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〔裏番外〕狂愛♎︎純愛14
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マキが風呂に入ってる間に着替えを出して置いておき、リビングに戻って考えた。
風呂に一緒に入るのを拒否された…。
こんな状態で、マキが本音を言うとは思えない。俺が身を絞る様な思いで話をしても、曖昧にされてしまいそうな気がした。
俺が悪かった。
だが、やっぱり、マキは難しい。
マキ「お風呂お先に頂きましたぁ♪♪」
百目鬼「コラコラ、頭が拭けてない」
随分時間が経ってから、マキが風呂から上がってきた。
髪の毛がビショビショで、いつもの調子で仕方のないやつだと声かけたが、マキはビクッと身を硬くした。
その時、違和感に気づいた。普段素っ裸や半裸で歩くマキが、パジャマを第一ボタンまで閉めていた。
まさかと思い、いつも通り声をかける。
百目鬼「仕方ないやつだな、拭いてやるから来い」
マキ「えっ、いいよ、ドライヤーで乾かしちゃうから♪♪百目鬼さんもお風呂入っちゃいなよ♪♪」
また、拒絶された…。
風呂に入れてやるのも、髪を乾かすのも、俺の楽しみなのに…。俺は喋るとマキを傷つける。マキが幸せそうに笑うのは、俺が黙って飯食わせてる時、風呂入れてる時、髪を乾かしてやる時、どっか連れてった時。それすらも出来なかったら、俺は何が出来る?
自然と視線が下がり、無意識に声に出た。
百目鬼「…怒ってるのか?」
マキ「ええッ!?怒ってない!怒るって何で!?」
百目鬼「なら、拭かせろよ」
なんか子供じみたこと言ってる気がしたが、得体の知れない感情が俺を支配してた。マキをジトッと睨んで意地になった。
拒むな拒むなと念じて。
マキ「えへ♪じゃあ拭いてもらおっかな♪♪」
マキは俺の感情を感じ取ったのか、〝じゃあ〟って仕方ない感じで定位置に座った。俺はタオルとドライヤーを取ってきたら、マキはソワソワしてた。
マキを股の間に座らせ、後ろから頭を拭いた。いつもなら、たわいもない話しをして、マキが冗談言ったりするのに、それもない。
ドライヤーで乾かしてやっても、マキは俯いてて、いつもの気持ちよさそうな顔をしない。我慢だ、ここは我慢。
なるべく丁寧に丁寧に髪を乾かして、優しく優しく撫でた。
俺には気の利いた言葉は思いつかない…
俺の言葉はマキを傷つける。
しばらくして、マキのうなじが、だんだん赤らんできた。
ギョッとしてマキの顔を覗くと、赤らんで前屈みになってた。
ッ!!こいつ!!
赤らんだうなじと、羞恥に耐える表情、そして現れる。ふるふるする猫耳と尻尾。
オイオイ!勘弁してくれ!!
目のやり場に困り、落ち着くために風呂に入ることにした。落ち着くために入ったのに頭の中はぐるぐるするし、はたと気づく。
マキは逃げたりしないだろうか?
気になったらゆっくり風呂になんか入ってられない。直ぐに上がって、髪もろくに乾かさず、直ぐに寝室へ。
マキは、ちゃんと寝室に至た。良かったと思いながら、俺の違和感が正しかったことが目視出来た。
マキは、いつも真ん中で寝るのに、今日は右端に丸まってる。
泊まらないで帰ろうとしたことといい、風呂を拒否したり、髪を乾かさせなかったり。
拒絶されてるんだろうか?
でも、さっき恥ずかしがってた。
近づけば赤らむし、前屈みにもなってた。
嫌われては…ないよな?
拗ねてる?
