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番外編99ひと夜咲く純白の花の願い
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分かってた…
百目鬼さんがどう思ってるかなんて…
分かってたんだ…
百目鬼さんは好きだなんて一度も言ってない…
ハッキリさせなくて良かったのに…
せっかく…
やっと…
ここまで来たのに…
百目鬼さんの心に触れることのできる場所に…
なのに…
それをハッキリさせちゃったら
おしまいだ…
むつ「ざけんな!!」
むつは百目鬼に飛びかかる。今度は修二がむつを背中から抱き止めるが、むつの右手が百目鬼に届き胸ぐらを掴んだ。
むつ「好きじゃねぇのに付き合ってるっておかしいだろ!」
百目鬼「好きじゃないとは言ってない」
むつ「はぁあ!?今言ったろうが!!」
百目鬼「〝好き〟とか〝好きじゃない〟とかそんな簡単な事じゃない、もっと複雑だ」
胸ぐらを掴まれても動かず、ただ厳しい顔つきの百目鬼は、真っ直ぐむつを見返した。
むつはそんな百目鬼を一層睨みつけ、修二を振り払おうとする。
むつ「離せ!」
修二「むつ落ち着いて」
むつ「落ち着けるかよ!こいつマキで遊んでやがる!」
修二の制止も聞かず、むつは百目鬼を睨みつけさらに吠える。
むつ「何が複雑だ!簡単だろ!、好きか好きじゃないかだ、てめぇーの性欲処理のために汚い事してんじゃねぇーよ、たとえマキがエロくて変態行為に慣れてて誘ったとしても、気持ちを利用するなんてゲスのする事だ」
百目鬼「言葉は、良く考えてから使えよ。マキを性欲処理に使おうなんて思った事は1度もない」
むつ「ぁア!使ってんだろうが!好きでもないのにヤることヤッてんだろうが!」
百目鬼「マキをヤったのは俺だ、好きだと言わずに抱いた、だが、好きじゃなくて抱いた訳じゃない。可愛いやつだと思った、マキはずる賢い…なのに無邪気で髪もろくに拭けないし、ついつい世話を焼きたくなる幼稚園児みたいで…なのに、ヘラヘラ嘘くさく笑って、そんな顔見るとその顔を壊したくなる…。だが…俺は…俺はマキを……
簡単じゃないんだ…、俺は好きじゃないとは言ってない、お前の発言は俺を責めるためかもしれないが、マキを傷つけてるとは思わねぇーのか」
百目鬼の言葉に、むつはマキを見た。
マキは黙ってこちらを見ていた。
そのなんとも言えない真っ黒な瞳で…。
マキ「ふふ、エロいのは褒め言葉だけど、変態行為って♪むつ君酷いな♪そんな風に思ってたの?
僕は、傷ついたりしてないよ。百目鬼さんはちゃんと断ってるもん。それでも無理やり食べちゃったのは僕だし♪」
妖艶に微笑むマキは、すでにチャンネルを切り替える。むつは眉間にシワを寄せ、マキを睨んだ。
むつ「傷ついたりしてないって顔じゃねぇーんだよ!」
マキ「うるさいなぁ…、どうしてむつ君が怒るの?僕の勝手でしょ?」
むつ「ぁア!百目鬼もムカつくがマキ!てめぇーもいい加減にしろよ!ヘラヘラしやがって!嘘ばっか言いやがって!セックスに愛情を求めてるのお前だろ!〝愛されてぇー〟っていつも言ってるくせに!」
マキ「ふは♪僕そんなこと言ってないよ♪」
むつ「はぁあ?てめぇーだろ!いつも俺たちをセックスさせる時〝優しく愛してあげて〟とか恥ずかしいこと言ってんの!」
マキ「あれ?忘れたの?むつ君初めての時気持ちよすぎて修二泣かしちゃったでしょ?」
むつ「俺にはその手は通用しねぇーぞ!修二に散々やられたからな、俺を怒らせて話を有耶無耶にするんじゃねーよ!お前が誰より人に愛されたいんだろ!だからああいうこと言うんだろ!〝優しく愛して〟欲しいから、そう考えるからあの言葉が出るんだろ!」
やめろ!天然獣!!
うるせーんだよ!!
台無しにするな!僕の積み上げてきたものを!そんなこと思ってるって思われたら重たくて捨てられるんだよ!
僕が作って積み上げたチャラけたイメージをぶっ壊すな!そんなこと考えてるってなったら、遊んでもらえなくなっちゃうだろうが!
マキ「むつ君って可愛いね♪そんな風に思ってたの?僕は修二の気持ちを代弁しただけだよ♪」
むつ「あぁ、修二はそうかもしんないが、マキ、そりゃ墓穴発言だな。修二とお前は似てる、修二の考えそうなことはお前の考えることだ」
リア充が…
むつ「修二だったらこう考える。〝好きな人の邪魔にならないように、迷惑はかけたくない、体だけでも繋がってたい、気持ちは貰えなくてもいい、でも辛い、好きになってほしい、でも邪魔にはなりたくない〟って。まさに今お前の考えてる事だろう!」
マキ「わぁー♪むつ君も大人になったねぇ♪修二のあの時の気持ちが分かるようになったんだ♪修二の健気っぷりが分かって益々可愛いんじゃない?
