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お兄ちゃん相関図模様
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夏「オーナー大丈夫ですか?」
俺は、何度夏に大丈夫か聞かれるんだろう?
ああ、日に日に夏の眩しい笑顔が直視できない。
奏一「おはよう夏」
夏「おはようございます。目の下クマ出来てますよ」
昨晩のせいで完全な寝不足。
夏「昨日もお店の見回りだったんですね」
違うんだ夏、羚凰と彩さんに迫られてました。
夏「最近お店へのイタズラ止みましたね。流石プロの探偵さんに頼んだ甲斐がありましたね。解決にはまだかかりそうですか?」
奏一「ああ、探偵が調べてるって気付いたからだろうって、向こうのめぼしも付いてるし、次になんかしてきたら証拠押さえて警察行けるしな」
夏「そうなんですか。オーナーあまり無理しないで下さいね」
奏一「ああ、大丈夫だよ。君たちにも嫌な思いや迷惑かけて申し訳ない、もう少しの辛抱だからね」
夏「いいえ、私もこの店は大好きで守りたいですから、手伝えることは遠慮なく言ってください」
夏のおひさまみたいな笑顔に救われ、プライベートのごちゃごちゃを切り替えて仕事モードに。
百目鬼の話では、バックも含め追い込む算段は付いてるが、なんせ証拠がない、使い捨ての駒を使っていたため、繋がりは憶測、今警察に持ち込んでも証拠不十分で釈放されさらなる報復があるかもしれないとのこと、今はじっと尻尾ではなく、トカゲの胴体を待ちかまえている。
百目鬼「そうか、店は大丈夫そうか、俺の方も手掛かり無しだ。もしかしたら、このまま手を引く可能性もあるな」
奏一「そうだといいんだが…」
百目鬼「………その後どうだ、まだつきまとわれてるのか?犬凪には、やっぱ俺が…」
奏一「いや、大丈夫。そこは自分でしっかり出来る」
百目鬼「……奏一、本当にすまなかった」
奏一「えっ…」
百目鬼「せめて…俺が奏一に好きだと言えてたら、修二をあんな目に合わせず、俺が奏一に病院送りにされただけで済んだのに…」
奏一「病院送りって……、告白されただけで殴ったりなんかしないよ」
たぶん…
百目鬼「本当にすまない」
奏一「…」
百目鬼「…」
奏一「………その…、そんなに俺が好きだったの?」
百目鬼「ああ、好きだった。どうしようもないくらい、自分が普通じゃないって押さえ込もうとすればするほど、奏一のことが好きで…、好きになればなるほど訳のわからない感情が増えて暴れた。俺を好きだと泣かせたいと思った……、ガキだったんだ…欲望が爆発して…とんでもないことを…」
奏一「俺は、俺への恨みがあって修二をやったのかと思った事もある…」
百目鬼「奏一が好きだったんだ。好きすぎて、思わず修二を襲った……奏一を恨んだことなど一度もない、気が狂う程好きだった…。修二はそんな俺を理解してくれた、理不尽で酷い仕打ちを受けて、謝る俺に怯えながら〝兄貴はカッコイイもんね、片想いとか辛いですよね分かります〟って、俺はそれまで他の人に、性癖に悩みがあることを話したことがなかった、話したら、軽蔑されると思ってた。…修二を好きになるのに時間はかからなかった…勝手な話だが…、修二は俺にとって初めての理解者だ。
なのに…あんなこと…、修二にも奏一にも胸糞悪い思いをさせて…」
奏一「……本当に、好きがゆえだった?」
百目鬼「奏一には聞きたくもない話だろうが…。好き過ぎた……」
奏一「修二も……俺も…?…」
今は本当に諦めた?
