仕事終わりに電話した。不動産にコネが出来そうだからと…。
華南「明日また連絡するから」
修二『華南も無理しないでね』
華南「俺は大丈夫だよ、むつほどじゃないし、修二も無理は…」
早乙女「橘くーん!竜さん来たよー!」
華南「あっ、はーい!悪りぃ修二、また明日」
修二『うん…』
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