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(番外編)純愛♎︎狂愛37
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賢史さんは、上着を貸してくれたままパトカーに僕を乗せ、目出し帽の奴らの車の特徴を聞いて、逃走車を探すよう手配してくれた。
それから、自販機でスポーツドリンクを買って、僕に手渡した。
賢史「ほら」
マキ「…ありがとう」
普段のあれこれもそうだけど、賢史さんは結構色々気が回る人なんだよな。ずっと敵視されてたから、純粋に優しくされるとなんだか戸惑う。だけど僕は、走って暴れて喉が乾いてて、一気に半分くらい飲んじゃった。
賢史「本当に大丈夫なのか?」
マキ「大丈夫♪、僕普通に歩いてパトカーに乗ったの見たでしょ?」
ヘラヘラ答えると、賢史さんは眉を顰める。
賢史「病院は…」
マキ「平気平気♪、もしなんかあっても、明日、先生の家に行けば良いし♪、ねぇ、それよりさ、百目鬼さん狙ってる朱雀の人達って顔写真とか無いの?1人さ、目出し帽かぶってないやついてね…」
最後に駆け寄ってきた運転手が、帽子を被ってなかった。
賢史「呆れるな…、5、6人相手に囲まれてこんな痣付けられて、よく平気な顔できるな」
マキ「ふふ♪僕、男の子ですから♪」
賢史「流石、女王様、折れないね。神が苦労する訳だ」
マキ「百目鬼さんは心配し過ぎなんだよ。体格差は敵わなくても、僕こう見えて、空手も護身術もマスターしてるし、あと格闘技を色々齧ってる」
ふふん、と得意げに言ったら、賢史さんはケラケラ笑う。
賢史「分かった分かった、女王様の仰せの通りに…。フッ、なんだ、お前って結構真面目に神のことが好きなんだな」
は?
唐突な言葉に、ポカンとなってたら、その顔を見てさらに笑われた。
賢史「こないだの玄関でのアレといい、今日といい、神に飛んできたナイフはたき落すとか…。あの神を守ろうとするって…クックックッ」
賢史さんの言いたいことが分かって、ちょっと瞬きしてたら、その顔見てさらに賢史さんは可笑しそうにする。
賢史さんは、女みたいにひょろい僕が、ヤクザヅラの百目鬼さんを守る構図が面白いらしい、おそらく彼の頭の中は、ロミオな僕が、ジュリエットの格好の百目鬼さんを守る妄想で馬鹿にされてる。
でも、百目鬼さんのジュリエットもちょっと見てみたい…。
マキ「百目鬼さんだって守られる時あるでしょ?賢史さんがいつものやってるじゃん」
賢史「…。俺は守ってんじゃない、煩いハエが嫌いなだけだ。神の前で盾になろうなんて思っちゃいない」
マキ「そう?百目鬼さん、賢史さんのやってくれてること気づいてて、感謝してると思うけど」
賢史「感謝されたくてやってんじゃない、煩いよお前。言っとくが、今日ここに来たのもお前のためじゃないから、お前になんかあった後の神の辛気臭いツラがウザいし、お前が怪我なんかした日にゃ、まともになったのも忘れて相手を殺すんじゃないかと思ったからだからな。仲間に手錠とか冗談じゃない。
そもそも、俺は、お前のことはずっと反対してるんだぞ。お前ってチャラチャラへらへら、キャバ嬢が一途な神をたらしこんでるようにしか見えないだよ、今も反対だしな」
表情は至って迷惑って感じでも言ってるけど、言葉の端々に百目鬼さんへの優しい気持ちが見えてる。
賢史「お前は、神を苦しめる存在だ。まぁ、お前が少しは神に気があるのは分かったが、お前と神は合わないよ。神に、魔性の女王様は扱えない」
この人は、初めからずっとそう言い続けてる。まぁ、事実そうなんだけど。
賢史「神はやめて、俺にしたら?」
真面目な話をしてたと思ったら、チャラけるおっさん。
僕はニッコリ笑顔でお返事する。
マキ「賢史さんは、僕のこと好きじゃないでしょ♪」
賢史「好きだぜ。神とは合わないぞって言ってるだけだ。俺は魔性もキャバ嬢も好物だし、女王様みたいなお前には興味津々だぜ。ただ、俺は跨られるより組み敷く方が好きなだ♪」
セクハラ親父みたいなエロっちい目で僕を見る。全く口説いてるようには聞こえない、ただ、僕を征服したら楽しそうって興味本位がだだ漏れ。でも…
マキ「あは♪、僕、可愛い人が好みだから♪」