ベッドの右端に丸まるマキは目を瞑り、掛け布団を抱き枕みたいにキュッと抱いてた。その腕には、俺のやった腕時計、うなじに見えるテェーンの先には、あの気まぐれに買ったキーホルダーを付けていた。これから寝るというのに、マキは両方とも付けて寝るらしい。
ジンと胸が熱くなる。マキの、こういうところが堪らない。マキの頭を優しく撫で、なるべく優しく話しかけた。
百目鬼「起きてるだろ」
マキ「………うん」
躊躇った声。寝たふりをしていたんだ。
百目鬼「寝る時も腕時計して痛くないのか?」
マキ「うん」
百目鬼「…端っこにいないでこっち来い」
マキ「うん…」
いつもは嬉しそうにするのに、今日は、おずおずと真ん中に移動して俺の腕に収まった。
落ち着け俺。ミケに話しかけるみたいに優しく…、優しく…だ。
百目鬼「休みが出来たら、また好きなとこ連れてってやるから」
マキ「…うん」
百目鬼「今度はどこがいい?」
マキ「…動物園」
百目鬼「…またヌイグルミ買うのか」
マキ「……ダメ?」
不安そうな声を出したマキ。
俺は、なるべく気をつけて喋った。
百目鬼「駄目とは言ってないが、そろそろベッドサイドもいっぱいだぞ、置くとこないのにそのうち寝室にいっぱいにするんじゃないか?俺の顔で、寝室がヌイグルミだらけとかヤバイだろ、矢田や賢史に見つかったらなんて言いふらされるか気が気じゃない」
変なことは言ってないはずだ。
ぬいぐるみが嫌なわけじゃない、部屋中は、ちょっと恥ずいだろ、俺みたいな顔で部屋がぬいぐるみだらけとか…、見てるのは構わないんだが、お前が楽しそうだから。
百目鬼「ほどほどにして。他のものに変えてくれよ」
嫌なわけじゃない。
ちゃんと伝わった?
マキの顔を見ると、驚いたようにしながら、瞳を大きくして、パチクリ瞬いていた。
マキ「…う、うん」
いい反応だ、多分伝わった。
そうだ、今なら渡せそうだ。
和んでる今なら…
百目鬼「あー…、それでな…マキ」
馬鹿みたいに緊張して、声が強張った。
ベッドサイドの引き出しから、小さな箱を取り出し、マキに手渡す。
百目鬼「…その…、首につけてるやつ。ボロボロだろ…、代わりと言っちゃなんだけど、こっちをつけないか?」
箱を渡そうとしたのに、マキはキョトンとして手が出ないので、グッと強引に押し付ける
百目鬼「開けてみろ」
マキ「あ、うん」
いつも以上に瞬きを繰り返すマキは、内心慌ててるのがよく分かって可愛い。
マキがそっとフタを開けた。中身は新しいちゃんとしたネックレスだ。
青いキラキラした丸い天然石が、2センチくらいの羽根の形の籠の中に収まっていて、羽根の真ん中には鍵穴が付いてるもの。
マキは瞳を輝かせた。
マキ「どうしたのコレ」
百目鬼「……つけてやるから」
今つけてるのを外してやり箱にう。その羽根籠に青い天然石の光る小さなネックレスをマキの首に付けた。
良かった、似合ってるし、マキの反応も悪くない。良かった。
不思議そうに瞳を瞬くマキに、その場で理由を取って付けた。
百目鬼「まぁ、入学祝いって事にしてくれ」
マキ「え…、もうすぐ7月だけど…」
そうだな、だが、仲直りの印に買ったなんて言えない。
イベントごとでもないのに買うなんて、変だろうか?変だよな…、俺もそう思う。まぁ、提案者は雪哉なんだが、雪哉は別にネックレスをあげろって言ったわけじゃないんだが…、仲直りに贈り物でもしたらどうかと言われて、直ぐにネックレスを思いついた。いくら大切にしてるって言っても、元のやつはキーホルダーだし、ちゃんとした物をやりたかった。
なんてことも口が裂けても言いたくない。
百目鬼「あ、それと。来年の誕生日の行きたいところが決まったら、いつでもいいから言ってくれよ、じゃないと勝手に決めるぞ、本場のオーロラ見るか?」
マキ「…」
冗談ぽく笑って誤魔化しマキの頭を撫でた。
マキのが不思議そうに瞬いてる。
俺は、マキの心に優しく出来たか?
マキは、可愛らしい顔で、〝なんで?なんで?〟と言いたげだ。猫耳も現れた。
マズイ…いい感じなのに、このまま見てたら色々マズイことになりそうだ。
百目鬼「さっ、寝るぞ…」
マキ「……うん」
マキは、大人しく俺の腕の中に収まった。
ネックレスを弄りながら、気に入ってくれたんだろう、表情が柔らかい。
その日マキは、モーションをかけてこなかった。
言葉は少なく、上手く話せなかったが、今日は、色々拒否されて、でもキレたりしなかった。話しはゆっくりしよう。俺が急いでも酷い言葉を吐くだけだ。大丈夫、この調子で、マキに優しく、マキの心に優しく…
ミケに話しかけるみたいに…
この日から、マキは大人しくなった。
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