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番外編45ひと夜咲く純白の花の願い
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着信履歴を遡ると、5時を境に百目鬼さんから5分置きにかかってきてる。
5時半で、メイちゃんから1回、泉から1回。
その後また百目鬼さんから電話のラッシュ。
僕を探してメイちゃんに連絡取ったってことだよね?
百目鬼さんは先生のプライベート携帯の番号は知らないはず。診療所は年末年始休診の留守番案内を流しているから、連絡役のメイちゃんに僕の所在を聞くために電話したのか…。
…たぶん、メイちゃんから泉に連絡が入って、泉の電話に僕が出ない時点で、GPS検索されてるはず…、僕がラブホテルにいるのなんかとっくにこの2人にはバレてる……。
僕はすぐに泉に電話した。
泉『終わりましたか?トラブルですか?』
終わりましたか、とは、桜木さんとのSEXのこと。でも、そこに至るまでに何かあったと泉は感づいてる。
マキ「ごめん、ちょっとミスった…。桜木さんに電話したの?」
泉『ええ、2時間ほど前に』
2時間位前…SEXの最中だ。思い起こせば、確かにら桜木さんは、1度シャワールームへ入った。僕がローション無しでことに及んだから、取ってくるって…。
マキ「桜木さんはなんて?」
泉『一緒に居る。とだけ』
さすが桜木さん…。
泉『それで?どこの誰にやられたんです?』
泉の、静かな声ほど怖いものはない。
僕は昔、誰彼構わず寝た影響から、色んな人から目をつけられている。その関係で、また抱かせろよって言い寄ってくるやつがいるから、トラブルをよく起こす。以前チンピラに絡まれて、むつと華南助けてもらったのも、あそこの〝ボス猿〟が、噂を聞いて僕と一発ヤりたかったからだ。
今は護身術や催涙スプレーなんかあるし、大抵はやっつけるんだけど…。
マキ「あー…、なんて言うか…、自業自得?」
泉『ほぉ…』
マキ「僕がやったことで友達を傷つけらられたと思ったの人に、ちょこっと仕返しされただけ。別に怪我とかしてないし、もう平気♪」
泉『ほぉ…、〝ちょこっと〟仕返しね』
うはぁー、こえー!
マキ「そうそう、怪我とか無いし、桜木さんに慰めてもらったから♪もう、大丈夫♪」
僕の取り繕いなど、泉には通用しない。
でも、怪我〝は〟無いのは本当。泉にもそれは伝わってる。
静かな怒りを滲ませていたが。
泉が、そういえば、と、冷静な声で言った。
泉『マキ…。百目鬼さんが必死に探してますよ』
マキ「必死?なんで?」
泉『何ででしょう』
泉から、若干の含み笑いを感じる。
マキ「……なんか、余計な事言ったんでしょう?」
泉「余計?いいえ、ひねくれ猫の取り扱い注意事項を教えてあげただけですよ」
それが余計な事だろう!?
僕は、過去の乱れた生活のせいで色んな人に詮索されることがある。だから、メイちゃんと泉は普段、僕のプライベートを人に話すことは絶対に無い。
マキ「一体なんて言ったの?」
泉「…。ネコのが突然居なくなるのは理由があるんですよ。とだけお伝えしました」
は??猫が突然居なくなる理由?
僕には、なんの事かさっぱりわからなくて、目をパチクリさせた。
泉『メイちゃんには、僕から連絡しますから、マキは百目鬼さんに連絡入れてください』
そう言い残し、泉はサッサと切ってしまった。
猫が突然居なくなる理由って…なんだ?