賢史「神を捕まえて可愛いって、お前って変わってるよな。まぁ、いいや、朱雀の奴らの写真は俺んちだけど、来る?」
マキ「いいですよ」
賢史「即答かよ…」
意外そうな顔した賢史さんに、僕はニッコリ答える。
マキ「まぁ、僕が魔性だとか、組み敷きたいとか、思ってることは本当だとしても。襲われた僕の精神状態気にしてワザと明るく喋ってくれてる賢史さんが、百目鬼さんを狙ってるかもしれない奴らの情報を持った僕をどうこうするとは思えませんから♪」
賢史「…」
マキ「ね♪」
賢史「…フッ」
賢史さんは鼻で笑ってから、パトカーを発進させた。
賢史さんは、一度警察所に戻ってちょっと仕事してから、自分の車に乗り換えて、彼の自宅に向かった。賢史さんは、僕を自宅には上げず、車の中に写真を持ってきて僕を自宅に送りながら確認作業を僕にさせた。ほら、僕をどうこうする気はないって笑ったら、綺麗な顔を相手にしたいから痣が治ったらなってチャラけた。
賢史さんが疑う朱雀の顔写真の中に、顔を見たやつの姿は無かった。僕は、その時、百目鬼さんと敵対する人達のことがビッシリ書かれたノートを見せられた。
そこには、朱雀の人間と、元朱雀で百目鬼さんと敵対してるやつ、また、百目鬼さんが朱雀にいた時、敵対していた敵チームの奴らのことが書いてあった。
賢史さんがどれだけ真剣に百目鬼さんのことを考えているか、痛いくらい伝わってくる。
賢史「目出し帽被ってない奴は、運転手だったんだよな」
マキ「はい」
賢史「だとしたら、下っ端の可能性が高い。それに、こいつらが本気で神を襲おうとしてたなら、お前にやっつけられるレベルの奴で来る訳ない。下っ端だけなら神の女を攫おうとしただけだろ。それか………」
急に黙った賢史さん。顔が険しくなる。
マキ「それか?」
賢史「………、お前には黙ってろって言われてるんだが、〝瀧本〟ってやつの仕業かも」
瀧本!?
僕を調教したがってる、あの頭の悪いボンボン。
賢史「奏一の店に嫌がらせしてる犯人は、瀧本の雇った奴らだって話だぜ」
この時、矢田さんの動揺っぷりを思い出したら
僕の中で色んなことが繋がった。
百目鬼さんが、最近色々ピリピリしてたのはそういうことで、奏一さんの件に僕を関わらせなかったのは、そういうことなんだ!
僕はそんな事も気づかず嫉妬なんかして…。
僕は馬鹿だ……
僕のせいだったのに…………
賢史「おい、変なこと考えるなよ。俺は、身を守らなきゃならないお前が身を守りやすいように言ったんだ」
マキ「……ふふ♪分かってるよ」
僕の笑顔を見て、賢史さんの眉が寄る。
賢史「その妖しいツラの笑顔を見せられると返って危なっかしいんだよ。お前さ、神とちゃんと話し合えよ。付き合ってんなら付き合ってるでコソコソしてねぇーでハッキリしろ」
マキ「ご忠告どうも♪」
賢史「忘れんなよ、お前が神を守りたいって気持ちはありがたいが、お前に神は守れない、わきまえろ。それに、いくら神がお前を守りたくても、守られてる本人が身投げするようじゃ、守るに守れないんだよ。そこんとこ理解できないなら、今すぐ別れろ、ってかお前、時期に捨てられるぞ」
マキ「ふふ♪そうだねぇ、百目鬼さんはそうするね、でもそれって……」
僕のこと、捨てれるって事だよね。
その程度って事だよね…
百目鬼さんは僕じゃなくて、修二だったら、死んでも離さないと思うんだ。閉じ込めて離さないと思うんだ…。
百目鬼さんは、僕を遠ざけてる。
僕を大事には思ってくれてるけど…
〝手放してもいい…〟
って事なんだ……………
所詮…
修二のようには好いてもらえない…
僕が、どんなに望んでも、修二や奏一さんには勝てないんだろうな…
おかしいな…
それでよかったのに…、二番目でも三番目でも、側にいられれば良かったのに…
僕も随分欲張りになったなぁ…
百目鬼さん…
お願いだから僕を遠ざけないで…
側にいたいんだ…
ちゃんと話しをして反省する
立場をわきまえるから…
僕と仲直りしてよ…
お願いします…。
セックスも我慢する、いい子にする…、もう、狂うほど愛されたいなんて言わないから…ちゃんと話しをするから…
ミケみたいに側に置いて……
仲直りさせて…百目鬼さん……
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