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お兄ちゃん相関図模様
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突然の爆弾発言に、俺は酔いで意味を呑み込むのに時間がかかり、分かった途端コップが手から滑り落ちた。
コップは床に落ちることなく、彩さんが掴んでテーブルに置く。彩さんは羚凰の発言に全く動じず、柔らかい表情のまま。
俺は言葉が出ない。
奏一「…………」
忽那「付き合ってはいないですよ」
羚凰「付き合って〝は〟?」
ええッ!?あ、あ、あ、彩さん!?
俺も羚凰と同じところで引っかかり、彩さんを見ると。
大人な彩さんは、俺を見て柔らかく微笑み、その瞳は今まで見たことない情熱的なものが隠れていて、いつもより艶を含んだ声で言った。
忽那「私が勝手に慕っていて、こないだ好きだと告白したところです。お返事待ちですね」
ッ!?告白!?あれは告白だったのか!?
嘘だろ!?俺タクシーで寝ちゃって夢でも見てる?!
すると、大型犬弟キャラ、羚凰に潤んだ瞳で見つめられながら、必死で真剣な声が俺に向けられた。
羚凰「ッ!。奏一さん!俺も好きです!俺と付き合ってください!!」
ッッッッえーーーーーーー!!!!!
俺は酔ってるんだ!
きっと今タクシーで寝てる夢だ!
早く起きて帰らなきゃ!
男2人に告白されるって!
だけと目の前の光景は俺の頭を置き去りに進んでいく、羚凰が真剣な潤んだ瞳で俺を見つめながら。ソファーに座ってる俺にジリジリ寄ってきた。
羚凰「俺不利だけど、取られたくない!年下だからじっくり知ってもらって男らしいとこ知ってもらってからって思ってたけど!忽那さんは強敵だし!出遅れたくない!!」
奏一「え?あ、ちょっ、待て羚凰!お前酔ってんだろ!!」
羚凰「お酒は飲んだけど酔ってない!奏一さん弱いの知ってるから送ろうと控えてた、正気です!!」
勢いよく俺の前に膝まづいた羚凰が俺の手をガバッと両手で掴み、祈るように上目遣いで見つめてきたが、俺は体のデカイ男に急に手を掴まれたことにヒヤッと背筋が寒くなり反射的に羚凰の手を払いのけた。
ーバシッ!
乾いた音が響き、手を叩かれた羚凰が傷ついた顔をした。現実だ…、羚凰を叩いた手がジンジンと痛い。
奏一「あっ、…すまん!急に掴むから、お前図体でかいんだからびっくりするだろ!」
羚凰「す、すいません」
落ち込んでしまった羚凰のシュンと丸まった背中。
これはまずい。好きだと言われて手を払いのけるなんて、気持ち悪いと言ったも同然だろう。
落ち込んだ羚凰の姿が、元気のない時の修二と重なる。ヤバイ、なんとかしなきゃ!
俺が言葉を探していると、彩さんが羚凰の前にしゃがみこむ。
忽那「手を見せて」
羚凰「あっ…」
忽那「赤くなってますね、冷やしましょうか」
羚凰「なんともないです」
反射的に全力で払ったから、羚凰の手が赤くなってしまってた。
奏一「ごめん羚凰!彩さん冷やすのくれ」
俺が近づくと、羚凰が俺から目をそらす。
傷つけたんだ。でも、俺は羚凰を払いのけたんじゃない。
奏一「すまん、本当にびっくりしただけだ。お前を嫌いとか気持ち悪いとか思ったわけじゃない。お前若いのに礼儀正しいし仕事できるし、可愛いげもあるし、たった二ヶ月ちょっとで店のムードメーカーみたいになってるし、俺にビビらないで冗談とかいうし、修二もお前のこと気に入ってるし…」
俺が慌ててまくし立て、羚凰の腫れた手を握りしめると、羚凰が固まって顔を真っ赤にした。
え?なんで?
奏一「顔…真っ赤…」
羚凰「そ、そ、それは、奏一さんが俺の手を握ってるからっすよ」
えッマジで?手を握られて真っ赤って、さっき自分から握ってきたじゃんか、ってどう対応するべきだ?ここで手を離したら、なんかまた傷つかない?
忽那「はい、冷やしたタオル。奏一いつまで握ってるんです?冷やせませんよ」
奏一「え?あっ、はい」
俺がオロオロ手を離すと、羚凰はいじけた犬みたいにシュンとしてしまう。
いやいや、落ち着け、どうやらここで羚凰に〝好きってマジ?〟って聞くのは酷か…、手を握られて赤面とか乙女かよ!
彩さんは彩さんで、サラッと言ってたけど、アレも本気と考えるべきか…
今日、吉良が言ってた、叶わないのがほとんどだから…と。だから、〝冗談だろ?〟っていうのはきっと残酷なんだ。
奏一「あの…、ちょっと整理したいんだけど、彩さんの昨日のは、俺を慰めて諭してくれたのかと…思ってたんだけど…」
なるべく慎重に言葉を選ぶ、昨日は逃げ出すなんて失礼なことしたし、彩さんの気持ちが本当だとしても、俺は友達を辞めたくはない。
忽那「どちらでも取れるように言いました。奏一は直球だと逃げると思いましたから、まぁ、逃げられちゃいましたが」
奏一「ごめん…、じゃあ…、俺が好きって」
忽那「ええ、ずっと慕ってました。初めて会った時、弟の修二君の為に〝色々〟働いたり、今時よくできた子だなぁって、仲良くなってみたら子供っぽい可愛らしいところを必死で隠すいいお兄ちゃんで、修二君もとてもいい子でしたが、私は陰ながら貴方を支えたいと思ってました。
最近あった〝環境の変化〟から、貴方が悩みだしたので、陰ながらは止めることにしました。ゆっくり心を紐解いてからと思ってましたが、欲が出てしまいましたね。本当はもっと時間をかけるつもりでしたが……。
奏一、私はあなたが好きですよ」
驚きで言葉が出ない。
彩さんが俺をそんな目で見てるなんて。
〝最近あった環境の変化〟とは、百目鬼が修二と話し合う場が欲しいと言ってきた半年前の2人の和解の事。それまで接触は無いに等しかったのに、最近は月1くらいで会ったり話したり、修二と百目鬼が会うって知るたびピリピリしてた。
忽那「付き合い方は無理に変えるつもりはないよ、今までと変えなくていい、そこに2人っきりのデートを足してくだされば、そうゆう付き合い方もあります」
そういう付き合い、とは、多分プラトニックな関係を指してるんだろう。彩さんは、俺が男同士のセックスに嫌悪感があるのを知っている。
羚凰「嘘だ!!」
突然羚凰が割って入る。
羚凰「男なのにそうゆうつもりがないなんて嘘だ!狼的肉食系に限ってそお言うんだよ!『赤ずきんちゃん、私はおばあちゃんよ』みたいな!ずるいっすよ、ただでさえ忽那さんのが有利なのに!忽那さん綺麗だけどむっつり顔だし!だってさっきっから奏一さんを見つめる目がエロい!」
羚凰のアホ!!彩さんに向かってなんてことを!!
忽那「ふふ、なかなか鼻は効くみたいですね」
なんですと?あ、彩さん?
忽那「まぁ、男ですから、性欲はあります。人は皆、理性を解いたら獣も同然ですから、狼であることも否定しません」
否定して!否定してくださいよ彩さん!!
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