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番外編10ひと夜咲く純白の花の願い
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マキ「美味しい!」
その日の夜、百目鬼さんはチャーハンを作ってくれた。
中身のほとんどない冷蔵庫で、具は少なくあまり見栄えは良くなかったけど、凄く美味しかった。
百目鬼「悪いが今日まで忙しくて買い物出来なかったから、あり物だ」
マキ「大丈夫、凄く美味しいよ♪百目鬼さん凄いね♪短時間でチャチャッとこんなの作れるなんて♪」
屈託のない笑顔でチャーハンを口に運び、美味しい美味しいと子供みたいにがっつくマキは、百目鬼の作ったチャーハンをペロリと食べて、お代わりする。
百目鬼「…お前、ほせーのに大食いか?」
マキ「美味しいんだもん♪」
へへッと笑うマキに、美味しい美味しいと笑顔で言われ、百目鬼も悪い気がしない。むしろ、胡散臭い笑顔ばかりのマキの子供っぽい表情に口元が緩みそうになる。
過去に手料理を振舞った相手は、ここまで美味しそうに食べたりはしなかった。遠慮がちに〝おいしいです〟と微笑むくらい…だから、マキの見事な食べっぷりと笑顔に、眼を奪われる。
ハッとして、フライパンに残ってたのを、全てマキの皿に入れて、突き出した。
百目鬼「食べ過ぎるなよ」
マキ「ありがとう♪」
パクパク食べるマキを眺めながら。
自分の家で、手料理を食べてるマキを不思議な気持ちで見つめる。
これは猫か?犬か?…狐?明日は、もっとしっかり食わせてやんなきゃなぁ…。と思いながら…。
マキ「ん?何?じっと見つめて」
百目鬼「ああ、いや、よく食うなぁ…と」
マキ「えへ♪だって美味しいんだもん♪」
百目鬼「……そっか」
マキ「ろーめきはんはしょうひょくらね」
百目鬼「口の中にを無くしてから喋らんか、また喉に詰まるぞ」
マキ「んー♪」
百目鬼「ったく…」
子供みたいなマキを叱りながら、百目鬼はどこか楽しそうだった。
夕食が終わると、百目鬼はテキパキと風呂の支度をした。
マキは、後片付けで皿を洗いながら足元にいる猫のミケと戯れる。
百目鬼「オイ、風呂」
マキ「はーい」
呼ばれてお風呂場に行くと、マキは驚いた。
マキ「わっ!?百目鬼さん何で脱いでんの!?」
百目鬼は着ていたワイシャツを脱いでるところだった。
うわぁーー…、明るいところで百目鬼さんの裸とか見るの初めて、って何あれ、腹筋超割れてるぅ〜。暗がりで触った感じ筋肉凄いと思ったけど、生で見ると超エロカッコイイんですけどー!!
百目鬼「洗ってやる、入れ」
えー!!洗ってやる!?
無理だよぉ〜!洗われたらエッチな気分になっちゃうじゃん!ダメダメ!!
マキ「やん♪僕の裸見たいの?」
百目鬼「うるさい入れ!」
百目鬼のバカ力で風呂に放り投げられた。
幸いというか残念というか、百目鬼はTシャツを着て入ってきて、今朝と同じように慣れない指がワシャワシャマキを洗う。
勘弁してよぉ…。
僕、ピチピチの十代だよ?毎日アナニーするんだよ?それなのに目の前にモロ好みな体を見せられてどう我慢しろと?
頭は豪快に洗うのに、体は馬鹿みたいに丁寧にスポンジで撫でる。噛み付いた跡を気にしてくれてるのはありがたいけど、そんなのこそばゆいよー!
