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百目鬼から見たマキ…
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腕を組み、寄り添って歩くマキ。
嬉しそうな笑顔で俺を悪戯っぽく見上げる。
俺たちの姿は、まるで男女のそれ…
男と女の恋人同士のようだ…
車を水族館の駐車場に止めて降りた時から、マキが急かすように「行こう♪」と腕に手を回す。
周囲の視線は集まり、通り過ぎるたび男も女もマキを見て振り返る。
マキは、黙ってりゃ人形のように美人で可愛らしい…。
細身で柔らかなボディーライン、顔は中性的で、普段は黒いカラコンで隠しているが、神秘的なジュピター色の瞳。
モデルの仕事をしてると嘘を言っても誰も不思議に思わず〝やっぱり〟と漏らすだろう。
マキ「チケットはあるから。入ろう♪」
期待感に溢れる柔らかで嬉しそうな笑顔。
久々に無邪気な笑顔を見た。
と、思った矢先に…
マキは縮こまって話し出す。
マキ「百目鬼さん、あのねあのね、お土産コーナーって出口付近じゃん?だから…、ちょっと、お魚さん見てからでもいい?」
こちらを伺うように小首を傾げる。
申し訳なさそうに上目使いして、おねだりと言うには自信なさげな瞳。そして瞬きを繰り返す。
見えないはずの猫耳と尻尾が思いっきりシュンとうな垂れていた。
なんでだ!なんのために早く仕事を終わらせたと思ってるんだ!耳をしまえ!心臓に悪い!
百目鬼「そのつもりで早目に来たんだが?」
マキ「本当、いいの?!」
項垂れてた猫耳がピコンと立って、嬉しそうに微笑むマキは、ショゲる猫耳より心臓に悪い…
マキ「ふふ♪嬉しぃ♪。本当にちょこっとだから、クラゲがね、綺麗に光るんだって♪それでね…」
百目鬼「マキ、閉園まで時間あるんだゆっくり見ればいいだろ」
俺の言葉にマキがぱちくりと瞼を瞬いた。
あっ、今動揺してる。
嬉しくて?驚きで?ってか驚くなよ。
マキ「忙しい…でしょ?」
百目鬼「言ったろ。早く終わらせてきた。閉園まで2時間あるから、その間はゆっくり出来る。後で事務所に戻るが、それは檸檬の仕事のチェックだから、俺の今日の仕事は終わってるようなもんだ。檸檬のチェックが終わったら、合格祝いに豪華な夕食奢ってやる」
マキ「ぁ…」
本当は、小憎たらしい嘘つきの頭をぐしゃぐしゃに撫でくりまわして髪をボサボサにしてやりたいが、俺に気を使って女装して、綺麗にセットしてある髪を優しく撫でてやる。
マキが瞳を瞬いた。驚いた様子で口を小さく開いたが、何でもない風を装って表情は崩れない。
修二に、マキは感情が揺れると瞬きが増えると聞いてから、マキの事がだいぶ分かり易くなった。
マキは瞳を俯いて、瞬きしながら、少し緊張気味に申し訳なさそうに言った。
マキ「どぉ…めきさん、お祝いなら…百目鬼さんの…ハンバーグが食べたい…。ダメ?」
百目鬼「ハンバーグ?」
マキ「あっ、無理にとは言わないよ、食べたいなぁーと思っちゃって♪あは♪ご飯の話したら♪お腹すいてきちゃった♪。途中のレストランでおやつになんか食べてもいい?」
なぜかへらへら笑うマキ。
そこがイラっとする。話題をそらすな!。
なんなんだ今日は。晩飯は今までだって仕事終わりに俺が毎回手作りしてたろうが。何で今日は俺のご機嫌伺うみたいにしてるんだ。
何をそんなに…
百目鬼「緊張してるのか?」
マキ「ふえ?し、してないよ!小腹が空いちゃったって言ったの。ふふーん♪百目鬼さんこそ緊張してるんじゃない?僕が可愛くて♪」
へらへら笑うマキは瞬きばかりしている。
修二にヒントを貰ってなかったら、誤魔化されてる事に怒りが湧いて、見逃すぐらいの変化だ。
百目鬼「だから、お前の好きなようにしろよ。晩飯だって帰りに材料買って帰ればいいし、何をそわそわしてるんだ気持ち悪い」
マキ「ッ!そわそわしてないもん」
百目鬼「嘘つけ、だったらもっと堂々とデートぽく甘えたこと言ってみろよ」
マキ「ッ!!」
〝デート〟って言った瞬間。マキの目が見開かれて、顔が僅かに赤くなった。
おっ!!照れた!?
