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百目鬼から見たマキ…
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オーロラ輝く薄暗い会場ペンギンコーナー入り口、そのほぼ中央で、マキが背伸びしてくちびるが近づく。
まばらにいる数人の人々に気づきもしないで…
幻想的な世界で見る
魅惑的な愛らしいマキ…
色づく唇まで数センチ…
百目鬼「ッ!!」
ードクン!
心臓が大きな音をたてた
薄暗い会場で輝くオーロラの下
オーロラのように魅惑する瞳
ねだるように袖を引かれて
背伸びしたマキの形の良い艶やかな唇
そっと瞳が閉じられた…
ゾクッ…
目の前の甘美に全身が騒めく
トルネードに巻き上げられたような狂乱
この無茶苦茶な感情が何か分からず、全てこの誘惑のせいだとごちゃ混ぜになる。
獰猛な猛獣の鎖が焼ききれそうな
強い衝動
この甘さに耐えられない…
早鐘を打つ心音が鎖が壊れるのを加速させる
目の前の甘美で妖艶な魔性…
ねだる仕草がそういう行為に慣れてる過去を連想させ、身を焼くような炎が湧き上がる。
同時に相反して、緊張感漂うジュピター色の瞳が瞬くたび動揺が見えて〝付き合うのが初めて〟だと感じて優越感を持つ。
外面に誤魔化しと嘘と淫乱な魔性色一色のマキが、時折見せるな無邪気とは違う面の感情。心の内側、無垢ともとれる真実の素直な可愛さに、耐えられないほどのざわめき、心をかき乱す。
愛しいとは違う…
それを表現する正確な言葉を知らない
例えるなら〝無茶苦茶にしたい〟
百目鬼の中の猛獣が暴れ出してしまう
百目鬼は最後の理性を振り絞って、堪えるように奥歯を噛み締め顔を背けた。
2人はいつの間にか会場の注目の的…。百目鬼はそれに気がついた。
百目鬼「やめろ…」
マキ「…」
唇は重ならず…
マキは閉じていた瞼を開けた…
百目鬼「公共の場だぞ…」
マキ「………」
目の前にいる百目鬼の表情に、唇は震え、クスッと笑う。
マキ「…ふっ、なんてね♪♪」
百目鬼「あ?」
マキ「ふふふ、バカだなぁ百目鬼さん、そもそも3Dなんだから人工物だし♪♪偽物だよ♪♪」
パッと離れたマキが、クスクス笑いながらオーロラの中をステップ踏んで先に歩いていく。
はぁあ!!?
その言い草に、追いかけようとしたが、マキが離れたことで、百目鬼はあることに気がついた。
自分のスーツのズボンの前のわずかな膨らみ…
まんまと誘惑され、鎖が千切れる紙一重だった事に苦々しく舌打ちする。
チッ!勘弁しろよ!あのアホは公共の場で俺にひん剥かれたいのか!!
苦悩する心に苛立ち、隅の壁にもたれた。
オーロラが幻想的に広がる天井(そら)を、ペンギン達も並んで眺めてる。
中には2羽寄り添ってるのもいて、マキは百目鬼から離れた柵越しに、その仲睦まじいペンギンを見つめていた。
マキ「…………」
幻想的な薄暗い会場に、しんみりとホタルの曲が流れ出す、線の細い女性の声でアナウンスが流れた。
『本日は当水族館にお越しくださりありがとうございます。間も無く閉園のお時間です…』
壁にもたれてマキの後ろ姿を眺めていた百目鬼は、携帯を取り出し時間を確認した。
入園して1時間45分経っていた。
もうそんな時間か…
なんだかあっという間だな…
20分も経ってないような感覚だ…
百目鬼「そろそろ行くか…」
背中側からマキに声をかける。
するとマキはオーロラ会場の出口を指差した。
マキ「…待って、お化粧室行ってくる♪」
百目鬼「あ?」
マキ「もう、気が利かないなぁ、トイレだよ♪女の子に恥ずかしい説明させないで♪」
百目鬼「…」
お前は男だろ!っと心の中で思わずツッコんだら、百目鬼の返事を待たず、マキは薄暗いオーロラ会場から足早に出て行った。
……はぁ…
百目鬼も、歩いてトイレの方に向かう。
結局全部は回りきれなかった。
それにパンフレットを見ると、イルカショー以外にもショーがある、早い時間に来なければ全ては見れないと分かった。
修二と水族館に来た時は、もっと穏やかな気持ちでいられたのに。マキと居ると、静かな水族館も遊園地に早変わりだ…
遊びも心も…かき乱されて落ち着かない…
付き合ったら何か変わるかと思ったが、酷くなる…
だが、2人の時間はあっという間だった…
百目鬼「卒業式終わったら、また連れてきてやるか…」
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ージャー
トイレの中では、蛇口の水が流しっぱなしの音が響き、マキ以外居なかった
マキにはそれが救いだった。
洗面台に両手をついて項垂れ、胸の辺りを握りしめる…
ッ…
ージャー
漏れた音は全て水音とともにかき消され排水口に流れ込む…
スン…
マキ「…………………………、
……………化粧…直さなきゃ…」
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