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番外編21ひと夜咲く純白の花の願い
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修二『一生の内、残りの2日間だけ素直に、一緒に居たいって言ったら?』
修二は、ズルイ…、2日間くらい素直になれって言われたら、48時間も素直になってられるかって思うけど、一生の内って…。
比較対象が長すぎじゃない?
今度仕返しに、すごいオモチャをむつと華南に送りつけよう、修二と楽しんで♪とか手紙付きで…、あは♪楽しくなってきたなぁ♪
ーグゥ〜
………ぅ…お腹すいた…。
お財布の中身小銭しか無いんだよな…。
トボトボ歩いてると、いつの間にか駅に着いてた。
あっ、ここ、自転車とぶつかってキーホルダー無くした所だ…。
馬鹿みたいに何回も同じところ探してる。
この植え込み…、もう何十回も探した。
やっぱ無いなぁ。
なんだよ、キーホルダーの奴まで僕に意地悪しなくたってよくない?
ぼーっと周りを眺めていたら、視界の端で光るものを見つけた。
あ!あの植え込み今光った!
慌てて駆け寄り、這いつくばって植え込みに手を突っ込んだ。
指に当たった固い感触にそれを握りしめて植え込みから手を引き抜く。
マキ「!……ッ…瓶の蓋…」
自分の手に握られていたのは、古い瓶の蓋。
ガックリと肩を落とすのも、これで何十回目か分からない…。
その場でペタリと座り込む。
人がチラチラ見て通り過ぎていく…
それでも直ぐ立つ気にはならなかった。
…明日から、雪が降る。
予報では積もるって。
もう、見つけることはできない…
好きになった人と初めてデートして、買ってもらったもの…
自覚したのは、その後だけど。
僕は、デートなんてしたこと無い。
男の人と会うのはいつもホテルで、ヤッたら、サヨウナラだし…。
桜木さんが食事に連れてってくれるけど、レジャー施設は人の目があるから行ったこと無い、それで満足してた。
キラキラした水族館。
魚が自由に泳ぎ回って凄く綺麗で
最初は怖い顔してた百目鬼さんが、後半はあきれ顔だけど、笑ったりしてた…
慰めるつもりでいたのに…
あんなに楽しいとか…思わなかった。
あんなに綺麗だとか…思わなかった。
あんなに優しいとか…思わなかった。
百目鬼『マキ、お前のこと気に入ったってさ』
………。
どうして、僕は、百目鬼さんを諦められ無いのかな?
『マキ』
あの優しい百目鬼さんは、もう、僕の名前を呼ば無いのに…
「おい!!」
大きな声と同時に、肩をグイッと強く引かれて、驚いた。
振り向かされたそこには、強面の顔がさらに怖くなった百目鬼がいた。
百目鬼「どうした!?具合悪いのか?!」
マキ「…ぁ…」
突然百目鬼のアップに心の切り替えが追いつかなかった。
マキ慌ててへらっと笑って答える。
マキ「あはは♪違う違う。お金かなぁーと思って拾ったら、瓶の蓋でガッカリしちゃってたとこ♪」
ペロッと舌を出し、瓶の蓋を見せたら、百目鬼にギロっと睨まれた。
マキ「えへ♪ゴメンなさい、みっともない真似して♪」
百目鬼「人が心配してやってんのにその態度かよ」
マキ「心配?」
百目鬼「……賢史になんか言われたか?」
マキ「…ふふ、食べちゃうぞって言われた♪」
百目鬼「…、テメェは人が心配してやってるって言ってんのに、なんでそんなふざけんだ」
マキ「ええ〜、だって本当に言われたんだもん、綺麗だから食べちゃいたいって。そりゃ百目鬼さんからしたら、僕より友達を取るのは分かるけど、本当にそう言われたんだもん」
綺麗だと賢史が言っていたのを思い出し、確かに言いそうだと百目鬼は苦笑いする。
しかし、マキがワザと話題をズラしてるのは分かってる。
百目鬼「うっ…、そういうんじゃねぇけど…チッ!」
百目鬼は、なにやら懐からラップで包んだ手作りの大きい三角オニギリを出して、マキの前に突き出した。
何?
