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番外編67ひと夜咲く純白の花の願い
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dawnから離れた人気の無い路地裏で男達が言い争っていた。
罵声が飛び、もみ合う男たち。
高級ブランドの服を身にまとった男は、瀧本(たきもと)と呼ばれ。
瀧本はマキを仰向けにして地面に押さえつけ、馬乗りになって胸元にスタンガンを突きつけていた。
瀧本「っ、手こずらせやがって…」
マキ「…」
男「おい、瀧本やっちまえよ!!」
瀧本の仲間の一人が少し離れたところで叫ぶが、瀧本は額に汗を滲ませ、スタンガンの電源を入れるのを躊躇っていた。
マキ「ふふ♪どうしたの?さっさと僕を感電させれば?」
不敵に笑うマキの声に、瀧本の表情は苦々しく歪む。
スタンガンはマキの胸元を捉えていて、そのスタンガンを持つ瀧本の手首を、マキは握りしめている。
瀧本は仰向けのマキのマウントをとっているから断然有利のはずだった。
しかし、有利なのはマキを地面に取り押さえてるという事だけで、他はそうはいってない。
瀧本の他に3人いた仲間のうち、1人が麻縄でぐるぐる巻き。
1人は手錠をつながれてビルの壁に取り付けてあるパイプに繋がれ身動きが取れない。
最後の1人は催涙スプレーで目から涙をこぼしながら、急かすように叫ぶだけだ。
肝心の瀧本は、マキのマウントをとりながら、厳しい顔つきでマキを見下ろすだけ。
取り押さえられてるマキは、妖艶に微笑んで男達を挑発する。
マキ「度胸が無いなぁ。電源入れて僕を感電させれば攫うなりなんなりできるよ?まぁ、その代わり、僕に手を握られてる貴方も感電するけどね♪」
瀧本「ッ…」
男「瀧本!やっちまえって!」
瀧本という男にそんな度胸はない。
見るからにダメな男だ。高級な服もアクセサリーも、どうせ親の金に決まってる。
心の中で瀧本を嘲笑ったマキ。
瀧本は腕をブルブル震わせでる癖に、ニヤリと笑う。
瀧本「ハハッ、流石難攻不落の嬢王様だね、でも、抵抗されると返って興奮するよ、あんたを縛り上げて道具攻めにして、泣いて乱れる姿をファンに見せつけるとこを想像するとゾクゾクするね」
マキ「んふふ♪、言うことは壮大だけど、あんたは精々オナニーで真っ黒にしたチンコを100人切りしたってハッタリかましてるのがオチじゃない?♪」
瀧本「なんだと!?」
マキ「あら♪図星?」
へらっと笑ってやると、瀧本が激怒しスタンガンを持ってる手を左手だけにして、右手をズボンに突っ込んで何かを出そうとした。
その瞬間。
瀧本のスタンガンを持つ片手をマキがひねり上げる。
瀧本「イタタタっ!!」
瀧本がスタンガンを手から溢れさせ、体制を崩したところを反転して、今度はマキが瀧本を床に押さえつけようとしたその時!
ービュッ!!
目の前をギラリと光るものが通過して、マキは素早く瀧本から飛び退いた。
瀧本は、ポケットから折りたたみナイフを取り出していた。
しまった。スタンガン奪い損なった。
マキ「あは♪そんな物騒なもの振り回してると、怪我するよ♪」
瀧本「うるせーよ!」
興奮状態の瀧本は聞く耳持たず。マキは呆れてため息が漏れる。
しかし、刃物の登場でへらへら笑ってばかりもいられなくなった。
お酒のせいもあって、ふわふわした感覚がする。万が一避けそこなったら、大惨事だ。
血走った瀧本がマキに向かって一歩踏み込んだその時。
「いーけないんだーいけないんだー♪110番に電話しよ♪」
どこからか響いてきた声に、マキは目を見開いた。
瀧本もナイフをマキに向けたままキョロキョロ辺りを見回す。
この声!?
修二「ってか、もう、通報しちゃったけど」
修二!?
通り側の瀧本の背後からニコッと笑ったその笑顔に、メラメラと怒りの炎を宿してるココに居るはずのない男、修二が現れた。
な!?え?…、あれれぇ??、なんか修二くん僕のこと睨んでるぅー?。
修二は笑顔で瀧本を睨みつけ、その怒りに満ちた瞳をマキにも向けていた。連絡を絶ったのを怒ってると悟ったマキは心の中で苦笑い。
アハッ、修二くん怖ぁーい。
瀧本「ふざけやがって!!」
怒りで状況を把握出来ない瀧本は、修二に向かって走り込みナイフを振り回した。
が。
ーバシッ!!
急に横から現れた影に、派手な音で弾かれ、ナイフが宙を舞う。
華南「ふざけてんのはてめーだろ」
華南!?