…、まぁいいや。百目鬼さんが僕を探してるみたいだから、百目鬼さんに連絡しよう、電話は気まずいから、メール。メールして、サッサと帰ろう。桜木さんとディーナーして送ってもらって……。
《百目鬼さんごめ〜ん♪(๑>◡<๑)っつ
散歩してたらいつの間にかお家に着いちゃってΣ( ̄。 ̄ノ)ノ
爆睡してた(●⁰౪⁰●)テヘペロ♪。
長々居候しちゃってごめんね(>_<)☆
もしかして、探してくれちゃったりした?ご迷惑おかけしましたm(_ _)mもうおウチだから、百目鬼さんはゆっくり休んで♪明日からお仕事頑張って( •̀ .̫ •́ )✧》
と送ってみた。
しかし、驚いた事に、送信から1秒で携帯がけたたましく震えた。
ーブブブブブブ
マキ「わっ!?」
あまりの早さに驚いて、携帯が手から滑り落ちる。表示は〝百目鬼さん〟からの着信。
電話はなるべくしたくなかったけど、出ないのも変に思われる、だから、恐る恐る受話器を取った。
マキ「ど」
百目鬼『この嘘つきが!!!!』
ひゃっ!!
耳が壊れそうなほどの大きな声が響いて、瞬時に携帯を遠ざける。
携帯からは本人が飛び出してきて耳元で怒鳴り散らすようなボリュームと迫力だった。
百目鬼「家に帰ったなら連絡が入るように椎名さんに頼んでるんだぞ!どこにいる!!」
うっ、家は手が回ってたか…。
百目鬼さん…耳痛い…声…デカイよ
マキ「あっ…、ごめん、もしかして探した?」
百目鬼『そら探すだろ!何時だと思ってんだ!7時だぞ!お前はガキの頃、鐘が鳴ったら家に帰れって習わなかったのか!』
えーーー、なにそれ!?
いや、習ったけども……
マキ「ごめんごめん♪僕、寮に帰っちゃった♪」
百目鬼『おー、そうかそうか、だったら今すぐ寮の電話で電話してみろよ』
マキ「…」
おっと、賢い。
マキ「百目鬼さん、心配させたみたいでごめんね。僕、もう本当に帰るから、お世話になりました。押しかけちゃってごめんね」
百目鬼『ッ、待て待て!世話になったのは俺だろ!ッてか、場所を言え!言わないって事は近くにまだ居るんだろ!』
…だから、無事は確認したでしょ?
僕が居なくなって清々するはずでしょ?
百目鬼『こっちは探し回ってたんだぞ!!場所教えろ!』
何で?
何で連れ戻す気満々?
いや……無理…
意味わかん無い……
無理だよ……会えないよ…
だって僕…桜木さんとシたんだ…
会ったら絶対バレる……
今、罵声を浴びせられたら、笑えない…
きっと耐えられない…
涙が溢れる……
泣き落としなんて死んでもしたくない…
マキ「百目鬼さん、泉に何か言われたの気にしてるんでしょ?」
百目鬼『ッ!』
ほら、泉が何か言ったんだ。
百目鬼さんの意志じゃ無い。
猫がどうのってアレは僕をからかったんだ。
泉は百目鬼さんに、無事じゃなかったら責任とれみたいな事言ったに違いない。
だから責任感じてるんだ。
危ない…直接会ってなくてよかった…。目頭が熱い…もう無理だ、早く電話を切らなきゃ。
泉が余計な事言うから、百目鬼さんが困ってるじゃないか。じゃなきゃおかしい。
買い物から帰った時、僕を拒絶した。
僕がいつまでも迫るから…ちゃんと振ってくれたんだ。
突き放して、迷惑だって…。はっきり言ってくれた。
百目鬼さんは、僕を追い出していいんだよ。
マキ「ふふ♪、泉が意地悪な事言ったんでしょ?ごめんね♪気にして探したりとかしなくていいんだよ♪。百目鬼さんが何か責任を感じる必要なんてそんなの1ミリも無いんだから♪。
(百目鬼さんは、僕の告白に答えてくれて振った時点で責任は取り終わってる)
心配かけたのはごめんなさい。僕、ちゃんと帰るから。
(探す必要はない)
今日まで〝迷惑かけて〟すいませんでした。はっきり言ってくれてありがとう、本当に…色々ごめんね。
(喉が痛い…もう、笑えない…。なんでもないふりは出来ない…)
今日まで、優しくしてくれてありがとございました♪。
(大好きだから…)
さようなら、百目鬼さん♪…」
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