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番外編80ひと夜咲く純白の花の願い
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先ほどの激情と違い、ゆっくりと濃厚に絡み合う。
マキの柔らかな肌
柔らかな唇
熱い舌
とろけるジュピター色の瞳
一つ一つを確かめるように
ゆっくりと口づけて…
甘くなっていくマキを抱きしめる
とろけてた瞳が百目鬼の顔を映し
クスリと笑う…
マキ「…ふふ♪、折角諦めてあげようとしたのに、これって、側にいて良いんだよね?」
百目鬼「…お前、俺にあんな風にされて、俺が怖くないのかよ」
真面目な話しだったのに、マキは〝何言ってんの?〟と言いたげにおかしそうに笑った。
マキ「怖い?ふふふふふ♪、百目鬼さん〝自分がどんな顔して〟僕を抱いてるか分かってないんだね♪」
それは、修二が百目鬼から逃れる時に言った言葉だった。
百目鬼はその時のことを思い出し。嫌な記憶と共に痛みと不安で支配され、マキの次の言葉に身構える。
マキ「百目鬼さんは…
〝あんなやり方したくない〟って〝顔に〟書いてあったよ。
セックスしてるのに、全然気持ち良くなさそうな顔してて苦しいって顔してばかり。
ふふ♪あれじゃあまるで…
〝僕じゃぁ良くないみたい〟失礼しちゃう♪
だって当たり前だよ、百目鬼さんはあんなセックスの仕方したいんじゃないんだもん」
その時なぜか、頭の中に修二の声が響く。
修二『神さん!もうやめようこんなこと、初めから身代わりなんて無理だったんだ!』
マキ「百目鬼さんはもう分かってるでしょ?百目鬼さんはさ、
〝傷つけたいんじゃない〟
〝愛されたいんだ〟」
修二『神さん!貴方は目を逸らしてる!!見えてないのは神さんの方だよ!!』
まだ中学生だった修二に言われた。
あの時…
〝俺がどんなに最低で酷い事してるか〟
見えてないって言われたんだと思った。
修二があの時…俺に言いたかったのは…
修二『神さん…目を逸らさないで…ちゃんと自分と向き合って…』
あの時、修二が言いたかったのは……
マキ「泣きそうな顔が怖いとは思わないよ」
修二『泣きそうな顔が怖いとは思わないよ』
ツッ!!!!ーーーーーーーーーー
『泣きそうな顔で僕を抱いてる、神さんの相手は僕じゃダメなんだよ。代わりなんて初めから成立してなかったんだ』
こいつは、修二じゃない…
修二がそう言ったんじゃない…
だけど……
理解した途端手が震えだした。
マキ「あぁ…、百目鬼さん…ほら、いいんだよ、僕は見ないから」
百目鬼の大きな体を引き寄せてマキが抱きしめる。ポンポンと背中をさすって顔をマキの肩に抱き込んであげると、百目鬼の肩が小刻みに震えだした。
ベッドの上で仰向けのマキの上に完全に体を預けた百目鬼はマキの肩に顔を埋め。
マキは百目鬼の肩に頬を寄せて大きな体を優しく包んだ。
迷子の子犬がそこにいた
マキ(ヨシヨシ…苦しかったね……。でも大丈夫、百目鬼さんはもう大丈夫、修二と話して、気持ちを全部話せば、見えるはず。百目鬼さんが修二に与えたのは、トラウマだけじゃないってこと…、今の修二の幸せに、百目鬼さんもちゃんと協力できてたこと…)
百目鬼は、一年前修二の卒業式で修二に言われたことを思い出す。
修二『2人が好きです。…僕は、前に進みます。……あなたも、前に進んで下さい…』
前に…進む?………
マキは、何分も、何十分も大きな背中を優しく撫でながら、震えが止まるのを待った。
マキ「…」
百目鬼「…」
ヨシヨシと小さい子をあやすように背中を撫でて、マキは百目鬼が落ち着くのを待った。
ベッドを掴んでいた百目鬼の手が、マキの体を抱きしめ返す。
遠慮がちな百目鬼の腕が、マキには可愛らしくておかしく見えて、そっと首にキスして、あやすように背中を撫でた。
首から頬に、頬から唇にキスをして、見つめあってもう一度口付けた。
マキ「…………………僕が、邪魔じゃないなら……百目鬼さんが嬉しいなら、僕が側に居てあげるよ」
百目鬼「…………」
マキ「…はっきりさせなくていい…でも友達は嫌だから、友達以上セックス込みで妥協して欲しいな♪」
百目鬼「ッ!?」
マキ「ふふ、良いじゃんお得でしょ?側に居るなら僕はエッチ我慢できないし、お預けは拷問。それがダメなら、セフレ?それなら百目鬼さんも悩まなくていい、お互い心は求めず時々会ってご飯食べてセックスしてスッキリする?」
百目鬼「ふざけんな!」
マキ「ふふふ♪百目鬼さんのさっき言ってくれたこと総合すると、友達以上セフレ未満が丁度良いと思うよ?ね♪」
百目鬼「…それを言うなら、友達以上恋人未満だろ」
マキ「…」
百目鬼「…」
マキ「………惚れ薬毎日飲んだら百目鬼さんの望みを叶えられるかもしれないけど…」
百目鬼「アホ!」
マキ「あの薬高いんだよね♪」
百目鬼「お前馬鹿だろ!薬はいらない!」
マキ「ふふ♪だから、僕も変わらなきゃいけないでしょ?その代わり、嫌になったり好きな人が出来たら、ちゃんと教えてくれる?」
百目鬼「…」
マキの言葉に百目鬼はギロリとマキを睨みつける。
マキ「……ごめん♪」
謝ってから、マキは百目鬼に唇を寄せた。
マキ「百目鬼さん、素直になるから…抱きしめてキスして…ねぇ…動いて…」
百目鬼「…マキ…お前はそっちしか素直になれないのか?」
マキ「ふふふ♪百目鬼さんも同じでしょ…
んぅ……」
どちらともなく重なる唇
今までとは少し違った
柔らかな唇に溺れてく…
どちらがこのまま溺れるか…
二人とも溺れるか…
あるいは片方か…
お互いを確かめるように抱き合って、真実に手を伸ばす。
体を重ねながら…お互いについて少しだけ話をした。
甘美な快楽の海の中で、お互いを見つめ合い、真実を見つめる二人は、空が白んで朝を迎えても、お互いの腕の中で相手の真実を見失いはしなかった……
薄い青の広がる
空とも海とも言えるその場所で、
朝陽を浴びながら、
小さな子供と、
大きな猛獣が
抱き合って眠っている
目を覚ました時
全てが変わってしまうと…知らず…
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