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嵐に巻き込まれるのはいつも百目鬼
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【百目鬼サイド】
マキ『ごめんなさい』
露出の高いリスのコスチューム、しかも耳付きをゴミ箱に投げつけた瞬間、マキは悲しそうにうつむいて、それから誤魔化すみたいに取り繕った。
一体何がしたい、俺をキレさせて何がしたいんだ!
〝猫耳〟の事を口にした俺が悪いんだろうが、こんなもん着なくても、今だってデッカい猫耳とうな垂れてシュンとした尻尾が見えてやがるのに…
駄目だ!抑えされそうにない…
このままマキと一緒にいたら、押さえつけてひん剥いて泣かせそうだ!
俺はあの星空に誓ったんだ、マキのことは…大事にしてやるって…
なのに…、どうしてこいつはいちいち腹の立つことをしやがる!
結局、怒りと渦巻く感情が抑えられなくて、マキを取り残してマンションを飛び出した。
マキをめちゃくちゃにしてしまいそうだ。あのまま縛り付けて泣かせて「もうしません」と言わせて、もう二度と…二度とあんなことしないと誓わせたい。
…俺は酷い男だ…、そんな酷いことをしそうに…
檸檬「百目鬼さん?」
気がついたら、自宅の駐車場にいて、運転席でハンドルに突っ伏してた。
いつの間にマキのマンションからここまで来たのか…何分そうしていたのか、檸檬に声を掛けられて我を取り戻した。
檸檬「お疲れみたいっすね。どうです?久々に俺と飲みません?ってか飲んで下さいよ」
百目鬼「…お前、弱いしからみ酒じゃねぇーか」
檸檬「絡まれて下さいよ、その代わり、話し聞くんで♪」
百目鬼「なんの事だ」
檸檬「ヤダヤダ、あんな嫉妬深く独占欲丸出しの顔で俺のこと睨んどいて…」
百目鬼「…しっ…と…独占欲丸出し…」
檸檬の言葉がショックで思わずハンドルに額を打ち付ける。ゴンッて音で檸檬が慌てふためいた。
俺はやっぱり…
マキとは無理なのかもしれない…
俺はそういう男なんだ…
治らないんだ…治るどころか…
酷くなる一方だ…
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結局、檸檬に連れ出され、入ったのは個室のある雰囲気のいいアンティークな隠れ家だった…。流石若いだけあって、洒落た店を知ってるな…と感心しながら、飲み物を頼み、乾杯したところで檸檬がテーブルに乗り出して、向かいの席の俺に小声で言った。
檸檬「百目鬼さん、マキちゃんと喧嘩したの?」
喧嘩ではないが…そう思いながら、檸檬が初めから俺が不機嫌なのはマキの事だと決めつけてることに、疑問と感心を覚えた。これから探偵業をこなしていくなら檸檬にも観察力を持ってもらいたいという、こんな状況なのに、半分職業病のような親心。
百目鬼「そうだとして…、お前に話してどうなる」
檸檬「ハハッ、百目鬼さん、絶対言わないつもりなら、俺についてこないでしょ?ってか、俺に言わないなら矢田ちゃんに相談する?」
矢田が間に挟まってロクなことがある訳ないと分かってての発言、ついつい檸檬を睨みつけると、何故か檸檬は笑った。
檸檬「あはは、いいな。俺、今の百目鬼さん好きだよ」
百目鬼「あ?」
檸檬「俺さ、いつか百目鬼さんと恋話したいなって思ってた。だから、マキちゃんと出会ってからの百目鬼さん見てるの楽しいよ、あの鬼のような百目鬼さんが振り回されてるのとか、マキちゃんに飯作ったり、頭撫でたりしてんの見ると、なんか良いなって。マキちゃん可愛いもんね」
可愛いって言葉にカチンときながら。部下にこんな事を言われて、俺は一体どう返せと言うんだ…。隠してるつもりが、ダダ漏れ?
それからしばらく、マキが事務所に来てから、事務所の雰囲気と俺が変わったことを檸檬が熱弁しながら、俺はウイスキーの水割りを2杯ほど空け、3杯目に手をつけた。
檸檬はカクテル一杯で、すでにフンワリしている。
檸檬「百目鬼さんいつも生きずらそうだったから…、マキちゃんといて、人間臭い顔できてんの見れて安心した」
百目鬼「お前、上司をどんな目で見てる…」
檸檬「ハハッ、イイじゃんイイじゃん、嫉妬とか可愛いし」
可愛い?
可愛い訳あるか…
俺のは……そんな言葉で済むもんじゃない。
目の前のウイスキー水割りを睨み、今日の出来事を思い出す。マキを叱りながら、俺はマキをめちゃめちゃにして壊しそうだった。ウイスキーを一気飲みしてテーブルに勢いよく置く。
回った酒の勢いで口を開いた。
百目鬼「檸檬」
檸檬「はい」
百目鬼「お前、もし、付き合ってる奴が他の男とイチャイチャしてたらどうする?」
檸檬「…、俺は、恋人にハッキリ言うな、それは気分良くないから、やめてくれって」
百目鬼「そうだろうな、それが普通の反応だ」
檸檬「え?」
百目鬼「俺は、違う。部屋に連れ込んで両手の自由を奪って、反省して泣くまで犯す」
檸檬「………ワーオ」
百目鬼「俺は…、普通じゃない…」
檸檬は戸惑う様子はなく、俺の言葉を聞いて少し考えたようだった。
檸檬「マキちゃん。モテるもんね、綺麗だし可愛いし、強し、気がきくし、大人っぽいし、いつも笑顔だし、天使みたいだし」
檸檬は騙されてる。
あいつは小悪魔だ。
百目鬼「お前、マキが好きなのか」
檸檬「そういう意味じゃないよ。睨まないでよ百目鬼さん。そんな恋人持ったら不安になるよねって話し」
不安?…
そうだ…。不安だ…、マキはモテる、人から好かれてマキのいるところはいつも賑やかだ…
マキはいろんな奴から好かれてる
マキは、頭が良くて、人の気持ちが分かって、気が利いて、なのに無邪気で可愛いくて…、いつもベタベタしたがって、一緒に寝ると猫みたいに丸くなって、朝隣に居ないと寂しがる…、本当は、寂しがりやだ…
なのに…
俺は…悲しませてばかりだ…
最近は猫耳や尻尾が見えるし、暴走しそうな回数増えてるし、マキのやつも煽ってきやがるし…
結局乱暴にしちまうし。
胸の中のわけの分からない凶暴なもんは日々大きくなるし…
もう…手がつけられない……
檸檬「…………………えっと、それって、マキちゃんが可愛くて仕方ないってことじゃね?」
ニヤニヤ言った檸檬の言葉にハッとして顔を上げる。
どうやら俺は、声に出して喋ってたようだ。
檸檬「百目鬼さん、ベタ惚れじゃん」
百目鬼「べ、ベタ惚れってなんだ、マキは10も年下なんだぞ、子供で手を焼いてるって話だ」
檸檬「えー、俺には百目鬼さんがマキちゃんを〝好き好きぃー〝って言ってるようにしか聞こえないんすけどー」
百目鬼「はぁあーーー!?」
俺が…マキを?
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