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番外編7ひと夜咲く純白の花の願い
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僕は、仕事で起きる時間だという百目鬼さんを起こしに、1人で百目鬼さんのところに行き、企んだ計画を実行に移した。
マキ「百目鬼さん♪」
ベッドで寝ている百目鬼さんを優しく起こし、ベッドに頬杖を付いた。
百目鬼は微かに目を開ける。
百目鬼「ん?…ぁー…時間か…」
マキ「あのさ百目鬼さん♪、さっき僕、矢田さんに僕が女の子だって騙すの承諾したじゃない?」
ニコニコ話しかけると、百目鬼は嫌な予感がしたのか眉間にシワを寄せた。
百目鬼「ああ」
マキ「僕もお願いがあるから交換条件にしない?♪」
百目鬼「は?…、お前なんか企んでんな」
マキ「ううん。困ってるの。僕、この怪我で先生のとこ帰れないんだ。痣が消えるまで泊めてくれる?♪」
百目鬼「はぁあ!?それじゃあ、お前が男だとバレるたろ!」
マキ「大丈夫。矢田さんって菫ママ達を女性だと思ってんだよ?」
百目鬼「グッ…」
マキ「お利口にするし、怪我した猫を拾ったと思って隅に置いてくれればいいから」
百目鬼「…」
眉間にシワが寄りこっちを伺ってる。
頷きそうで頷かないので、トドメを刺すことにした。
マキ「……ぁー、腰痛いなぁ…」
百目鬼「ッ……。仕事の邪魔はするなよ」
マキ「もちろん♪」
百目鬼「一週間だぞ!一週間したら痣も消えるだろ?」
マキ「うん♪一週間ね♪」
一週間。
その間にキーホルダーを見つけて、矢田さんの願いを叶えてあげよう。
少しでも、百目鬼さんが元気になるように。
料理は作れない。
癒すこともできないけど。
僕のやり方でしかできないけど、百目鬼さんが笑顔になったらいいな。
その後、百目鬼はマキに「仕事があるから大人しくこの部屋にいろ」って言い、事務所に下りて行った。
本当はもう一度キーホルダーを探しに行きたかったけど…。
腕も腰も痛くて、低い体勢が辛いし、人も多そうだから、また明日探そう、と、マキはベッドに横になる、さっきまで百目鬼がいたから、百目鬼の匂いがする。
百目鬼さんの部屋には、さっき事務所から逃げた三毛猫がいた。可愛らしいピンクのリボンには〝ミケ〟と、書いてあった。
うわ〜、捻りないなぁ〜。
百目鬼さんが付けたのかな?
猫にしては珍しく、人に寄ってくる。ベッドに横になるマキにすりすりしてくる。
お腹すいてるのかな?
マキ「ごめんねぇ、僕はご飯持ってないんだぁー」
頭を撫でるとふわふわしててとっても気持ちよかった。
百目鬼の体温の残る布団で横になって猫のミケを撫でていたら、マキは段々眠くなってきた。
マキは昨日、一時間しか寝ていない。
百目鬼の匂いとタバコの匂いと暖かな布団に、マキは、いつのまにか目を閉じた。
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百目鬼は事務所に下りながら、考えていた。
マキを泊めるのはマズかったか?
…でも自分が、怪我してるマキを襲ったのは一目瞭然。あいつは、同意だとかヘラヘラしてるけど、違うだろう…。
夢の覚えてる部分を繋いでも、俺はあいつを押さえつけて、強引に持ってった。
それに、矢田は気づいてないが、平気そうに見せてダルそうにしてる瞬間がある。
俺が悪い。一週間…、泊めて痣も良くなれば、俺も少し気が楽だ…。
自分の凶悪な暴走癖の被害を食らわせてしまったマキを心配しながら、これから一週間に対して不安が過る。
矢田「百目鬼さん、体調は?」
二階の事務所に下りると、矢田が心配そうに寄ってきた。
色々面倒ごとを持ってきたり、やらかしたりする矢田だが、根はとてもいいやつだと百目鬼は分かってる。
百目鬼「大丈夫だ、ありがとよ」
礼を言って、自分の机に戻り、午後に依頼主である賢史(けんし)に渡す資料をまとめる。午前に処理したデータと、これがまとまれば、この徹夜の日々も今日で区切りがつく。
矢田「ところで百目鬼さん」
矢田が言いにくそうに口籠る。
こういう時、矢田は良いことを言わない。大抵面倒ごとなので、すでに呆れながら気の無い返事をした。
百目鬼「なんだ」
矢田「百目鬼さんはマキちゃんのこと可愛いと思いますよね」
百目鬼「は?あいつを?」
突然意味の分からないことを言われて、理解が追いつかない。
なぜそんな事を言い出すのか?はたまたマキが何か吹き込んだのか?
答えないでいると、矢田は続けた。
矢田「俺、百目鬼さんが女の子連れ込むとこ初めて見ました」
そりゃそうだ、俺の恋愛対象は男だ。
矢田にばれたら面倒くさいから、バレないようにしてきた。
矢田「百目鬼さん、よっぽどマキちゃんを気に入ったんだろうと思って、俺、百目鬼さんをお勧めしておきましたから」
ほら見ろ、面倒くさいことを言い出す。
お勧めって、俺をマキにか?
勘弁してくれ、あいつは〝はしかが治った〟んだ、勧められても困るだろう。
ったく、やっぱろくなこと考えない…
矢田「良かったですね百目鬼さん。マキちゃん、百目鬼さんのこと〝好き〟だって言ってましたよ。百目鬼さんが良ければ〝付き合いたい〟って言ってました!!百目鬼さんが申し込めば、即成立。おめでとうございます彼女ゲットですね!」
今…なんて?
百目鬼は、頭の中で、ゆっくり矢田の言葉を再生する。
矢田がさらに続けて喋ってるが、そっちは頭に入らず、徐々に目と口が大きく開いて眉間にシワが寄る。
『好きだって、良ければ付き合いたいって』
百目鬼「はぁッ!?」
ふざけるな、冗談だろ?!
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