一瞬唇を噛み締めて、視線が泳いで赤らんだ。だが、マキはすぐに表情を立て直す。
そういえば前回水族館来た時言ってたな…。〝デートって初めて〟って、てことは、〝彼氏〟とデートは今日が初めてな訳か…。
なんだか難解な謎解きをしてるようだ。
暴かれたマキは悪足掻きに子憎たらしくへらっと笑いやがる。
マキ「してるじゃん♪可愛い女装で手繋ぎデート」
百目鬼「ああ、見た目はお前のお陰でバッチリだな…。お前は化けないほうがいいが、こんな人少ないと男二人は目立つな、その〝可愛らしい〟女装で、通報されずに済みそうだ。せっかく化けたんだ、化けたの利用して素直になれよ。2時間で全部の水槽見れるか試してみるか?ああそうだ、ショーも見るんだろ?幸い、今日は平日の冬季だ、人も全然居ないから可能だろ」
俺の言葉にポカンとしてるマキ。
これほど笑える顔があるだろうか、こっちは修二と泉から取り扱い説明を聞いといた。
泉は〝園児と変わらないですよ〟とか言われてたが、その通りだな…。
惚けたマキの口元が、ふにゃと動いて緩む。前回水族館に来た時動揺、園児みたいな無邪気な顔でぐしゃりと笑った。
マキ「あははは♪2時間ショー込みで全水槽?♪百目鬼さん無理じゃない?駆け足じゃん、ウケる♪」
お腹を抱えてケラケラ笑うマキをハイハイとあしらって、俺とマキは順路に従って水槽を見て回る。
マキは2度目なのに、前回に劣らないリアクションで、ほとんど同じことで騒いでた。初めて来た時みたいに驚いて喜んで俺の腕を引く。
マキ「百目鬼さん百目鬼さん、あれ見てぇ♪サメの口元ってサメの顔みたいにつり目っぽい怖い顔だね♪こーんなにキツイ目ぇしてる、ふふ♪」
百目鬼「お前、口見るの好きだな」
マキ「可愛くない?♪♪。あー、見て見てぇ〜♪僕なんかすっぽり入っちゃいそう♪」
ここにサメの模型があったら、絶対口の中に入って、食べられたフリして騒ぐんだろう…、ほんとマキは無邪気な幼稚園児だ。
百目鬼「マキ、そろそろショーの時間だぞ」
マキ「そっか、じゃあ会場まで駆けっこする?」
百目鬼「おい、お前の踵高いだろ」
マキ「キャハ♪僕の方が若いからハンデ♪百目鬼さんが負けたらニッコリ笑ってシャチの前で写真撮ろうよ♪」
だからなぜ罰ゲーム扱いなんだ。
写真ならいくらでも撮りゃいいだろ。
ニッコリ笑いはしないが…
マキは、探偵である俺の足の速さを見くびってやがるな。
百目鬼「お前が負けたらどうする」
マキ「水族館でスリリングなご奉仕?」
百目鬼「………そりゃお前の褒美にしかならないだろ」
マキ「あははは♪想像したでしょ?百目鬼さんのエッチぃ〜♪」
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