マキ「ッ…ん…」
百目鬼「…お前、どうしようもない淫乱だな」
前屈みのマキを百目鬼が冷ややかに見下ろす。
マキ「や〜ん、それ、僕の中であんなにいっぱいイった人の台詞?♪」
百目鬼「ッ…」
百目鬼は、言葉に詰まり、マキの頭からシャワーをぶっかけた。
マキ「ぶっ!…プハァ!…ずるい」
百目鬼「洗い終わった。後は自分で処理しろ!そしたら湯船に浸かって、腕をあっためないようにして100数えるまで出るな!」
乱暴に風呂場の扉を閉めて出て行った。
マキ「100って、お母さんじゃないんだから……ふふ」
悲しくも一人で処理し、きちんと100数えて出た。
脱衣所には、百目鬼さんの少し大きなパジャマとトランクス。
マキは、百目鬼のパジャマを広げてみた。
…おっきくない?
とりあえず、トランクスを履き、体を拭いたバスタオルを首に引っ掛け。リビングに行くと、百目鬼がビールを飲んでいた。
マキ「百目鬼さん」
パジャマ大きいし、裸で寝ていい?と、聞くつもりだった。マキは寝る時全裸が好ましいからだったが。
呼ばれて振り向いた百目鬼は、マキが濡れ髪に裸なのを見て、ビールを吹き出した。
百目鬼「ブーーーー!!!」
マキ「あは♪百目鬼さんビール吐くとかウケる♪」
百目鬼「馬鹿野郎!パジャマを着ろ!」
マキ「だっておっきいんだもん、それに僕、寝るとき裸だし」
百目鬼「男の前で裸になるんじゃねぇー!」
マキ「フハッ、僕も男の子だよ♪」
〝ブチッ〟と大きな音が響いて、マキは百目鬼に首根っこ掴まれてパジャマを着せられた。
そして乱暴にバスタオルで頭をガシガシと拭かれた。
百目鬼「拭けてねぇよ」
マキ「わっ!、ははっ」
百目鬼「何笑ってんだ」
マキ「だって、こんなに面倒見てもらって、本当に飼われてる猫みたいだなって♪」
百目鬼「…お前は怪我した猫だ、一週間だけ面倒見てやる、それ以上は、うちはミケと矢田で手一杯だ」
マキ「あはは、矢田さんね、それは大変だね。でも僕はお利口だから手はかからないよ」
百目鬼「すでにかかってる」
そう言いながらマキの頭を拭き終わって立ち上がり、バスタオルを洗濯機に押し込んでドライヤーを持ってきてマキの頭を乾かす百目鬼。
マキは、笑いを堪えるので必死だ。
大きな手が気持ちいい…、本当に猫だったら…良かった。
百目鬼「お前は、ベッドで寝てろ」
百目鬼さんは僕の髪を乾かし終わり、僕の腕に湿布を貼りながら言った。
マキ「えー、僕、腕枕ないと寝れないよ」
百目鬼「………嘘つくな」
マキ「嘘じゃないよぉ〜」
百目鬼「俺はやることがある、邪魔しない約束だろ?」
マキ「…はぁ〜い」
こんなに眠そうなのに、まだやることがあるなんて、どうしようもない男だ。
上手く逃げられ、マキは渋々寝室に向かった。
広いベッドに一人で横になる。
…独り寝は好きじゃない…
百目鬼さん早く来ないかなぁ…
いつまでも眠れずゴロゴロしていた。
リビングからは、何の音もしない。
仕事?本当に?
そうして時間がいくら過ぎても、百目鬼は寝室に現れない。
ーピンポーン
玄関のチャイムの音に、パッと時計を見た。
22時…。
お客さん…?
ガチャリと玄関の空いた音がして、すぐに明るい男性の声が響いた。
「じぃ〜ん、お仕事お疲れ様ぁ〜♪」
のんびりした優しいお兄さんのような声。
マキは、気になって寝室のドアに耳をあてた。
百目鬼「雪哉(ゆきや)。いきなり来るな」
雪哉「え?3日前メールしてきたの神じゃん…3日後に終わるからって。だから綺麗にしてきたよ」
百目鬼「しまった、忘れてた…」
雪哉「…ブーツ?誰か来てるの?」
ードクン
この声の人が…神さんの相手?
百目鬼さんに呼び出されて
綺麗にしてきた…
ってことは。
僕のこと、この人と、間違えたのか…。
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