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俺たちのバランス〜むつ〜
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俺…どうなるんだろう……。
久しぶりの湯船に浸かり、温まる。
冷えた手足や体が温まっても、心は冷えてどん底のまま…。
俺は今、華南に連れられてラブホテルにいる。
華南は俺を殴って罵倒してもいいのに、俺の話しを聞いてくれ。更に、まだ修二に話せないといった俺の気持ちを汲み取って場所を変えてくれた。
マキの用意してくれた朝食の味噌汁といい、華南が押し込んだ風呂といい、どうして俺は怒られないんだ…、怒ってくれよ…、怒って殴ってくれよ…、どうして俺を罰してくれないんだ…。
華南『むつ?』
風呂に浸かってあれこれ考えてたら、心配した華南が風呂場のドアの向こうから声をかけてきた。
…優しさが痛い…。
殴られるよりずっと痛い…。
湯船から出ようと立ち上がると、クラっと目眩を覚えて壁にもたれかかる。眠気、空腹、疲労、ストレス…。
ッ…、華南と修二の辛さはこんなもんじゃない…。
頭を振って正気を保つ。
俺は、まだ何もやってない…、今から華南に謝って、説明して…、許してもらわなきゃ…
だけど華南は、玄関で待ち構えていた怖い顔は消えていて、俺を心配するように見つめる。俺が悪いんだと説明して謝っても、謝るなと言って俺を抱きしてようとした。
胸が痛い…。胸が引き裂かれるように痛いってこういうことか?。ッ…今すぐ飛び込んで抱きしめてもらいたいなんて思ってる自分を軽蔑したい。
華南の腕を振り払って、もう一度土下座して声を荒げた。さっきは察してもらったことを改めて俺の口からお願いする必要がある。
むつ「こんなこと言える立場じゃねぇーけど、お願いがあるんだ!修二には、まだ言わないでくれ!」
華南「…」
むつ「まだ、片付いてないんだ、美樹が納得してなくて…。俺、仕事も見つけてない!」
俺のお願いに華南の眉が寄る。難しい顔して固まった。
華南にも、修二にもキチンとしなきゃならない、だけど、修二には、がさつな俺が気を配っても足りないくらい凄く凄く気を配ってこの話をしないときっと俺の目には写らないような深い場所にもう治すことのできない傷ができてしたいそうで怖い…
俺は修二や華南から信頼を失ったら何も残らない。俺がここに居ていい意味がなくなる。
修二は暖かい空で、俺たちの大きく見守りながら、料理もしてくれ洗濯物してくれて俺たちを暖かく迎えてくれる。
華南は大きくて、力強く優しく守ってくれて、俺たちの帰る家を作ってくれた、腕利きの職人で愛情深い絶倫、俺と修二を軽々両手に抱えられる。
俺は…俺は…修二の最後の逃げ場所で、修二の曇った目の色が分かるから、修二と華南を繋げられて、マッサージも覚えてやっと2人を癒す技術を身につけて、2人と対等に並んで行けると思ってた………
今の俺には何もない…
この家に暮らしてからひしひしと感じてた…
修二と華南だけが生活時間が一緒で、どんどん繋がりが深くなる…。
〝三人で付き合うって…いつまでバランス保ってられるんだ?…〟
ふと、一度も考えなかった俺らしくない疑問が浮かんだ。
昼夜逆転の生活。早朝に2人に起きてもらえて初めて顔を見ることが出来る。
せっかくの休みも2人と合わなけりゃ俺は1人で過ごす…。そんな毎日から抜け出すためにここまでやってきたのに…。
俺は全部壊したんだ…。信頼も、仕事も、3人での時間も……、俺、馬鹿だから、すぐ熱くなって突っ走って…、今が良ければ何とかなると思ってた…。
マジ…馬鹿だった………
華南「…つ、…むつ」
むつ「ッ!ごめん」
ありえない…、俺、ぼーっとしてた。大事な話しの途中なのに…
華南「…むつ、一度眠ったほうがいいよ」
むつ「ッ!なんで…ッ…なんでそんな優しい顔するんだよ…」
華南「…簡単だよむつ、俺は、むつが好きなんだ」
むつ「ツッッ!!」
泣くな!泣いちゃダメだ!!俺は泣いていい立場じゃない!!
華南「夜までは、修二には保留にするから、それまで一度眠りなよ。それからもう一度話そう」
むつ「俺…」
華南「俺の仕事の時間まであと少しだけあるから、むつをギュッてしてもいいかな?」
むつ「だからッ、優しくッ、すんっ…な」
華南「むつに拒否権はないと思うよ、俺がそうしたいんだ、何日抱き合ってねぇーと思ってんの?」
こいつ…モテんだよな…こういうところが…。中学生にしてお姉さまにモテモテだった…。ってか、カッコよすぎなんだよ…。ヤバイんだよ…。嬉しいとか…かっこいいとか不謹慎すぎんだよ…、ってか…涙出そう…もう…勘弁して…。
むつ「…どうして…殴ってくんないんだよ…」
華南「むつ、おいで…」
限界だった…
誰かに助けて欲しかった…
華南と修二に会いたかった…
崩れるように飛び込んだ俺を、華南はきつく抱きしめた。泣きそうで泣きそうで血が出るほ唇を噛み締めた。情けない…俺は…男として何も出来てない…
華南の腕がきつく俺を抱き締める分。
俺の心は締め付けられる。
溢れそうな涙を必死に止めた…
俺には泣く資格なんかないんだ!
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夢を見た…
修二が俺を軽蔑する夢…
奏一さんがヤキを入れに来て
百目鬼が言うんだ…
『ほらみろ…、お前みたいなガキの恋愛ごっこじゃないか、〝覚悟〟があるだ?笑っちまうなぁ…、修二は返してもらうからな…』
反論できない………
むつ「しゅ…じ…」
必死に伸ばした手が、温かいものに包まれた。
修二「大丈夫?むつ」
むつ「!?!!!?」
あったかい!喋った!?
目の前に、修二がいた。
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