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〔裏番外〕狂愛♎︎純愛5
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その日、賢史が依頼に来た。
連れてきたのは、賢史の知り合いの知り合いの女性、平安名姫香(へんな.ひめか)。
お嬢様風の清楚そうな女性は、賢史の知り合いにしては毛色が違ってた。
俺のヤクザ顔にビビってるのか、怯え気味に下を向いてる。その依頼は…
百目鬼「ストーカー?…ストーカーなら警察だろ、もしくは弁護士の方が良くないか?」
賢史「俺がここにきた時点で察してるだろ」
百目鬼「知り合いの贔屓目でも扱えないほど証拠無し?」
賢史「妄想レベルだね」
さらに、俺の所に来たのは、賢史なりにこの平安名姫香さんのことを考えての事。
賢史はソファーにふんぞり返ったままクイっと親指を女性に向けた。
女性は恐る恐るといった感じで、鞄から1枚の写真話取り出した。
百目鬼「………」
マキ「……」
写真には、見事な改造バイクに特攻服で跨った女性たちが写ってた。
ああ、このグループ見たことあるな…。
賢史「こいつ平安名姫香、元、猩々緋(しょうじょうひ)のレディースだ」
マキが目をパチクリさせて写真を眺めている。平安名姫香さんが、おずおずと「…これが私です」と指差す。鈴の音のようなか細い声は今にも消えそうに掠れてた。
そこに写っていたのは、目の前のお嬢様風の清楚系の平安名姫香さんの姿は見る影もない、見事にガンたれたレディース姿だ。
百目鬼「……ヘンナさん」
姫香「あの…、姫香でお願いします。名字は嫌いで…」
百目鬼「姫香さんの事情を伺いましょう」
姫香「…猩々緋のみんなの絆は宝物です、でも、今はレディースだった事実があるために…、男性とお付き合いが上手くいかなくて…。私はもうすぐ30で、子供も欲しいのに過去がバレて捨てられることばかりで…」
まぁ、よくある話しだ。
ヤンチャしていた者同士なら、理解はあるが、俺の周りで上手くいった奴らは稀だ。姫香さんみたいに、卒業して封印する奴らは、本当に変われるやつと、変われず苦しんでるやつといる。女は、特に多いい。
姫香さんは本当に苦労して努力したんだろう。賢史は、猫っかぶりの女は嫌いだから、協力するってことは、彼女を応援してるからだ。
彼女には、幸い素敵な彼が出来た。最近になって、姫香さんの母親が入院してしまったのをキッカケに、『家族になって2人を支えたい』とプロポーズされたそうだ。姫香さんは過去をすべて話し、彼は『それがどうしたの?』って返したそうだ。立派な男だ。
話しながら、姫香さんは涙を流し、その姫香さんに、マキがそっとティッシュを手渡す。
涙ながらに話す姫香さんを、マキは何とも言えない表情で見ていた。
泣きそうな笑顔。切なげ?苦しい?悲しそう?憧れ?よかったねってことだろうか?
マキの感情が漏れ出るのは珍しい。それだけ、姫香さんの話しが、マキに響いたってことだろう。
この時、俺は、マキの反応を軽んじていた。
依頼は受けるつもりだ。話を詳しく聞いていたら、姫香さんが、1枚の写真を出した。
姫香さんの他に女子5人男子11人が写っていて、その端には、『今より前の方が良かったな。一緒に走ってようって言ったのに〜、オノロケ酷いなぁ』って、特徴的な丸文字。
字から、女だと思っていたが、男の可能性もあるのか?ここに写ってるヤロー共、面識があるやつだ…、ああ、だから賢史は俺のとこ来たのか。
納得した俺は、依頼を受け。姫香さんは安心したように何度も頭を下げ帰っていった。
賢史は、姫香さんを駅まで送ってから、戻ってきてお礼に奢ると言ってきた。
だが、今日はマキが泊まる日だ、今朝スープも仕込んだ、それにやりたいこともある。すぐに取り掛かると断った。
飲みを断ると、賢史は俺の肩に手を回す。
賢史「相変わらず仕事人間だな。ところで百目鬼…」
百目鬼「なんだ?」
賢史「姫香の件、お前には犯人を突き止めてもらうとして、マキを貸してくれな…」
百目鬼「断る」
食い気味の即答だ、当たり前だ!。
こいつは馬鹿も休み休み言え!。
だが賢史は、引き下がる気はないのだろう、ニヤニヤこっちを見てる。俺がギロッと睨んでも、顔を近づけてきた。
賢史「俺にじゃないよ、姫香ちゃんにだよ」
百目鬼「マキは事務員だ。現場には出さない」
さらに即答したが、賢史は軽い口調で続け、姫香さんの身の回りを男がうろついては迅速に犯人を上げられないともっともらしいことを言ってる。
再度マキを現場に出さないと強く言っても、全く引き下がらない。
マキは、現場には不向きだ、色々器用にこなせるから、出来ると思い込んでるが、マキはまだ未成年で、本人が思ってるほど大人じゃない。
賢史「おやぁ〜、仕事なのに出し惜しみか?マキちゃんが大事な子だからかい?」
ウザい!大事にして何が悪い、別に特別扱いじゃない、仲間はみんな大事にしてる。
百目鬼「マキは事務員だ」
賢史「杏子だって事務員だが、現場に出るだろ、マキちゃんだけ特別扱いか?」
そ、それは、杏子は成人したいい大人だ、分別があるし、冷静だから、出来ることはしてもらってるだけに過ぎない!
