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(番外編)純愛♎︎狂愛28
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百目鬼さんは、ベッドで一人で眠ってる。
僕は、リビングのソファーでモーフをかぶり、窓の外を眺めていた。
北海道の空はあんなに綺麗で、あんなに幸せな気持ちだったのに…
今は何もかも嘘だったみたいだ。
あの時、名前のことを言ってたら、こうはならなかったかな?
奏一さんと会ってる今も、気持ちを僕に繋ぎ止めていられたかな?
あの時、「好き」って言葉こそ聞けなかったけど、とても幸せな時間だった。
来年の僕の誕生日は、どこか新しい所も素敵だけど、またあそこで二人で過ごせたらもっと幸せだろうなって考えてたりもした。
………。
あの時の百目鬼さんの優しい笑顔…忘れられない。
あの笑顔が、もう一度、見たかった…
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
翌朝、5時ごろ寝室から百目鬼さんが出てきて、目が合った。
百目鬼さんはホッとしたような表情をした後、辛そうに僕を見つめる。
マキ「どうしたの百目鬼さん」
百目鬼「…いや、水を…」
その気まずそうな声に、僕がいなくなってるんじゃないかと探したんじゃないかと思った。
マキ「待って、入れてあげる♪」
百目鬼「や、自分で…」
マキ「僕も喉乾いた♪」
僕はニコッと微笑んで、ソファーからヒョイっと降りて、足早に台所に向かい冷蔵庫を開ける。
百目鬼「…歩けるのか…」
マキ「ふふ♪全然歩けるよ♪」
僕の体を心配する百目鬼さんに、昨日のは全然たいしたことないんだって示してあげる。
身体中に痕はあるけど、他は何ともない。
僕がケロッとしているのに、百目鬼さんは複雑な表情だ。
マキ「はい♪百目鬼さんの分♪」
僕は、自分の分の水を飲みながら、百目鬼さんの分を百目鬼さんに手渡した。百目鬼さんは黙ってそれを受けとり、口をつける。
百目鬼「…」
マキ「…」
百目鬼「…昨日は…」
マキ「昨日は、僕が悪かったの、本名言わないなんて、結婚詐欺みたいだもんね」
百目鬼「…」
マキ「百目鬼さん、ごめんね、僕のこと許してくれる?」
百目鬼「…」
マキ「僕、事務仕事だけする。百目鬼さんの言うことはちゃんと聞くから、僕を許してください」
きちんと頭を下げて謝罪とお願い。
百目鬼さんは聞いてくれない。
百目鬼「…事務所仕事を手伝わせるかは、もう少し考えさせてくれ」
マキ「…じゃあ、プライベートは?いつ百目鬼さんに会いに行っていい?」
百目鬼「…それも、しばらく考えさせてくれ…」
マキ「…許せないから?」
僕の質問に、百目鬼さんの視線が逸れた。
百目鬼「…許せてはいない…、だけどもう、怒ったりしてない…時間が欲しい…。今は、家で大人しくしててくれ」
マキ「…ごめんなさい」
僕に会いたくないんだ。
会いたくもない、セックスもしたくない…
忙しいと仕事のことを言われれば、僕は「会いたい」といえない。
また…、百目鬼さんと会えない日々が続く、その間、百目鬼さんは、奏一さんと会うんだ…。
マキ「僕と…もう一緒にいたくない?苦しいから?」
百目鬼「ッ!あれは、すまない、お前のせいじゃない、俺の問題だった、口にすることじゃなかった、すまん…」
マキ「でも、僕と一緒いると苦しいと思ってるんでしょう?」
百目鬼「ッ…それは…、俺の問題だ」
マキ「苦しんじゃん。
それって僕が跨ってばかりだから?」
百目鬼「…だから、俺の問題だって…」
マキ「それとも、奏一さんに顔向けできないから?」
百目鬼「ッ…」
百目鬼さんが言葉に詰まる。
図星だからだ。
マキ「奏一さんと、会うようになって、罪悪感が増したんでしょ。奏一さん、修二の友達の僕に手を出すなんてことないよなって言ってた…」
百目鬼「…」
マキ「そのこともあって、百目鬼さんは苦しいんでしょ、奏一さんと和解出来そうなのに、僕と付き合ってるから、奏一さんに顔向けできないから、苦しいんでしょう?」
百目鬼「…」
マキ「…奏一さんと、最近いい感じなんでしょ?」
百目鬼「変な言い方するな。俺は、仕事をしてるだけだ。そりゃ、奏一と話せるようになったのは嬉しいが、あくまで仕事だ、俺は、自分が過去に何をしたか、忘れるつもりはない」
マキ「…、でも、許されるなら許されたいでしょ?」
百目鬼「おい、首を突っ込みすぎだ」
マキ「…どおして?僕も関係あるでしょう?」
百目鬼「関係ない、お前と奏一は関係ない」
マキ「関係あるよ。百目鬼さん、僕と付き合ってること奏一さんに言える?」
百目鬼「ッ!!」
百目鬼さんは、押し黙った。
言えるわけない…
マキ「百目鬼さんは、僕と付き合ってること奏一さんに黙ってるの、奏一さんを騙してるみたいで苦しんじゃない?」
百目鬼「…」
百目鬼さんは、真面目で誠実であろうと努力してきた。そんな百目鬼さんだから、悩んだと思う。
それに僕と付き合ってることで、百目鬼さんは自分の幸せを掴むことが出来ない。
百目鬼さんは、優しい人だ、だから、僕は、百目鬼さんのことをちゃんと考えてあげなきゃいけなかった。
僕の我儘の時間は終わり。
百目鬼さん、百目鬼さんのことが〝めんどくさい〟なんて、僕にはありえない。
僕にとって百目鬼さんは、愛しくて、可愛くて、いっぱい幸せをくれた人、最初で最後の恋人。
言わなきゃ。言ってあげなきゃ。
おかしいな…前はこんな時どうやって平気な顔してたんだっけ…
マキ「百目鬼さん、僕は百目鬼さんにいつも優しくしてもらって、いつも美味しいもの食べさせてもらって、とっても大事にしてもらって、とても幸せ。百目鬼さんは、ちゃんと変われてるよ。
だから、我慢しなくていいよ、僕は百目鬼さんにとっていい恋人じゃない。いつも怒らせて、いつも心配かけて…。だから、〝僕のことがめんどくさい〟なら、言ってくれて構わないよ。百目鬼さんは、我慢しすぎだよ、本当のこと言ってくれていいんだよ。苦しいのに、半年も僕に付き合ってくれたんだ。
百目鬼さんが終わらせたいなら、終わらせていいんだよ。」
百目鬼「!!」
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