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番外編73ひと夜咲く純白の花の願い
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次の日、僕は修二と一緒のベッドで目を覚ました。
マキ「ふぁああ…」
修二「マキ、眠いならまだ寝てれば?」
マキ「ん〜〜、平気」
瞼の上がらない目をこすりながら、もそりと起き上がる。
修二はテキパキしていて、手早く支度を済ましてしまった。掛け布団を畳み、カーテンを開けて、なんだかお母さんみたいだ。
百目鬼さんは寝起きが良くてサッと着替えて、寝呆ける僕の頭を優しく撫でる…。あの…大きな手が好きだった…。
昨日は、なかなか眠れなかった。
百目鬼さんからのキスを思い出してドキドキしちゃって…。最初のキスは慰めるみたいだったのに、後半は熱を帯びてて…。チェッ、あんな半端なキスしやがって…。利き手が使えたら抜いてスッキリも出来たけど、包帯巻いてるから出来なくてなんだか悶々とした。
まさか本当に修二に頼むわけにはいかないし…、なんとか寝たけど完全な寝不足。
家にしばらくいなかったから何にもなくて、近くのコンビニに朝ごはんを買いに行き、先生の家に戻って2人で食べた。
食べ終わって薬を飲んだら、修二のお説教が始まって「心配するだろ」と言われ、僕は「ごめん」を繰り返す。
修二は、百目鬼さんの事を聞いてはこなかった。
ただ一言…
修二「まだ好きでしょ?」
と聞かれたので
マキ「うん」
と正直に答えた。
修二は柔らかく微笑む
修二は昨日、百目鬼さんと何を話したのかな?
百目鬼さんは今、何を思ってるのかな?
午前中に修二と携帯ショップに携帯を買いに行った。修二も店でうろうろして機種変しようかなぁとか言ってたけど…。多分気を使ってくれたんだと思う。
僕は携帯をこっそり二台買った。色も形も同じやつ。一個は普通に使うやつ。もう一つは、もし、百目鬼さんに連絡先を聞かれたら教える用。
こうすれば、いつでも捨てられる。
デートみたいに買い物した帰り、お昼は修二が作ってくれて手作りご飯を食べた。修二は日に日に包丁も手際も良くなっていく。
マキ「様になってるね」
修二の背中にベタベタくっついて、料理の手際を眺めていた。僕が抱きついていても修二は上手く料理を続ける。これは普段から華南がこんな風にしてるのをあしらい慣れてるんだなぁとニヤニヤしちゃう。
修二「マキだってやれば料理出来るようになるよ、マキは元々器用だろ?」
マキ「できるかな?」
修二「できるよ」
マキ「ところで修二、裸エプロンはもうやった?」
修二「ッ!?ばっかじゃないの!!」
真っ赤になった修二が包丁を向けてきたので「キャハ♪」っとおチャラケて直ぐに逃げた。
あの反応、ヤッたな♪
修二と居ると楽しい。
余計なことは聞いてこない。
でも叱る時は叱る。
賢いし察しはいいし、でも一番良いのは。
一緒にいて癒される。
こんなに波長の合う奴は今までいない。
修二といると、楽に息できる気がする。
修二とむつと華南を見ていると、胸が温かくなると同時に、チクリと痛む。
自分は今まで、自分の経験してきたことが普通だと思ってた。これからも僕はそうゆう風に生きていくんだと思ってる。だけど、彼らを見てると、そんな理想の生活が出来る人も居るんだなぁと、僕の普通が普通出なくなってしまうような気がする。
修二のことは好きだ。むつと華南も好きだ。
だけど時々、羨ましいと思ってしまう。
似ていても、所詮僕と修二は別の人間で別の人生を歩む…
食べ終わって修二にそろそろ帰ったらって言ったら、「そんなに一緒に居たいなら夜までいてあげるよ」、とかニッコリ返されタジタジになった。
見透かされ。修二にやったことが丸っと仕返しされている。
夜7時頃、奏一さんが迎えに来た。
華南も一緒にお迎えに来てた。
華南「むつなら仕事だよ、良かったなマキ、あいつお前をしばく気満々だから、お前に会いに来る頃には、時間おいてて熱が下がってるかもな」
と、ニコニコしてたかと思ったら、急に頭を掴まれた。
華南「で?マキ、さっさと新しい携番教えろよ」
華南は華南でお怒りのようで、ちょっと驚いた。別に帰ってから修二に聞けばいいのに。
修二と華南が奏一さんの車で帰って行き、家の中を見回す。
食器も片付けられ、洗濯物も畳んでしまってくれたから、もう、自分以外人が居る痕跡がない。
マキ「ふぅー」
冬休みに入ってから、ずっと賑やかだった。
修二たちと鍋やって、百目鬼さんと再会して、告白とかして、トラブって、逃亡して、携帯を噴水に投げ入れて…
色々あった…
長いため息をついて、自室に戻る。
今日から年明けまで一人だ。
どうしよっかなぁ…。
暇だなぁ…
ーピリリリリン♪ピリリリリン♪
マキ「…はい」
修二『あっ、マキ?』
マキ「うん、どうしたの?」
修二『ねぇ、マキの部屋に手袋落ちてない?』
マキ「ん〜」
部屋を見渡したけど、それらしいものはなくて、ベッドの下を覗き込む。
マキ「あっ、あったよ、片方だけだけど…」
修二『よかった。片方は持ってるんだ、それ持っててよ』
これはもしかして、会う口実にワザと置いてったのかな?
…心配性だな修二は…。
マキ「分かった」
もしかして、これを取りに来る時はむつ君が来る時だろうか…。
う〜ん。
最新のオモチャを用意して話をそらすようにしときゃなきゃだな。
ーピンポーン♪
あっ!取りに来た!。
マキ「はーい!」
考えすぎちゃった。てへ。
直ぐに1階に降りて行って玄関を開ける。
しかし、開けた瞬間喉が引き攣った、悟られ無いように慌てて取り繕ってへらっと笑ってみせる。
そこに立ってたのは修二じゃなかった。
賢史「よお、嬢王様」
マキ「あは♪今晩は賢史さん♪」
へらっと笑って挨拶すると、賢史さんは楽しそうに不敵に笑う。
賢史「ナイフを素手で掴んだんだって?かっこいいねぇー痺れるわー」
190超えの長身が玄関を塞ぐように立ちはだかる。圧迫感に内心嫌な汗を掻くが引き下がりはし無い。
マキ「ふふ、どうも♪」
あーあ、来ちゃったよ。
でも僕は言われた通りちゃんと百目鬼さんを切ったんだけどなぁ…
まぁ、昨日結局ああなっちゃったけど…
賢史さんには悪いけど、イラっとする♪。
笑顔でそんなことを考えていたら、賢史さんは見透かすみたいに鼻で笑う。
賢史「安心しろよ。俺一人じゃねーからよ」
クイっと親指で自分の後ろを指す。
賢史さんの後ろを覗くと、門の所に百目鬼さんが立ってて、道の左側を見ながら何やら吠えている。
百目鬼「矢田!チャキチャキ歩け!」
矢田「はいー!た、ただいまぁー」
矢田さんの姿は見えないけど、息切れした声が聞こえてる。
あっ、百目鬼さん…。
……本当に来た………
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