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(番外編)純愛♎︎狂愛8
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むつの浮気疑惑を晴らすため、僕はあれこれ模索した。
とりあえず。美樹を追い詰めれるネタを集め、最終的に言いくるめられなければ、奏一さんの名を借りようと思っていざ挑んだ。
だがなんと、話し合いの場に修二が現れた。
流石の僕でも背筋が寒くなるような修二の表情
むつは可哀想なくらい戦々恐々としてるし。修二は全く色の無い瞳でむつを見下ろす。そんでもって美樹って子は険悪な2人の雰囲気を鼻で笑った。
ヒヤリとした空気を纏いながら、修二が美樹に優しく微笑みかける。
その笑顔の恐ろしさを、むつ君はちゃんと分かってるみたいで〝何で修二を呼んだ〟って僕を睨んできた、僕は〝僕じゃない〟って目で訴える。
むつ「…どうして…」
修二「ふっ、…むつの跡つけた」
むつ「…修二…これは…」
修二「黙って。むつの話しは今聞かない」
優しい顔でやんわりとした口調の修二。
美樹は恐らく、修二の怖さが分かってない。修二がむつに怒って自分の味方だと思ってるかもしれないがとんでもない、抑えきれてない静かな怒りがにじみ出てる。ぶっちゃけ、超怖い。
そしてそんな今の修二の心境を考えると酷く胸が痛い。修二は気づいてた…今日まで一人で抱えたんだろうか…、僕が修二の立場なら、ボロボロだ。
むつ「誤魔化すつもりじゃなくて、俺…」
修二「…」
唇が震えながら何とかやっとって感じで言葉を紡ぐむつに対し、修二はバッサリ。
修二の気持ちは痛いくらいわかる。でも、むつにカッコ悪かろうと何かろうと全部説明させなきゃ、修二の中に傷が残る。
マキ「修二、むつの話しも聞いてあげなよ」
修二「マキは、悪いけど席を外して」
マキ「…あのさ修二」
修二「僕見たんだ」
やけに冷たく発せられた言葉は、むつに向かって突き刺さる。
修二「むつが美樹ちゃん抱いて眠ってるの」
修二の視線がチラリとむつを見て、僕に戻ってきたかと思ったら意味深に見つめてきた。
マキ「……」
修二「……」
僕と修二が見合って、その場は静まり返る。
修二の瞳は、僕をジッと見据え訴えかけてた…。
何をって言われると困るけど、強いて言うなら、修二の目は、戦う目だった。冷えた鋭いその瞳は、研ぎ澄まされてるみたいで、曇ってはいなかった。
だから、修二に任せることにした。
って言っても、修二とのむつと華南の問題に、僕が勝手に首突っ込んだだけだけど。
マキ「分かった。僕は席を外すね。お邪魔しました」
僕が席を立ち、代わりに修二がむつの隣に座って美樹と向かい合った。
修二「美樹ちゃん。お話し、聞かせて」
ニコリと〝キレイ〟に微笑んで…………。
結果、修二は美樹を黙らせた。
勝ち誇った美樹を饒舌に語らせて情報を聞き出し、それらを全てに疑問を投げかけた。
一緒にいるから分かる癖。長年つるんでるから分かる仕草。そして、むつという男にどれだけの愛情を持って側にいるのかを語るように。
美樹の話しを全て否定し、美樹は反論できないという見事な攻撃。
そして、怒った修二を初めて見た。男らしくて、綺麗で頼もしい…。むつから説明も受けず、修二はしっかり地に足をてけて、現実を見据えて打開策を導き出した。騙す時はまず味方からってやつだ。
カッコイイ…。
あの優しさの塊でできている修二が、鋭く冷たい氷の氷柱を美樹に突きつけたような勇ましさ。あの鋭い瞳は、お兄さんの奏一さんがに似ていた。
そお言えば、百目鬼さんは修二の前、奏一さんが好きだったんだっけ。……なんか分かるかも。
むつと華南と付き合っていくことに、不安で疑心暗鬼し諦めをなんとも思わない修二は、ここにはいなかった。
どうしてそんなに真っ直ぐでいられるの?
僕と百目鬼さんだったら、こんな風にはならない、きっと壊れて終わってしまう…。
美樹を黙らせた修二が、むつの腕を引っ張り居酒屋を出て行く。
美樹は放置して…。
修二はそういうところが甘いよな…。なんせ、百目鬼さんを許してあげちゃうくらいだもんなぁ…。
美樹が反省するならそれでもいいかと思ったが、美樹は、お互いを愛おしそうに手をつなぐむつと修二と華南を見て、逆恨みを始めた。
失恋のせいでこんな暴挙に出て返り討ちにあったのに、全ての悲しみで感覚が麻痺してるんだ、どうしようもない子だなぁと思いながら最終兵器を投下。朱雀の奏一さんがむつのバックにいるから、噂をなんとかしないと闇討ちにあうと教えてやると、美樹は、震え上がり、ことの重大さにやっと気付き逃げていった。
僕はその姿にニッコリ微笑んで手を振る。
マキ「鎮火作業頑張ってぇ〜♪」
走り去る美樹の姿を眺めながら思った。
修二は、いつの間にか強く逞しくなった。
むつと華南に愛情を注がれて、気持ちを信じることが出来るようになったんだ。
素敵なことだ。
今回やらかしたむつも、むつが今まで根気強く修二と向かい合い、何度も何百回も気持ちを伝えてきた。その一生懸命で我武者羅に力強く修二の手を引いていた分が、修二の中でキチンと根を張り、信頼になって帰ってきたんだ。
むつの努力が、修二の中でキチンと芽生えて、むつを信じる力になってた。
修二ももちろん頑張ったし、強くなってすごいけど…。そんな修二を育てたむつと華南の愛情の深さ…
どうなっても仕方がないと諦め、別れを常に覚悟していた夏の日の修二は、もういなかった。
胸の痛みを感じても、信じる気持ちが勝った。
僕には、到底敵わない。
こんな風に、人は成長できるんだと、目で確認できるなんて、そんな素晴らしい機会無い。
修二と僕は似てる、修二が幸せになれば、僕にもチャンスが巡ってくるんじゃないかって思ってた。
でも、とんでもない。
修二も僕は似ても似つかない。
修二は綺麗で強い。
この先もきっと純粋で強くなる。そうなるように、むつと華南な手を引いて、修二も2人に手を引かれてばかりじゃなく、2人に並び手を引いたりするんだ。
修二とむつと華南は、本当に…
僕にとって興味深くて…希望ある癒しだ…
眩しくて羨ましい…
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