予想もできない展開だった。
修二に、華南…。何故彼らがいるのか、頭が追いつかない。
弾かれたナイフは残念ながら瀧本の仲間の側に転がり、また瀧本の手に戻ってしまった。
瀧本は、後ずさってナイフを修二と華南に向け、なおも引き下がらない。
瀧本はナイフで脅してマキを捕まえ、喉元に突きつける。さらに引きずって後退し、麻縄で縛られてた仲間の縄をナイフで切って動けるようにしてやる。さらに、マキを脅して手錠で拘束されてる仲間も解放させた。状況は、2対4に人質。しかし、1人は催涙スプレーで目を負傷している。
修二と華南の登場で有利になるかと思いきや、瀧本側が持ち直し、人質まで手に入れた。
しかし、修二も華南も、人質にされたマキですら、涼しい顔。
マキは、いじけたように修二に言った。
マキ「もう、後ちょっとだったのにぃ、振り出しに戻っちゃったよ」
修二「マキ、なんで傘だけ置いてったの?」
マキ「えー、今その話しするのぉー?」
修二「僕ちゃんたち、怒ってるんだよ」
マキ「やだぁ怖ぁーい♪」
瀧本「てめーら状況を分かってんのか!?何ベチャクチャ喋ってんだよ!!なめてんのか!!」
瀧本が吠えても、マキはぺろっと舌を出し、修二と華南は呆れた顔をした。
その時、瀧本らの背後の路地の奥から、獣の唸り声のような怒声がした。
むつ「なめてんのはてめぇーなんだよ!!」
声とともに、暗がりからむつが現れた。瀧本ら四人の中に背後から突進してきたむつは瀧本の背中目掛けてドロップキック。吹っ飛んだ瀧本と一緒に僕も吹っ飛んだ。
マキ(!?)
ードーン!!
巻き添いで地面に倒れこみ、それを見て華南と修二が額に手をおいて「あーあ」と残念な声を漏らした。
マキ「むつ君痛ーい!」
ガバッと起き上がって叫ぶと、すかさずむつに胸ぐらをつかまれ、ギロっと睨まれた。
むつ「ぁあ!?てめーが行方くらますのが悪りぃーんだろ!!」
やん。怒ってるぅー、てか、むつ君その格好仕事着じゃない??
マキ「ちょっ!助けに来たの?怒りに来たの?」
むつ「説教しに来たに決まってんだろ!!」
あん、…むつ君すっごいキレてるぅー、鼓膜痛い…。
瀧本を踏みつけにしたむつが、マキともめだし、瀧本の仲間の3人は一瞬狼狽えた。だが隙をついてむつに殴りかかる。
むつ「うっぜーーんだよ!!!」
気配で直ぐに反撃して、むつが3人に殴りかかる。
その強いこと…。
マキはむつの暴れっぷりにぽかっと口を開けてしまっていた。
修二「ほら!逃げるよ!」
直ぐに修二に腕を掴まれ、引き起こされて走り出す。
瀧本も起き上がり、むつと戦ってる3人もそれに気がついて後を追って来ようとしたが、華南が立ちはだかる。
マキは修二に腕を引かれながら走り、その場から逃げた。
雑魚3人が華南と対峙していると、バチバチン!と破裂音が響く。
むつ「ツッ!!」
華南「むつ!」
瀧本「ハッ!」
スタンガンの電撃がわずかに指をかすめ、むつが腕を引っ込めた瞬間、瀧本がすり抜けてマキと修二の後を追ってしまった。
他の奴らも続こうとしたが、華南は残りの3人を逃さなかった。
華南「チッ!1分でかたずけるか」
むつ「30秒!!」
指を負傷たむつが、すぐさま3人に飛びかかる。
華南は、怒りでキレてるむつの背後を守りながら、敵に強烈なボディーブローを炸裂させた。
一方。
マキと修二は息を切らせながら、人通りのあるところまで逃げて来ていた。シャッターの閉まった店の前で二人は立ち止まり、ハァハァと息を整える。
マキ「ハァ、ハァ…、な、なんで、来たの?」
修二「ハァ、それ、ハァ、本気で言ってる?」
修二の鋭い瞳が飛んできて、マキはうまい切り返しが思いつかない。
マキ「むつは仕事着じゃん!」
修二「ああ、メッチャ怒ってるから、後でしっかり怒られなね」
マキ「意味わかんない」
修二「本当は分かってる癖に…」
マキ「ッ…」
修二「こんなことになるなら、僕ちゃん知らん顔出来ないよ」
意味深な言葉に、僕はドキッとした。
次に修二がなんて言うか、心の奥底では予想がついている。
だけど、修二も僕も、その話題を避けていた。というか、修二が避けてくれていた。
修二は僕と考え方が似てる。
だから誤魔化すのは到底無理だ…
分かってる…
だけど…
マキ「ふふ、修二って自分のことは隠す癖に僕にお説教?」
修二「マキ、今日は誤魔化されてあげないよ。知らないふりはしてあげない」
真剣な修二の瞳は、ずっと触れないでいてくれた確信を鷲掴みにする。
修二「マキが片思いしてる相手って
〝百目鬼さん〟だろ?」
マキ(ーーーーーー)
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