マキ「?」
百目鬼「腹減ってんだろ、食えよ」
マキ「…なんで?」
確かに、お腹は空いてる。
でも何故今?
3時のおやつ的な?
でも何故オニギリ?
百目鬼「お前、昼飯ろくに食って無いだろ」
マキ「ふえ?」
百目鬼の目を真っ直ぐ見て瞳を瞬くと、百目鬼はマキの視線に耐えかねて視線をそらす。
百目鬼「たまたま、事務所からたまたまお前らの席が、たまたま見えたんだよ」
たまたま?たま多くない?見えたって…
事務所は二階、喫茶店は一階だよ?。
窓から下を覗かなきゃ見え無いはず…。
百目鬼「まぁ…、いらねぇなら俺が…」
マキ「食べる!食べたいです!」
急いでラップをめくってオニギリをかじる。
塩むすびだけど、なんだかとても美味しく感じた。一つだけだったから、ペロッと食べちゃって、名残惜しく指に着いたのを咥えていたら、間が持たなかった百目鬼が、話しを元に戻してきた。
百目鬼「で?何してたんだ」
ありゃ、そこ戻っちゃう?
マキ「何も。お金かなぁと思って」
百目鬼「チッ…。お前、何が楽しいんだ」
急に真剣な低い静かな怒りを向けられた。
百目鬼「嘘ばっか付いて人をたぶらかして何が楽しい」
マキ「…何の事?」
百目鬼「お前、なんか探してるんじゃ無いのか?」
えッ?
マキ「…なんで…そう思うの?」
百目鬼「…答える気無しかよ…」
答えられる訳無い…。
百目鬼さんから買ってもらったキーホルダーだなんて…。
百目鬼「今、10分くらいお前の事見てたからな」
マキ「あは♪やだぁ♪声かけてよ恥ずかしい」
百目鬼「なんか珍しく真剣な顔してたから、そんな顔もできたんだなぁと思ってな」
マキ「あはは、それ、友達にも言われるよ」
百目鬼「…で?何探してんだ?」
マキ「んふふ♪なんでしょう♪見つかったら教えてあげる♪」
百目鬼「チッ、声かけんじゃなかったぜ」
スッくと立ち上がった百目鬼は、買い物袋をぶら下げて事務所の方に向かって歩き出す。
怖い顔をしてるんだろう、モーゼのごとく人が避けて開けていく。
また、怒らせちゃった。
再会してから…。百目鬼さんは僕を見てイラついてばかりいる。世話を焼くための手はあんなに優しいけど、その手は、誰にでも平等だ…。
明日…、帰ろう。
雪哉さん毎日来てるし、僕はいない方がいい。イブの夜はきっと進展する。
今晩は百目鬼さんの隣に潜り込んで眠って…
『素直に…』
朝、家を出る直前に、軽い感じで『百目鬼さん大好き♪』とか言ってみようかな。
そしたら『は?』とか言われて終わるんだ。
だって、真面目に言って最後の言葉が、否定の言葉だったら、流石に落ち込んじゃう♪
クリスマス、一緒にパーティーやりたかったな…。
こんなことになるなら、桜木さんとの約束、キャンセルにするんじゃなかったな…。
矢田さんに誘われて、馬鹿みたいに浮かれちゃった。
百目鬼「おい!!」
あれ?
遠くで僕を睨みつけるヤクザみたいな百目鬼さん。先行ったんじゃなかったの?
百目鬼「早く来い!」
怒ってるのに、困ってる。
眉間のシワが寄って、口がへの時になってる。
ふは♪
マキ「はーい♪」
ふふ、やっぱり。
可愛いなぁ…。
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