だからって僕まで一緒にしないでよ、僕はそんな健気キャラじゃないし、そもそもそん事考える可愛いキャラだったら、誰彼構わずエロい事して回るわけ無いだろ?僕がどんだけエロくて淫乱ちゃんか知ってるくせに、僕は自分の楽しみの為に修二でイタズラした事あるし、むつ君にもいっぱいオモチャの使い方教えたし♪華南の事も開発したじゃない♪そう言えば、修二はあまりに可愛いから一回ヤっちゃいそうになったっけ♪あの時は惜しかったな♪」
むつ「はぁア!?」
マキ「ふふふふ、正直、修二のことむつ君に食べさしたの勿体無かったなぁと思ってるんだよ、こんな可愛い生き物見た事ない♪僕ってどっちもイけるしあの時の食っちゃえば良かったなって♪」
むつ「修二はやんないぞ!!
百目鬼!こいつをなんとかしろ!お前のせいでなんでこんなんなってるんだぞ!!お前がマキを傷つけるから」
マキ「だから、百目鬼さんは僕を傷つけたりしてないよ、好きじゃないのは前から知ってたし、今だって僕に優しいし」
むつは真っ直ぐで厄介だ。
修二と泉は黙ってるけど、その視線は、僕の言葉の綻びを見てる。
むつと修二と百目鬼さんと泉、この4人を同時に言いくるめるのは無理だ…
むつと言い合ってた僕に、百目鬼さんの冷たい声が響いてくる。
百目鬼「マキ、俺はちゃんと付き合ってるつもりでいたぞ」
マキ「ふふ、うん、ちゃんと優しくしてくれてたよ、ありがとう」
百目鬼「おい!俺を追い出すな」
マキ「え?僕そんなことしてな…」
百目鬼「してるんだよ、お前は俺をいつでも放り投げる気でいる」
マキ「そ、そんなこと思ってない!」
百目鬼「思ってるだろ!最初っからそうだった、好きだと言いながら、俺を別のやつとくっつけようとしたり、いつでも消えられるように準備してたり、大学の事も…」
マキ「ちょっ、待って。大学の事は前々から希望してたし、元々高校卒業したら先生の家出るつもりだったから部屋も探して…」
百目鬼「はぁ?!」
あれ?引越しの件はバラしてなかった感じ?
いーずーみー!!
僕が泉を睨むと泉はプイッと視線をそらす。
百目鬼「俺はお前の事見せろって言った、なのにお前はいつでも身軽に飛んで行こうとする、そんなやつを好きになれる訳ない」
マキ「ッ!」
百目鬼「お前は何も話さない、家族の事も過去も、自分の素直な感情も。俺は、知りたかった」
マキ「…百目鬼さんが全然知りたがってるのは知ってる。でもさ、必要?今は無いもの聞いてどうするの?今の僕を見て今の僕を知ってそれで十分じゃん」
百目鬼「お前は変だ」
マキ「?」
百目鬼「調教だと言って人の事を救ってるくせに、俺の過去を救い上げてくれたのに、お前は俺の全部を知ろうとしたのに、俺は知っちゃいけないのか…」
マキ「救いあげ…って、百目鬼さんを救ったのは修二だろ?過去も…今も…、僕は何もしてない、話を聞いて修二に会えって言っただけ、でも、百目鬼さんが百目鬼さんの意思で動いて修二に会いに行ったんだ」
百目鬼「いいや、お前は教えてくれた、俺がどんだけ鈍感で不器用で自分本位だったか…、俺は修二の事を考えてるようで考えてなかった。修二を好きだと言いながら、修二をちゃんと好きだと伝えきれてなかった…お前がいなかったら、俺は修二に会えなかった」
マキ「…」
百目鬼「修二と昔について話したら、全然食い違ってた。俺の想像してたこと俺がこうだと思ってたことはまるっきり違った。俺が好きだという気持ちも修二には欠片も伝わってなかった。最後は、修二を好きだったはずなのに…壊すことが目的になってた。俺しか見えなくなればいいと思った…。俺が人を好きになる時は必ず相手を泣かしたくなる、
泣かして俺しかいないと言わせたくなる…。だけど、マキ、お前にはそうは思わない…
お前のことは………
泣かしたいけど泣かせたくない」
え?…
百目鬼「お前は無邪気で、よく笑ってよく食べて、髪の毛もろくに拭けない幼稚園児みたいで手がかかって夜一人で寝れなくて寂しがりやだ……、だが、常に人の気持ちを考えて優先して、本当のこと言いやがらない、修二に似てると思ったこともある。修二みたいに本音を隠して何かと戦ってるのかと気にもなった。修二は強がっても顔に出る可愛げがあった。だがお前はちっとも顔に出さないから可愛げがない。子供なのに大人な顔してなんでもないふりばかり、傷ついても隠して、自分が嫌がらせ受けてるのに他人事みたいに知らん顔で、すぐ消えるし、そこは好きじゃない。ヘラヘラしてると泣かしたくなる…泣かして壊した仮面の下にどんな顔を隠してるか見たかった…」
厳しい表情がふっと切なげになって、獰猛な猛獣の瞳が揺れた。
百目鬼「だけど、実際見てみると俺が泣きたくなった…」
マキ「……」
百目鬼「だから、お前を捕まえておくことにした」
揺れる瞳が僕を捉えて、意思を強く持った。
百目鬼「マキ、お前が心から笑ったらどうなるか見たい」
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