百目鬼「………奏一のことは、初めて我慢が効かない程、本気で好きな人だ。今でも人としては尊敬するし、お前みたいに抱擁力のある穏やかな人間になりたいと思うよ。全然俺にはなれそうもないが…、側にいるだけで満足できるような穏やかな人間になれたら……」
百目鬼は申し訳なさそうに苦しそうやな眉を寄せ、その恋心がどんなに焦がれたものかと赤裸々に話してくれた。
修二がむつを好きだったように……
俺は、そこまでの恋をしたことは無い…
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百目鬼と居酒屋で別れ、ほろ酔いの俺は、なんとなく修二の家の方へ足が向いていた。
なんとなく、修二の話も聞いてみたいと思った。
百目鬼は、好きだから泣かせたくなると言った。その気持ちは俺にはやっぱり理解できないが、百目鬼が修二を、憎しみではなく、好きがゆえ…だったと、そういうものもあるんだと、受け止めれるなら受け止めたいと思った。修二が百目鬼に汚されたのではなく、そこに愛があったのなら…、理解は出来なくてもその方が断然いいと思えた。
だからと言って両手を挙げて許すとかって話じゃ全くないが………
「ねぇねぇ♪そこのお兄さん♪♪」
突然呼び止められ、振り返るとそこには、あの不思議少年マキが女装で立っていた。
可愛らしい格好だが、黒っぽいワンピースで目立たない系の色を着ていて夜の闇に半分溶け込んでた。気配には結構敏感なんだが、今まで全く存在に気がつかなかった。
ニコニコしながらこちらに寄ってくる。さっきの居酒屋に居合わせたのか?それとも今偶然通りかかった?……
奏一「マキ君?君どっから湧いて出たの?それとも俺の尾行?」
マキ「んふふ♪♪尾行じゃないよ〝偶然の出会い〟」
ニコニコヘラヘラするマキは、相変わらず俺に動じない。近づいて来たマキは、あの不思議な瞳ではなくなってた。あの不思議な色はカラコンだったのか?
奏一「女装は仕事だからじゃなかったか?」
マキ「今は仕事じゃないですよ♪♪ちょっと事情があって……。ところで奏一お兄さん、僕ね♪奏一お兄さんに相談したい事があるんだけど、僕の家に来て相談に乗ってくれませんか?」
奏一「…相談?」
修二の友達とはいえ、俺と会ったのは3回くらい…、それで相談って、なんだ?なぜ俺?百目鬼じゃダメなのか?
マキ「ちょっと修二のことで…」
ニッコリと笑顔のマキは、やたら胡散臭い。
…目が、笑ってない。こんな目を昔どこかで見た気がするが、弱冠の酔いが回ってて思い出すのを邪魔してる。
修二のことなら聞きたいが、本当に修二のことか?
奏一「修二がどうした」
マキ「……修二が、お兄さんのことが心配だって漏らしててね♪元気ないし、悩み事あるみたいだって、言ってまして。最近百目鬼さんとも依頼の件で会ってますよね♪それで揉めたりしてるのかなぁとか、心配してます。でも、僕こないだお会いした時思ったんですよね♪。もしかしたら、男関係かと思いまして♪♪」
は!?
マキはここが道端だというのに、声を潜めずそんなことを言うもんだから、思わずマキを捕まえて口を塞ぎ周りを見渡した。幸い誰もこっちを見てない。
奏一「お前どうゆうつもりだ」
小声で睨んだのに、マキは相変わらずニコニコしながら答える
マキ「だからね♪修二がお兄さんのこと心配してるみたいで」
嘘を付いてるようには見えないが、その笑顔が胡散臭くてかなわない。羚凰の真っ直ぐな犬っぽい笑顔に比べたら、どこか何か企んでるっぽく見えるのだが…、それとも…本当に修二の心配?
奏一「分かった、…話を聞く、どっか店じゃダメなのか?カラオケとかなら防音も…」
マキ「出来れば僕の家の方がいいと思いますよ、奏一さんのためにも♪」
奏一「……お前のうちは何処だ」
マキ「良かったぁ♪僕の家は近いですから安心してください♪♪」
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