アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
蝉しぐれ
-
人生で男で幼馴染に押し倒されると、誰が想像できるだろう。
おふざけでマキに押し倒されたことはあっても、僕に盛ってる人間が覆い被さって来ることなど、一度も想像したことがない。
泉「…」
禅「…リアクションしろよ」
僕の両腕を押さえつけてる禅が、伺うように言った。だが僕は、十分驚いている。人間本当に驚くとリアクションできないものだ。
泉「…念のために伺いますが、本気?」
冷ややかな眼差しで眼鏡越しに禅を見上げる。
禅の瞳は依然真剣なまま。
禅「ずっとお前が好きだった。ずっと隠してた、お前がノーマルだと思って…、でも、数年前にマキをこの家に連れてくるようになって、その…お前らが付き合ってると…」
泉「まさか、そんな理由で家から出てったんですか?」
元々反抗ぎみだった禅は高校卒業と同時に家を出た。実家に全く寄り付かなくなり、行事の時も僕が迎えに行かなければ来なかった。
禅「そんな理由って、俺には十分すぎる理由だ。こんな家じゃ、泉と結ばれるなんてことは到底無理だ、家を出てお前のいい兄貴分として生きれば、可能性は作れると思って…」
泉「…巫にならなかったのも、私が原因だと?」
禅「いや、俺は、俺だ。俺が決めた道を作っていく、神に決められた道があるなんておかしいだろ、決められた道があるなら、〝努力〟なんて無駄なものだ」
泉「まったく、20歳にもなって、まるで我儘な子供ですね」
禅「説教は沢山だ。俺は俺の道を進む。後継だと押し付けられた人生なんて捨てて、婚約なんか今すぐ破棄して俺と一緒に家を出よう」
禅の真剣な眼差しは、覚悟ある気持ちだと伝わる。だけど、彼は何も見えてない独りよがり。
泉「…お断りします。私は継たくて後継になるんです。美琴さんも良い方です」
禅「好きなわけじゃないだろ」
泉「女性中では1番ですよ」
禅「その程度なら、俺ものになれよ泉」
泉「…根本的なことをお忘れですね。私はノーマルですよ」
禅「それは男とのことを考えたこともないってことだろ?なら、検討してくれよ、〝神明禅〟限定で」
禅の瞳がギラッと光り、突然唇にキスされた。
薄い唇は明らかに男で、自分が唇を奪われたと気づくのに少し時間が掛かってしまい、時間を置いて目を見開いた。
泉「や…」
「やめろ」と言おうとして口を開いたが、それは大きな間違いで。すかさず舌を割り込まれ、口内を犯すように舐めまわさた。初めての感覚と息苦しさに目眩がする。
泉「んぅ!…んん¨!!」
禅「泉……ン…泉…」
凄い力で押さえつけられ抵抗できない。禅は体格の良い武道はで僕より一回り腕が太い、僕は決してひ弱ではないが、体格や力に加え、何より禅はテクニックがあった。
深々と口付けられ、乱暴な癖に僕の反応を逃さない。歯の裏を舐められ擽って、抵抗する僕が噛み付こうとすると舌を吸われて上手くいかない。
そして息もろくに出来ず、思考力は激減。
泉「うーー!んッ……んう!!」
堪能するように長々貪られ、唇が解放された頃には、ハァハァと酸欠状態で空気を取り込むので精一杯。言ってやりたいことは山ほどあったが、頭がクラクラして言葉が出てこない。
先に喋ったのは禅だった。
その表情は、驚きでいっぱいで。僅かに上がる口角はキスして感じた可能性に対してにやけ気味。
禅「お前、まさか………初めてか?」
その言葉は、僕を激怒させるのに十分だった。
普段澄ましたクールな眼鏡男子は、酸欠で顔を赤らんでいたが、感情を露わに真っ赤にして苦しさに滲んだ涙目でギッと睨み上げる。
普段冷静沈着な泉の思わぬ羞恥の表情に、禅の心臓がドキッとしてたじろぎ〝可愛い〟なんて一瞬考えたが
泉の怒りは、容赦なく禅の股間を蹴り上げた。
ードカッ‼︎‼︎
禅「グッ!!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
571 / 1004