すると、馬鹿が一声。
マキ「僕やりたい♪」
と、言い出した。
賢史「流石嬢王様」
何が流石だ!!
マキ「大丈夫だよ百目鬼さん、女装して姫香さんと行動してみて、変な視線感じないか見るだけでしょ?」
大丈夫なもんか!!
百目鬼「ガキがでしゃばるな!」
俺が吠えてもマキは動じない。
賢史はニタニタウザい!!
大丈夫な訳あるか!マキは、冷静に見えて実は感情的で情に流される。器用な自分を過信して、軽んじて冷静さに欠けているところがある。
睨み付けたが、マキの瞳は真剣で、強い意志を放っていた。
決意した目だ。こういう人間を説得するのは厳しい。どんなに叱りつけても、「大丈夫出来るよ」と言って聞かないし、その横で賢史は「付き合ってんのか?」と、からかってくるし。最悪だ。
俺のスーツの裾をチョコンと握って、うるうるした瞳で小首を傾げ上目遣い。
ね?ね?おねがぁい、と言わんばかりの可愛らしい顔で迫ってきた。
フワッフワの猫耳までも、横に伸びるように傾げ、とんでもなく攻撃してくる。
う…うぅ…グググ…
その時ふと、姫香さんが泣いた時に、マキが何ともいえない表情をしたのを思い出した。
そうか…、きっと、何かあるんだと思った。
そうだ、そうに違いない!だから…幻聴だ。
『にゃ〜ん♪お願いにゃ〜ん♪』
と、聞こえるのは…。
押し負ける形で、マキの参加を許可した。
マキは「怒ってる?怒っちゃ嫌♪」てな具合だから無視!
仕方ないので先に写真に写ってた知り合いにコンタクトをとって話をする日を決めることにした。
マキを連れて部屋へ行き、マキを寝室に放り込む。
今回は、俺は怒ってんだと思い知らさないと、マキは直ぐに軽んじる。お仕置きのつもりで寝室にひとりぼっちで待たせた。
電話してる間に、ご飯を準備、スープを温める。それを一人分トレーに乗せて寝室に突っ込んだ。
マキはトレーを見て…
〝え?一緒に食べない?〟
て、顔したから、ザマーって言おうとしたら、ピョコンって猫耳が現れ、しおしおしおっとうなだれた。マキは、ウルウルした瞳で見上げてくるダブルパンチ!。
うっ…。いかん!!
バタンとドアを閉めて、首を振る。危なく流されるとこだった!!
俺は電話に集中。マキを無視した。
暫くシーンとしていたが、寝室から悲しそうな声が聞こえてくる。
マキ『…百目鬼さんのお手伝いがしたかったんだ。僕はそんなに役に立たない?』
違う…。マキなら必ず役に立つ。即戦力だ。だが、マキは、まだまだ子供だし。俺は、万が一があった時が怖い。
マキは自己犠牲が強すぎる。ハァー。
ドアをゆっくり開け、仕方ないやつだと、マキを見下ろした。
百目鬼「…そんなこと言ってない、危ないって言ってんだ」
マキ「危ないことはしないよ。ねぇ百目鬼さん、僕1人で食事したくない、百目鬼さんの顔見てたい」
百目鬼「ッ…」
マキ「お泊まり、楽しみにしてたのに…ダメ?」
百目鬼「ッッ!…」
グッ……。
この…、話しをそらして無理にでも通そうとしてる。甘い声で素直なおねだりしながら、その瞳は真っ直ぐ真剣だ。
〝何かあるのか?〟って聞いたところで、こいつは答えないだろう。
更に、さっきから、尻尾がふよふよと参戦。
百目鬼「グッ……」
マキ「……(うるうる)」
百目鬼「…………チッ…来い」
マキ「♪♪、百目鬼さん大好き♪♪」
ニパッと笑ったマキの、心底嬉しそうな顔。
やめろ!簡単に檻をぶち壊すな!!
あーもー!こ慣れやがって!俺が反対すると素直な顔を覗かせやがる!小悪魔が!
何が大好きだ。畜生。可愛くない。
マキ「んふふ♪百目鬼さん耳赤い♪」
ッ!!
あー!可愛くない!!
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