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番外編31ひと夜咲く純白の花の願い
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彼は、感情の大きな噴火とともに、心を覆い隠していたものがボロボロと剥がれ落ちていった…。
現れたわずかな隙間から、本音がこぼれ落ち。
こぼれたのは、脆い小さいビー玉ような本音。
一粒溢れ出ただけで、慌ててそれを隠そうと暴れるから、さらに他のがこぼれ落ちる。誤魔化しに必死に言い訳するけど、慌ててビー玉を集めるから、誤ってふんずけて自滅を繰り返す。パリンパリンと、弾けるビー玉は、凶暴な彼の繊細な感情。一度溢れたら後から後から漏れるのを止められない。冷静さも勘の良さも何もかもが意味をなくして、子供のように泣き叫んでる。
百目鬼さんは、体調不良や熱のせいか、それとも、長い間溜め込んでたことが限界に達したのか。
支離滅裂で矛盾したことばかり言っていた。
でも、最後に漏れた本音の一言で、今までバラバラでめちゃくちゃだったものが、僕の中で一本の細い糸で繋がった気がした。
百目鬼さんはたぶん…。
修二と出会ってから今まで、誰にも自分のことを相談できなかったんじゃないかな?。
いや、もしかしたら…セクシャリティーを自覚してから1度も…。
何もかも溜め込んで、凶暴な自分を押さえつけるのが限界に達した時、修二と出会った。
修二の人柄に触れ、その危うくも1人で真っ直ぐ立ってようとする健気な修二に惹かれた。
そして修二は、そんな凶暴な感情に苦しむ百目鬼さんを、むつの代わりに受け入れようとした。
百目鬼さんからしたら、全てを受け入れてもらうのは初めてのことで、修二の存在が特別なものになったんだろう。
だから、手放せなかった。
日々、体は百目鬼さんの好みになっていくのに、心が別に人に向かってることに耐えられなくなったんだろう…。
自らの手で全てを破壊してしまい、その惨状の前に、未だに立ち尽くして動けないのか。
矢田さんが、百目鬼さんは無茶な働き方を続けて私生活もおざなりだと嘆いていた。
未だに、修二との過去を、過去に出来ずにいるんだね。
百目鬼さんの場合、自業自得だし、同情の余地もない。
でも、それを百目鬼さん自身がよく分かってて、立ち止まったままなんだ。
その、地雷だらけの場所に、僕が現れた。
彼は、気が気じゃなかったろう…
だからイライラしていたんだね。
マキ「百目鬼さん、ちょっと突っ込んだことで聞きたいことがあるんだけど、誤魔化さないで教えてよ。今も修二を手に入れたい?」
百目鬼「ッ!馬鹿なッ!…なんで…お前に答えないといけない」
マキ「修二のことが好きで好きで、むつと華南から引き剥がしたい?」
百目鬼「は?そんなことできるわけないだろ!修二は今、幸せに…ッだから!なんでそんなこと…」
マキ「百目鬼さんは、今、好きな人いる?」
百目鬼「だから、なんでそんなこと答えなきゃいけない!」
マキ「ふふ、百目鬼さんのことが好きだから聞いておきたいんだ」
ニコッと微笑んで小首を傾げると、百目鬼さんが渋い顔をする。
百目鬼「ッ……、俺は、断ったと思うんだが」
マキ「今付き合ってる人とか、付き合えそうないい感じの人いる?」
百目鬼「なんだよ、振られたらまた別の誰かとくっつけようとしてんのか?勘弁してくれよ、付き合ってる奴なんかいないし、俺に付き合えそうな奴がいるわけないだろ」
マキ「雪哉さんは友達?」
百目鬼「ッ、友達だよ、しつこい!」
マキ「良かった♪」
ニッコリ微笑む僕に、百目鬼さんはハテナが飛んだ。
百目鬼「…なんだよ…、なんで嬉しそうなんだよ」
マキ「ふふ、百目鬼さん、忘れてないよね、〝僕が好き放題していい〟って約束」
百目鬼「……ぁ」
それは、百目鬼さんが酔って僕を縛って好き勝手したのを、やり返してもいいと約束した事を指していた。
マキ「僕さ、ずっと雪哉さんと百目鬼さんはいい仲になるんだと思ってたから、ヤるに犯れなかったんだよね♪」
百目鬼「…お前…、普通コクった直後にそんな話しするか?だからお前は下品なんだよ」
マキ「なんで?僕はちゃんと我慢したし。略奪は好きじゃないから、ちゃんと雪哉さんと付き合わないんですねって確認した。振られたし襲っちゃ駄目って言うから、百目鬼さんを襲ってもいい正当な理由を主張してるんじゃない」
ニコニコと子供みたいなマキは、1度もへらっとした笑みを浮かべず、本気の主張。
マキ「百目鬼さんは、断られたら「はいそうですか」と引き下がった?引き下がらなかったでしょう?」
百目鬼「うっ…」
マキ「百目鬼さんは僕に7回出したから、7回はヤらせてもらわないと。僕を襲ったの、それでアイコにするって言ったの百目鬼さんだよ?」
百目鬼「うっ…」
言い返せない百目鬼をニコニコ見つめて、僕は人差し指を立てた。
マキ「そこで、一つ選ばせてあげる。7回イくのが、僕の回数か、百目鬼さんの回数か、どっちがいい?」
百目鬼「はぁあ?そりゃ、仕返しなんだから、お前の回数だろ?」
マキ「ふふ、分かった♪ちなみにドライでイったらカウントされないからね♪」
百目鬼「は?!」
マキ「それからもし途中で、百目鬼さんが僕を押し倒したら、その日はノーカウントだから♪」
百目鬼「ッ!、そんなふざけた話しないだろう!ちゃんと俺を縛って動けなくしとけよ」
マキ「やだなぁ、僕の好き勝手にしていいって百目鬼さんが言ったんだよ?」
百目鬼「ぐっ…」
自分の言った言葉に後悔しても遅いよ。
それに、僕は、一つ気づいたことがある。
マキ「そんな顔しないで、今日は何にもしないから♪ゆっくり寝てよ」
百目鬼「…」
マキ「僕と居るのが嫌なら…」
百目鬼「うるさい!さっさと寝るぞ…」
表情は嫌々でも、百目鬼さんは布団を被って、ベットの右半分を空けてくれてる。
僕は、そんな百目鬼さんがおかしくて、可愛くて…、好きだ。
百目鬼さんの空けてくれてるスペースに潜り込み、大きな背中に寄り添って、頬を寄せ。体をぴったりくっつけた。
百目鬼さんは、振り払ったりしなかった。
百目鬼さんにはきっぱり振られたけど…
百目鬼さんから溢れ出たバラバラの気持ちを一つの線で繋いでみたら、気づいた…
僕は…
多分…
そんなに嫌われてない…
朝日が登るのは………
まだ、
先……………………………
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